経営承継アドバイザーによるコラム【第4回】

事業承継支援で新たな支援メニューを考える

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 事業承継は、単なる承継の瞬間(「事業承継期」)だけに焦点を当てるのではなく、事前の準備段階(プレ承継期)から事業引継ぎ後のアフターフォロー(ポスト承継期)に至るまで、継続的な支援が求められる重要な課題です。これにより、事業者に長期的に伴走する支援が必要であり、新たな支援メニューの開発は、支援者にとっても機会拡大の可能性を秘めています。本コラムでは、その可能性について解説します。

事業承継には長期的かつ広域な視点が必要

 事業の経営には、困難な局面が避けられないことも多いです。しかし、どのような道を進むか、どのようなビジョンを持って事業を展開していくかを考えることは、すべて事業承継の取り組みの一環と見なすことができます。これまでの事業承継は、主に親族内や従業員承継の場合は税務や法務に重点が置かれ、社外承継ではM&Aによる相手探しや譲渡手続きが中心でした。そのため、支援者も税務・法務の専門家やM&Aの実務に精通した機関が主流でした。また、支援の期間も継続的なものではなく、承継期を対象としたスポットの支援となりがちでした。

 しかし、現在の事業承継は「事業承継2.0®」という新たな概念で表されるような状況に進化しています。単なる事業の承継ではなく、事業価値を持続的に維持・成長させるための取り組みが求められるようになっています。これには、現状を正確に把握し、知的資産を再認識して経営に活かし、経営力を向上させるための様々な経営改善策が含まれます。これらの取り組みにより、事業承継支援の領域は税務・法務の枠を超えて、経営そのものや将来のビジョンの構築、デザイン経営にまで広がっています。

承継期の段階

 事業承継には長期的かつ広範な視点が必要です。中小企業庁は、事業承継を単なる「事業承継期」に限定せず、「プレ承継期」から「ポスト承継期」に至るまでの取り組みを含めた、全体像の重要性を強調しています。これは、事業を持続的に継続させるために、事業承継が避けて通れないプロセスであり、経営者がその準備を早い段階から開始することの重要性を示しています。

 このような背景から、事業承継に対する支援者には、承継期に限定せず、事業者の日々の経営に寄り添い、事業の魅力を最大限に引き出すサポート役としての役割・機能が期待されます。支援者は、未来を見据えた事業デザインを支援し、事業者本位の支援を展開するために対話を重ねます。さらに、事業者の課題を俯瞰的に捉え、細部にも目を配ることで、事業構想の相談相手(事業についての相談の壁打ち相手)としての役割・機能も期待されています。

事業承継における支援メニューは大きく広がっている

 事業者との対話の壁打ち相手という存在に対価を払う価値があるのだろうか、そのようなニーズがあるのだろうかという疑問を持たれるかもしれません。しかし、多くの中小企業や小規模事業者の経営者は、自社の現在の状況を振り返ったり、将来を考えたりする際の話し相手、議論の相手がほとんど存在せず、経営者自身が独りで考え悩む、これで良いのだろうかと自問自答以外の術がない状況です。

 ある大手信託銀行は、中小企業庁で現在の施策につながる議論のはじまりとなった事業承継関連法制等研究会(H17)において、事業承継支援の一つとして、息の長い経営者との対話支援の有効性とそのニーズを踏まえたサービスのあり方をすでに示していました。対価の額は、中小企業・小規模事業者の場合、多くを期待は出来ないものの、そのニーズは少なくありません。但し、壁打ち的存在は、経営者と支援者がフラットな関係でなければならず、専門家として教えてあげる「Teaching」の姿勢では成り立ちません。フラットな関係で、事業者・経営者自身の悩みの改善、夢の実現を支援する「Coaching」の姿勢であることが欠かせません。

TeachingではなくCoaching

 このように、事業承継における支援メニューは大きく広がっており、事業者との協力を通じて、より高度で包括的な支援が可能となります。このような支援メニューは、事業者の未来を共に描くための重要な一歩となるでしょう。みなさんが共に取り組むことにより、より多くの企業が持続可能な成長を遂げることを期待しています。

コラム監修

大山雅己氏顔写真

大山 雅己(おおやま まさみ)氏

【経歴】
1987年:筑波大学卒、三井信託銀行(現三井住友信託銀行)入社。個人相談業務、事業会社業務等を経て投資銀行部門にてDIPファイナンス、MBOファイナンス、M&A等の事業再生・事業再編・事業承継支援に従事。
2008年:ジュピター・コンサルティング株式会社設立 代表取締役就任、独立行政法人中小企業基盤整備機構 事業承継コーディネーター就任
2016年:日本証券アナリスト協会PB資格試験委員
2018年:合同会社ゆわく設立 代表社員就任
2019年:千葉商科大学商学研究科客員教授(中小企業経営管理コース 中小企業診断士登録養成課程)

メッセージ
中小企業基盤整備機構の事業承継コーディネーターとして、中小企業の承継問題にかかる施策浸透に向けた取り組みや支援マニュアルの作成等に深く関わってきました。中小・小規模事業者の事業承継を事業者の立場に立って支援できる人材がまだまだ不足しているのが現状です。「事業そのもの」の承継支援に本気で取り組みたい方は、ぜひ「経営承継アドバイザー」を取得してください。

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