タックス ファンタスティック! 第100回テーマ

100回目の同窓会 ―勘定も、感情も、その先へ―


 ■ 登場人物の紹介

 ・簿記美(ぼきみ):簿記に詳しい事務所スタッフ。第1回から登場。

 ・なわこ:第60回にゲスト出演した編集者。

 ・AI税太:税太を「師匠」と呼ぶAIキャラクター。

 ・大輔:天野大輔。このコラムの作者。

 ・マダナイ:デジタル遺言アプリ「AIユイゴンWell-B」のマスコット猫。

田久巣会計事務所の代表の田久巣だ。おかげさまで、この連載も100回を迎えた。読者のみなさま、支えてくださった編集部のみなさまに、心から御礼申し上げたい。今回は、懐かしい顔ぶれも集まっての記念回だ。相続、事業承継、文学、AIと話題は広がったが、私たちは何か変わったのだろうか。ちなみに登場人物紹介では、税太君は今も入社2年目。連載回数と勤続年数の突合は、今回はご容赦いただきたい。



監 子 ついに100回!感動の大団円です!


税 太 勝手に最終回にしないでください!


襟 糸 吾輩の活躍を100回も読めるとは、読者は幸せだな。


簿記美 税太さん、奥さんから電話です!


税 太 あれ、簿記美ちゃん!懐かしい!って、そのセリフ、第1回と同じじゃない?


簿記美 覚えていてくれました?今回も電話はうそです。100回記念なので、最初のセリフを言ってみました。


監 子 作者のコピペを、記念企画に昇格させた!


襟 糸 簿記美ちゃん、最近どこにいたんだい?


簿記美 事務所です。席はあるのにセリフがないんです。


税 太 それは作者に相談したほうが…。


大 輔 呼ばれた気がしました。100回、本当にありがとうございます!


監 子 呼んでません。簿記美ちゃんの出演機会について事情聴取中です。


大 輔 いや、その、最近はAIやデジタル遺言の話が多くて…。


簿記美 簿記もAIも、私に関係ある話ですよ!登場人物の棚卸をお願いします。


なわこ みなさん、お久しぶりです。100回、おめでとうございます!


税 太 第60回で子育ての相談に乗ってくださった、編集者のなわこさん!今日は豪華ですね。


監 子 作者の独演会を防ぐためにも、来ていただきました。


大 輔 記念回くらい、少しは褒めてくれても…。


なわこ もちろんです。でも、まず読者のみなさんに何を届けたいか、ですよね。


襟 糸 やはり吾輩の名言集を。


監 子 それ、誰も頼んでないんです。


簿記美 第1回のテーマは「勘定より感情?」でしたね。相続税の計算だけでなく、残されたお母様の生活や気持ちも考えよう、という話でした。


税 太 僕は初めて相続の仕事を任されて、襟糸先輩の説明に、お母様はどう思うんだろうって引っかかったんです。


襟 糸 計算を間違えないことは当然大切だ。しかし、計算だけでは見えないものもある。吾輩もあれから成長した。


監 子 自己評価は第1回から高値安定ですね。


簿記美 第12回では、AIに仕事を奪われるのでは、と私も心配していました。あの頃はアンドロイド税理士なんて話をしていたのに…。


AI税太 ご無沙汰しております、師匠。


税 太 AI税太!君まで来てくれたの?


監 子 以前は猫耳もついていたわよね。今日は?


AI税太 マダナイ君がいるので、猫の役は譲りました。


マダナイ にゃ。100回記念でも、キャラの整理は必要だにゃ。


税 太 AI同士で役割分担している!


簿記美 昔は「AIに仕事を奪われる?」だったのが、今は「AIと何をつくる?」になってきたんですね。


大 輔 そこは僕も大きく変わりました。でも、大切にしたいことは第1回からつながっています。数字の向こうにいる人の気持ちを、置き去りにしたくない。


監 子 私の恋愛も、スペックだけで選んではダメということね。


襟 糸 100回かけて、ようやくそこに到達したか。


監 子 先輩の自己評価の見直しも、そろそろお願いします!


大 輔 「AIユイゴンWell-B」も、AIとの対話で想いを整理し、遺言書の草案づくりを支えるアプリです。遺言を、死への備えとしてだけでなく、大切な人との関係を考えるきっかけにもしたいんです。


税 太 想いを言葉にすることと、それを法律に沿った遺言にすること。その両方を大事にしたいですね。


襟 糸 つまり「勘定より感情」から、「勘定も感情も」へ、ということか。


AI税太 そして、どう支援すればよいかを、一緒に考え続けるんですね。


簿記美 なら、私の簿記の知識もまだまだ出番がありますね。


税 太 僕も元SEの経験を生かして、実務で見つけた困りごとを、開発につなげたいです。


監 子 私は利用者の気持ちを監査します!


襟 糸 まずは自分の恋愛の内部統制からだな。


大 輔 そういう違う得意を持つ人たちと、これからの士業の仕事をつくりたいんです。


監 子 あ、100回記念に採用の話も入れてきた!


大 輔 それもあります。でも今日は、まずお礼です。勉強やお仕事の合間に読んでくださるみなさん、原稿を一緒につくってくださる編集部のみなさん。本当にありがとうございます。これからも、士業の仕事って面白そうだと思ってもらえる連載にしたいです。


なわこ では、そのためにも次の100回へ、ですね。


田久巣 その前に問題だ。「百」から「一」を取ったら何になる?


税 太 99…あ、漢字なら「白」ですね!


田久巣 そう。経験を重ねても、ときには白紙から考える。原点を忘れず、変わっていこうじゃないか。


監 子 ところで作者さん、101回目の原稿は?


大 輔 白紙です。


なわこ そこまで原点に戻らなくて大丈夫です(笑)。

【今回のポイント】

第1回から100回目まで、相続や士業をめぐる話題は広がった。しかし、その真ん中にいるのは、いつも人だ。数字を正確に読み、相手の話を丁寧に聞き、その人にとって大切なことを一緒に考える。AIやデジタルは、その姿勢を捨てるためではなく、もっと多くの人に届けるために生かしたい。資格の勉強も、実務の経験も、新しい挑戦につながっている。100回続いたのは、読んでくださる人、支えてくださる人がいたからだ。感謝を胸に、101回目へ。『百』から『一』を取れば『白』。初心には戻っても、原稿まで白紙に戻してはいけないぞ、作者!


[『TACNEWS』タックス ファンタスティック!|2026年11月|連載 ]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学・大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格し、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後、相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」、2024年に士業のためのSNS「サムシナ」、2025年8月にデジタル遺言アプリ『AIユイゴンWell-B』をリリース。主な著書に『相続でモメる人、モメない人』(2023年、講談社/日刊現代)、『100億円相続事典』(2024年、日経BP)がある。2025年より中央経済社『税務弘報』にて「文学で学ぶ相続の知恵」を全12回連載。2026年より全国賃貸住宅新聞社『地主と家主』にて「名作に学ぶ地主と相続」を毎月連載中。YouTubeチャンネル「相続と文学」を配信中。

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