公務員への転職
横浜市・社会人採用試験 について詳しく解説

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 公務員に転職するには、公務員試験を受けて合格しなければなりません。中途採用については国や自治体によって試験呼び方が変わりますが、「経験者採用試験」や「社会人採用試験」という名称で行われています。また、年齢や社会経験年数によっては既卒や社会人であっても新卒の方が受験する「大卒程度試験」や「高卒程度試験」を受けて合格することで採用されるケースもあります。

 このコラムでは、公務員への転職先として人気の「横浜市職員(事務)」に転職するための方法について解説していきます。

横浜市中途採用の流れ

 横浜市行政事務の中途採用は横浜市職員(社会人)採用試験にて実施されます。春・夏の年2回試験があります。

 まず横浜市職員(社会人)採用試験では、1次試験で適性検査(SPI3)、2次試験でプレゼンテーション試験、3次試験で面接試験が行われます。この試験に最終合格すると、横浜市が作成する採用候補者名簿に登録され、原則として翌年4月1日に採用されます。

受験者数と試験倍率

 過去4年間の受験者数と試験実施状況は以下の通りです。この4年間で倍率は低下していますので、今がねらい目といえます。

受験者数 1次試験合格者数 最終合格者数 受験倍率
2024年度・春 246名 155名 62名 4.0倍
2023年度・夏 589名 235名 57名 10.3倍
2023年度・春 265名 103名 16名 16.6倍
2022年度・夏 629名 251名 50名 12.6倍
2021年度・夏 677名 229名 24名 28.2倍

何歳までなら採用される?受験資格

 横浜市職員の場合、転職できる年齢は春試験は39歳以下(試験実施年度の4月1日時点の年齢)、夏試験は59歳以下(試験実施年度の4月1日時点の年齢)になります。また、横浜市職員(社会人)採用試験の受験資格は、年齢以外に民間企業等での経験年数などが要求されます。

▼2024年度試験の主な受験資格
 ①春試験39歳以下 夏試験59歳以下(試験実施年度の4月1日時点)
 ②職務経験が直近7年中5年以上あること または 青年海外協力隊等として海外における国際貢献活動経験が直近7年中2年以上あること
 ③地方公務員法第16条の欠格条項に該当しないこと 

横浜市職員(社会人)採用試験(事務)の内容

 横浜市職員(社会人)採用試験について2024年度の試験内容を紹介します。
 1次試験は適性検査(SPI3)となっています。適性検査については、性格検査と基礎能力検査から構成されています。このうち、基礎能力検査は、言語能力・非言語能力(英語除く)の問題が出題され、テストセンター方式にて行います。
 2次試験はプレゼンテーションとなっていますが、春試験と夏試験で内容が異なります。春試験はMyストーリープレゼンテーションで、2024年度は「あなたが困難な課題を乗り越えた経験(直近5年以内程度)について、どのように行動し、解決に導いたか教えてください。」というテーマでした。
 夏試験は、通常のプレゼンテーションで、2024年度は「これまでの職務経験等から培った自分の強みを、本市でどのように活かしていけるか教えてください。」というテーマでした。
 3次試験は面接試験です。個別面接の形式で行われます。

春試験

試験日 試験内容 出題内容

1次試験日
2024/3/19(火)

~4/2(火)のうち

各受験者が選択する日

適性検査

(SPI3)

<テストセンター方式>

性格検査(約30分)


基礎能力検査(約35分)

→言語能力、非言語能力の測定(英語除く)

2次試験日
4/20(土)、4/21(日)、4/27(土)のうち人事委員会

事務局が指定する1日

Myストーリー

プレゼンテーション

プレゼンテーション:5分以内

プレゼンテーションに対する質疑応答

 3次試験日

5/18(土)、5/19(日)のうち

人事委員会事務局が指定する1日

面接試験  個別面接方式で実施

夏試験

試験日 試験内容 出題内容

1次試験日
2024/8/30(金)

~9/13(金)のうち

各受験者が選択する日

適性検査

(SPI3)

<テストセンター方式>

性格検査(約30分)


基礎能力検査(約35分)

→言語能力、非言語能力の測定(英語除く)

2次試験日
10/12(土)、10/13(日)、10/19(土)のうち人事委員会

事務局が指定する1日

プレゼンテーション

プレゼンテーション:5分以内

プレゼンテーションに対する質疑応答

 3次試験日

11/16(土)、11/17(日)のうち人事委員会事務局が指定する1日

面接試験  個別面接方式で実施

合格者の決定及び配点

・第一次試験の合格者は、適性検査(SPI3)<基礎能力検査>の結果により決定します。
 ※性格検査の結果は点数化されません。(性格検査の結果は、面接時の参考資料として使用します。)

・第二次試験の合格者は、第一次試験(SPI3)の結果を下表に示した点数を満点として換算し、第二次試験(プレゼンテーション)の結果と総合して決定します。

・第三次試験の合格者は、第一次試験(SPI3)及び第二次試験(プレゼンテーション)の結果を下表に示した点数を満点として換算し、第三次試験(面接)の結果と総合して決定します。

・どの段階においても、いずれかの試験科目が一定の基準に達しない人は、他の成績にかかわらず不合格となります。

第一次試験 第二次試験 第三次試験 総合点

適性検査

(SPI3)

<基礎能力検査>

プレゼンテーション 面接
第一次試験得点 80.0 80.0
第二次試験得点 20.0 200 220.0
第三次試験得点 20.0 30 600 650.0

出題内容と対策方法

SPI3<基礎能力検査>

 SPI3<基礎能力検査>は、言語分野と非言語分野に分かれています。
 言語分野は、語句の意味、語句の関係、語句の用法、空欄補充、文章整序などが出題されます。英文の出題はありません。空欄補充や文章整序などは通常の公務員試験の対策でカバーすることが可能です。一方で語句関連の問題は通常の公務員試験では出題がありませんが、その場で考えて正答を導けるレベルのものが多く、特別な対策はあまり必要ありません。

 非言語分野は、割合、確率、速さ、命題・論理、位置関係、資料などが出題されます。いずれも公務員試験の数的処理よりも難易度は下がります。しかし、制限時間に余裕はないため、一度市販の問題集で練習を行い、計算スピードのチェックや解法の確認などをしておくとよいです。

プレゼンテーション試験

 春試験と夏試験で内容が少し異なります。
 春試験は、「Myストーリープレゼンテーション」で、2024年度は「あなたが困難な課題を乗り越えた経験(直近5年以内程度)について、どのように行動し、解決に導いたか教えてください。」というテーマでした。

 夏試験は、通常のプレゼンテーションで、2024年度は、「これまでの職務経験等から培った自分の強み、本市でどのように活かしていけるか教えてください。」というテーマでした。

 いずれの試験も、事前に提出した資料に基づき5分以内でプレゼンテーションを行い、その後プレゼンテーションに対する質疑応答を行うという流れです。事前に受験案内にテーマが記載されるため、それに沿ったプレゼンテーションの練習をひたすら行うと良いでしょう。

面接試験

 個別面接の形式で行われ、人物的な側面、仕事に対する意欲・適性・コミュニケーション能力などを評価する試験です。
 採用側としては、横浜市が抱える複雑化する行政課題に対応するために有用な経験を持つ人材を、幅広い年代層において確保したいという思いがあります。このため面接試験では公務に適した人物かどうかという部分以外に、職務経験についても深く確認されます。

気になる転職後の年収

 横浜市が公表している一般行政職の職員の平均年齢、平均給料月額及び平均給与月額(給料に各種手当を含めたもの)の状況(令和5年4月1日時点)は以下の通りです。

区分 平均年齢 平均給料月額 平均給与月額

平均給与月額

(国比較ベース)

横浜市

41.0歳

315,258円 427,973円 383,368円
神奈川県 42.9歳 321,965円 429,304円 381,122円
42.4歳 322,487円 404,015円
政令指定都市平均 41.8歳 319,668円 439,873円 379,748円

 また、平均年収は約700万円(平均年齢41.0歳)※1(令和3年度時点)で、民間企業の平均460万円(男性569万円/女性316万円)※2と比べて高い水準となっています。

※1横浜市職員の平均年収はTACが独自に算出した行政事務職の推定額です。
 平均年収=「月額支給される給料及び手当」×12+「年額支給される手当(期末手当・勤勉手当(ボーナス等)/
 「月額支給される給料及び手当」=給料+各種手当(扶養手当、通勤手当等)

※2[参考資料]国税庁民間給与実態統計調査(令和5年度)

まとめ 転職を成功させるために

 いかがでしたか。適性検査、プレゼンテーション、面接の流れをご理解いただくことができましたでしょうか。横浜市職員のみならず公務員に転職するためには、皆さんのこれまでのご経験が横浜市職員としてどのように活かせるか、市民が安心・安全に暮らせるために皆さんに何ができるといったことを考えていく必要があり、しっかりしたキャリアビジョンも重要です。

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    市岡 雅史 講師
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    自治体の部課長として約20年、産業振興、企画・財政、総務、人事など幅広く各分野の施策を担当。

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    原野 哲也 講師
    経験者・氷河期採用コース
    論文対策、面接対策 担当

    外資系企業から自治体へ転職。教育委員会、総務、福祉、人事など幅広く各分野の施策を担当。

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    小谷 はる 講師
    経験者・氷河期採用コース
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    自治体での管理職経験は22年。福祉、環境、広報、人事、芸術文化など幅広く各分野の施策を担当。