タックス ファンタスティック! 第95回テーマ デジタル遺言は日本人の死生観を変えるか?
Part.15 きっかけ編

田久巣会計事務所の代表の田久巣だ。誰にでも資格の勉強をはじめた「きっかけ」というものが必ずあるはずだ。同じように、税理士をはじめとする士業においても仕事で何か新しい取り組みをするとき、「きっかけ」がある。そんな中、またそのあたりを語りたいらしく、このコラムの作者の天野さんがノコノコ現れた。しょうがないので今回も話してもらうことにする。
監 子 今回はちょっと残念なゲストです。天野大輔さんです。また来たんですか?5回前に4回連続出ていたので読者はもう飽き飽きですよ!しかもゲストに来られるとこうしたラジオ風な設定になってしまうし、ほんともう残念です。
大 輔 いやいや、残念はないでしょ!?作者なのだからそのあたりは少し尊重してくれないと!そんなに拗ねてしまったのは何か「きっかけ」でも?
監 子 それこそ大輔さんこそ何が「きっかけ」でまたゲストにノコノコと?
大 輔 田久巣先生も冒頭で同じこと書いていたけど、どうしてそんなに嫌われているんだろうか!?まぁ「きっかけ」としては、最近よく「AIユイゴンWell-B」を作った「きっかけ」を言われることが増えたからなんですよ。しっかり記録に残したいと思って。今日はどんどん質問してくれていいですからね。ワクワク。
監 子 そうなんですね!はい、お時間です。今回は大輔さんがゲストでした。またね~
大 輔 ごきげんよう~っておいっ!
襟 糸 …ノリツッコミが古いし単純だ。
税 太 まあまあ二人とも。自分としては元SEなので開発のこととかかなり気になりますよ。「AIユイゴンWell-B」を作った「きっかけ」って何だったんですか?
大 輔 さすが税太!作者の分身として作ったキャラだけになんと可愛いことよ!「きっかけ」は2023年5月のGW中にふと新聞を見たら一面に「デジタル遺言制度を創設へ 政府、ネット作成・署名不要」の見出しがあったんです。その5分後に自分のTwitter(現在のX)アカウントで「会社としても真剣に取り組みたい」と投稿していて、GW明けにすぐにテック部門のメンバーとプロジェクトを作りました。
税 太 それはすばやい決断でしたね。なぜやる必要があると感じたんですか?
大 輔 イノベーションを起こしたかったんです。シュンペーターの言う通り「既存の知」と「既存の知」の掛け算で発生するとなると、1つは法人として長年専門でがんばってきた「相続」、もう1つは私の方で前職時代含めてがんばってきた「デジタル」。「デジタル遺言制度」はその意味でもうってつけですぐに「これだ!」と思いました。
監 子 そうだったんですね。私も恋愛ではいつも「この人が理想の人だ!」と思うし、会計監査での税効果会計における税率差異分析でも毎回「これが差異の原因だ!」と思うけど、いつも外れます。
大 輔 ほう、それは何がきっかけなのかな?
監 子 恋愛ではイケメンが好きなのでやっぱりファーストインプレッションだし、税率差異もなんとなくこれかな~的な。
襟 糸 なんとも適当な発言。よく会計士試験受かったもんだな。
大 輔 まあまあ。監子ちゃんも私としては生みの親だからなのかもしれないが、「能ある鷹」だと思うよ。上から目線で恐縮だけど、監子ちゃん今の発言が本当なら、もう少し「きっかけ」を大事にしてみては?
監 子 え、どういうことですか?
税 太 分身的存在から解説しますと、「これだ!」と思う前の「きっかけ」となる事象を見て即断しないこと、なのかもしれません。
監 子 でも大輔さんは即断してるじゃないですか。
税 太 それはずっとイノベーションの条件にあてはまる「きっかけ」を探していたからで、監子先輩もどれが条件にあてはまるのかもっと事前に深めてみてもいいのでは?ということかと。
監 子 あ、たしかに無理やり「きっかけ」にしていただけかも。
大 輔 デジタル遺言アプリ「AIユイゴンWell-B」のマスコット猫マダナイ君にも聞いてみよう。どう思う?
マダナイ 勉強をがんばっていてもなかなかうまくいかない受験生の方も「いいきっかけ」が必要だにゃ。自分の強みを活かせるなりたいものをめざす何かに出会えたら最高だにゃ。そのための努力はキツいかもしれないけど、カッケーにゃ!
税 太 お、その「きっかけ」のダジャレも「いいきっかけ」になるかも!
【今回のポイント】
勉強であれ仕事であれ「きっかけ」は大事だ。相続において重要な遺言も作成するときの「きっかけ」としては様々だが、自分の人生を振り返られるという「きっかけ」だとウェルビーイングな気持ちになりやすくて、進みやすかったりする。遺言を書くという行為は、本来「死」を意識することではなく、「どう生きたか」を整理することでもある。デジタルというツールも「きっかけ」としてハードルが下がりやすくなるので、死生観も変わるのではないだろうか。
[『TACNEWS』タックス ファンタスティック!|2026年6月|連載 ]
筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)
1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学・大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で、会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」、2024年に士業のためのSNS「サムシナ」、2025年8月にデジタル遺言アプリ『AIユイゴンWell-B』をリリース。主な著書『相続でモメる人、モメない人』(2023年、講談社/日刊現代)『100億円相続事典』(2024年、日経BP)。2025年より中央経済社『税務弘報』にて「文学で学ぶ相続の知恵」毎月連載中。YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

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