ボイラー技士とは?仕事・試験概要・合格率などを徹底解説!
ボイラー技士とは?

ボイラー技士とは?
「ボイラー技士」とは、正式には国家資格「ボイラー技士免許」を取得した者を指します。主にボイラー(簡易ボイラー・小型・小規模ボイラーを除く、一定規模以上の熱源機器)を安全・確実に運転、管理、点検するために法律(労働安全衛生法およびその施行令・規則)によって義務づけられた専門技術者です。
ボイラー技士の資格はどんな時に必要?
一定規模以上のボイラーを運転・点検・管理する業務を行う場合には、「ボイラー技士」の資格が必要です。
ボイラーは高温・高圧の蒸気や温水を扱う危険性の高い設備であるため、労働安全衛生法により、資格を持つ者が取り扱うことが義務づけられています。
具体的には、次のような現場でボイラー技士を選任する必要があります。
- 病院・ホテル・商業施設など、暖房や給湯設備として大型ボイラーを使用している施設
- 工場・プラントなどで、蒸気を生産ラインの熱源として使用している事業所
- ビルや施設全体の空調・暖房を担う熱源設備
これらの施設では、ボイラーの運転中に
「圧力・水位の監視」「燃焼状態の確認」「緊急時の対応」
などを行うため、ボイラー技士(2級以上)の選任が必須となります。
ボイラー技士の資格の種類
ボイラー技士の資格は、取り扱うことのできるボイラーの規模や業務範囲に応じて 3つの等級に分かれています。
- ●二級ボイラー技士
- ●一級ボイラー技士
- ●特級ボイラー技士
各等級ごとに、運転できるボイラーの範囲や、主任者として関わることができる業務範囲が異なります。
二級ボイラー技士
最も取得しやすい基礎資格で、伝熱面積25㎡以上のボイラーの運転・点検・管理ができます。
一級ボイラー技士
二級の上位資格で、500㎡未満のボイラーの運転・点検・管理が可能です。
特級ボイラー技士
最上位資格で、伝熱面積の制限なく全てのボイラーの運転・管理・監督を行うことができる資格です。
ボイラー技士資格のニーズのある業種・職種
ビル管理・ビルメンテナンス会社

一番身近で一番ニーズの多い職場!
最も身近でニーズが多いのがビル管理・ビルメンテナンスの業界です。商業ビル・オフィスビル・大型施設では、暖房・給湯・空調にボイラーを使用しており、設備の運転・点検を行うために二級ボイラー技士を必要としている企業が多くあります。いわゆる「ビルメン4点セット」の一つとして定番の資格です。
ビルメン4点セットとは、ビル設備管理の仕事をするうえで“4点全て持っていると強い”とされる 4つの国家資格のセットを指します。
- 二級ボイラー技士
- 第二種電気工事士
- 危険物取扱者乙種4類
- 第三種冷凍機械責任者
病院・ホテルなどの大型施設

病院、ホテルなどでは、暖房・給湯・消毒などで大量の蒸気や温水を使用します。
これらの施設でもボイラー設備は欠かせず、安全に運転するためにボイラー技士の選任が必要になるケースが多い職場です。
工場(食品・化学・製紙など)

生産ラインで蒸気を使う工場では、大型ボイラーが常時稼働しています。
食品工場や化学工場などでは、ボイラー技士を配置することが必要となる場合もあり、ニーズが高い業種です。
二級ボイラー技士を取得するメリット
1
資格手当が出る企業が多い!
ビルのメンテナンス業などでは、ボイラー設備の運転が必要となるため、ボイラー技士の資格を持っていると資格手当が支給されるケースが多くあります。さらに、ボイラー技士を足がかりに関連資格へ挑戦することで、収入アップの機会を広げることも可能です。
2
比較的取得しやすく、活かせる職場が多い!
二級ボイラー技士は、国家資格の中でも比較的取り組みやすく、未経験から挑戦する人も多い資格です。
また、ビル管理・工場・ホテル・病院など、資格を必要とする職場が幅広い点も大きな魅力です。
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二級ボイラー技士免許取得要件
二級ボイラー技士の免許は、「二級ボイラー技士免許試験(学科試験)合格」+「必要に応じた実務経験」を満たすことで取得できます。
取得要件①二級ボイラー技士免許試験(学科試験)に合格する
二級ボイラー技士の試験は、誰でも受験できる国家試験です。
受験資格はなく、試験に合格すれば第一段階クリアとなります。
取得要件②実務経験または学歴による要件、ボイラー実技講習の受講
二級ボイラー技士の免許を取得するためには、以下いずれかの条件を経る必要があります。
- 学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校等においてボイラーに関する学科を修め3ヶ月以上の実地修習を経た者
- 6ヶ月以上ボイラーの取扱いの実地修習を経た者
- 都道府県労働局長又は登録教習機関が行ったボイラー取扱技能講習を修了し、4ヶ月以上小規模ボイラーを取扱った経験がある者
- 登録ボイラー実技講習機関が行うボイラー実技講習(20時間)を修了した者
- 熱管理士免状(エネルギー管理士(熱)免状も該当)を有する者で、1年以上の実地修習を経た者
- 海技士(機関3級以上)免許を受けた者
- 海技士(機関4,5級)の免許を有する者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーの取扱経験者
- ボイラー・タービン主任技術者(1種,2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーの取扱い経験者
- 保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格したもので、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
- 鉱山において、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーを取り扱った経験がある者 (但しゲージ圧力が0.4MPa以上の蒸気ボイラー又はゲージ圧力0.4MPa以上の温水ボイラーに限る。)
「ボイラー実技講習」の受講が一般的
最も一般的な選択方法です。未経験者の多くは『ボイラー実技講習』の受講を選択します。
● ボイラー実技講習(2~3日間/計20時間)
- ボイラーの仕組み
- 運転操作(点火・燃焼調整など)
- 安全装置・計器の確認
- 日常点検・異常時対応
ボイラー実技講習を修了すると、免許申請が可能となります。
そのため、多くの受講者が以下の流れでボイラー技士免許を取得しています。
筆記試験 → ボイラー実技講習 → 免許申請
二級ボイラー技士 試験ガイド
二級ボイラー技士免許試験の概要と受験資格
二級ボイラー技士免許試験には受験資格はありません。 誰でも受験することができ、全国の安全衛生技術センターで定期的に実施されています。
-
試験方式
マークシート(五肢択一式)
-
試験会場
全国9箇所の安全衛生技術センター
-
試験日
地域ごとに月1~2回実施
-
受験資格
特になし
二級ボイラー技士免許試験の試験科目と問題形式
二級ボイラー技士の試験は、4つの試験科目と問題数で出題されます。
| 試験科目 | 出題数(配点) | 試験時間 |
|---|---|---|
| ボイラーの構造に関する知識 | 10問(100点) | 13:30~16:30 3時間(180分) |
| ボイラーの取扱いに関する知識 | 10問(100点) | |
| 燃料及び燃焼に関する知識 | 10問(100点) | |
| 関係法令 | 10問(100点) |
合格基準|二級ボイラー技士免許試験
科目ごとの得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること
- 総合点:60%以上
- ボイラーの構造に関する知識:40%以上
- ボイラーの取扱いに関する知識:40%以上
- 燃焼及び燃焼に関する知識:40%以上
- 関係法令:40%以上
つまり、総合得点だけでなく、各分野で一定以上得点できていることが求められます。
二級ボイラー技士免許試験の申込方法
試験の申込手続はインターネット、もしくは書面で行います。
申し込み時に必要なもの、受験手数料、支払い方法、締切日などの手続きを確認しておきましょう。
正確な実施スケジュール・申込手続きは公式サイトをご参照ください。
二級ボイラー技士の合格率・受験データ
受験者数・合格者数・合格率
二級ボイラー技士の過去5年の受験者数・合格者数・合格率は次のとおりです。
| 年度 | 受験者(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 21,226 | 11,428 | 53.8% |
| 2023年度 | 22,178 | 12,137 | 54.7% |
| 2022年度 | 23,978 | 12,227 | 51.0% |
| 2021年度 | 24,260 | 12,953 | 53.4% |
| 2020年度 | 16,098 | 9,400 | 58.4% |
受験申込者数や受験者数、合格率の推移をグラフに示すと次のとおりです。

まとめ
1
ボイラー技士とは、一定規模以上のボイラーを安全に運転・管理するために必要な国家資格。労働安全衛生法で定められており、ボイラーの運転には資格者が必要。
2
資格は「二級・一級・特級」の3種類があり、扱えるボイラーの規模や主任者としての範囲が異なる。特に二級は受験資格がなく、多くの人が最初に取得する基礎資格。
3
病院・ホテル・工場・ビル管理など資格が必要な職場は多く、資格手当・昇進要件として扱われる企業も。比較的取得しやすく、就職先も豊富なためメリットの多い資格。
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