特集 経験者コース担当の市岡講師コラム

 公務員講座経験者採用担当講師の市岡です。働きながらの受験では、どうやって公務員として働くことに向けモチベーションを高め、それを維持しながら本試験まで粘り強く勉強していけるかが合格の秘訣と言えます。先輩合格者からもこうした声をよく聴きます。そこで今日は、私の現役時代の経験を踏まえて『経験者採用の魅力』についてお伝えしたいと思います。

期待される民間での経験

 魅力の第一に、採用側からの皆さんのような社会人経験者職員に対する期待がとても大きいことがあげられます。経験者採用制度が始まってから相当期間が経ち、先輩合格者が確かな実績と成果をあげているからです。職務の遂行についてはもちろん、組織や他の職員との関係をめぐっても高い評価があります。民間企業等で培ったチャレンジ・スピリットや経営感覚が職場や他の職員に好影響を与え、組織の活性化に貢献していると言われているからです。困難事例に遭遇した際、「こんな場合、民間ではどう対処していたの?」と意見を求められることもあるそうです。私が採用を担当していた特別区総務部長時代には、新入職員の入庁式で立会部長達から「経験者がいるから、バランスがいい採用ができたね。」とよく声をかけられたものでした。

民間経験などが公正に評価される

 魅力の第二は、給与等の処遇に中途採用のハンディがなく民間経験等が公正に評価される点です。社会人が一般枠の試験を受けて採用された場合にも初任給に民間経験がある程度反映できる「前歴加算」という制度はあります。しかし業務内容によって個別に判断(査定)されるので、必ずしも全部見てくれるというものではありません。それに対し、経験者採用で入れば、民間等で働いていた期間をすでにその役所の職員であったものと見做して初任給を決めてくれます。民間経験を適正に評価して発射台を整えてくれるので安心して働けます。また、公務員の定年延長(段階的に65歳まで)の見通しがほぼ立ったので、採用後の勤務年数が伸びることも安心材料です。各試験種の受験案内等には採用後の給与等モデルが掲載されているので参考にしてください。

多くの経験者採用の公務員が管理職として活躍している

 魅力の第三は、給与等だけでなく採用後の昇任についても中途採用のハンディがないことです。この点は社会人の皆さんにとって入庁後もモチベーションを持ち続けられるとても重要なメリットです。公務員の場合、例えば管理職試験を受けるには、入庁後何年勤務とか主任・係長何年といったかたちで受験資格が設けられています。その結果、もし社会人が一般枠で入った場合には自分より若い同期生と同じだけ勤務年数等が必要になるので、スタート時点の年齢差がずっとついて回る懸念があります。そこで、給与等だけでなく昇任についても民間勤務年数や職務経験が配慮され、きちんと反映される仕組みが整えられています。これにより一般枠で入った同期生よりも早く昇任試験を受けられることになり、中途入庁のハンディが解消できるようになっています。実際に、経験者採用の先輩が多数管理職に登用され活躍しています。しかも実は、管理職試験の合格率は一般枠採用の新卒学生に比べ経験者採用組の方が高いことが知られています。これは、社会人経験者ほど公務員の昇任制度が公平・公正なことを実感しているので、意欲的に昇任試験にチャレンジしているからだと言われています。私も現役時代、管理職を目指している経験者採用職員には激励・アドバイスをよくしてきたものです。また私が最も長く在任した財政課長・企画財政課長(計8年)時代には、政策立案などで部下となった多くの経験者採用職員一人ひとりの創意、熱意、努力に助けられました。

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携わりたい・挑戦したいイメージ持って

 経験者採用は社会人にとってとても魅力のある制度であり、皆さんこそが期待されている人材です。働きながら勉強するのは確かに大変なこともあるでしょうが、公務員になって本当に良かったと思える日を迎えられるよう自信をもって準備を進めてください。そして、少し疲れたなと思ったときは、気分転換に広報部門やHPなどから志望先の政策や取組みなどを調べたり、庁舎へ行ってみたりして、携わりたい・挑戦したい仕事のイメージを膨らませるのもいいでしょう。こうして入庁後のご自身の姿を想像すれば、きっとモチベーションが高まり勉強も捗るのではないかと思います。