特集 2025年度国家総合職試験合格者にインタビュー

全体を俯瞰しながら社会を良くしていけるのが
国家総合職の魅力

 中央省庁の幹部候補(官僚)として、政策企画立案、法案作成、予算編成などに携わる国家総合職。国家をデザインするダイナミックな仕事を行うのが特徴です。今回は、2025年度国家総合職試験に合格したTAC生の内定者3名に、官僚をめざしたきっかけやTACの活用方法、これから実現したいことなどをお聞きしました。

左から

■足立 佳夏(あだち かな)さん
神奈川県出身
慶應義塾大学文学部
受講コース:政治・国際・人文本科生(Web通信講座)
受験区分:教養区分
内定先:外務省

■松本 幸 (まつもと ゆき)さん
東京都出身
早稲田大学文化構想学部
受講コース:政治・国際・人文本科生(教室+Web講座・早稲田校)
受験区分:教養区分
内定先:総務省

■二石 智生(ふたいし ともき)さん
鹿児島県出身
早稲田大学政治経済学部
受講コース:政治・国際・人文本科生(教室+Web講座・早稲田校)
受験区分:教養区分
内定先:外務省

「自分たちが社会を作っていく」という気概に刺激を受けた

──国家総合職への内定、おめでとうございます。みなさんが国家総合職をめざしたきっかけを教えてください。

二石 高校時代に国家公務員の方にお話を聞く機会があり、仕事の内容や面白さを知ったことがきっかけです。自分が今まで受けてきた教育は、多くの人によって考えられ、形づくられていることを実感し、興味深く感じました。また、当時は国連の仕事に興味を持っていたのですが、国家公務員が国連に出向する場合もあることや、国連のような外交の仕事を担うのは外務省であることも教えられ、外務省で働きたいと思うようになりました。

足立 大学3年生の夏から10ヵ月間、交換留学でアメリカに滞在しました。社会的・経済的問題を抱える国からも「自分たちの世代が社会をよくしていくんだ」という気概を持って学びに来る学生が複数いて、刺激を受けました。渡米するまでは漠然と民間企業への就職を考えていたのですが、「私も日本社会に直結するような仕事をしていきたい」と思うようになり、国家総合職をめざすことにしました。

松本 高校生のときに『社会学入門』(見田宗介/岩波書店)を読んで「越境する知」という言葉に感銘を受け、大学で社会学を専攻しました。家族社会学やジェンダー、高齢社会に特化した勉強をしていくうちに、国家総合職ならば、社会学を通じて養った複数の視点からさまざまな人に関わる社会課題を解決していけるのではないかと思いました。公共の立場から物事を俯瞰して見ることができるのが国家総合職の魅力だと感じます。

──国家総合職受験を決意した時期と、独学ではなくTACを選んだ理由を教えてください。

松本 大学2年生の終わりの、2024年3月にTACへ入会しました。大学3年次はサークルの幹部業務で忙しくなると分かっていたため早めに勉強を始めておきたかったからです。また、大学での専攻内容と国家総合職試験の科目とで関連性が弱く、春試験までを見据えた対策は独学では難しいと感じたため受験指導校を利用することにしました。TACのことは大学で配られていたティッシュで知っていたのですが、国家総合職試験に合格した先輩から「官庁訪問ではTAC生も多く、合格後のフォローも手厚い。仲間が作りやすい印象」と聞いたこともあり、合格のためのノウハウを豊富に持っていそうだと感じて選びました。

二石 大学3年生の5月にTACに入会しました。周囲に国家総合職試験の対策を本格的にしている人はいなかったため、情報収集や仲間づくりのためにも受験指導校に通おうと決めました。松本さん同様、大学でティッシュを配っていたTACともうひとつ別の受験指導校を検討しました。TACを選んだのは、実際に通っている先輩が身近にいたことと、しっかり合格実績を出していることが決め手でした。

足立 私は大学3年生の5月末に交換留学から帰国したので、6月に国家総合職受験を決意しTACに入会、7月から勉強を始めました。TACを知ったのは私もティッシュをもらったからです(笑)。教養区分の試験日程が迫っていたので、通学せず、Webで1次試験の勉強ができる受験指導校を複数検討してみたところ、TACのカリキュラムが自分の受験したい科目に合っていたので選びました。自宅から近い校舎で受講相談ができ、大学生協から受講手続きができたのも便利でしたね。

早めに合格でき、心と時間に余裕が生まれる教養区分はおすすめ

──皆さんが教養区分を選んだ理由を教えてください。また、春試験の受験も予定はされていましたか?

二石 受講開始当時は教養区分のことを知らず、春試験を政治・国際・人文区分で受けるつもりでいました。TAC早稲田校での月1回の担任カウンセリングでもそう伝えたところ「教養区分という試験が秋にあるから先に受けてみては?」とすすめられ、試しに過去問を解いてみたところ間に合いそうだったので挑戦しました。

松本 私は最初から、まず教養区分に挑戦し、不合格の場合は春試験を受けると決めていました。教養区分で力を発揮できればラッキーと考えていましたが「もし秋試験がダメでも春が残っている」というのは安心材料でしたね。

足立 TACに入会してから教養区分の1次試験まで2、3ヵ月しか時間がなかったため、勉強開始時は春試験の受験を中心に考えていました。基礎能力試験の一部は秋試験と春試験で共通なので、まずはその部分に取り組み、教養区分には気楽な気持ちで挑めたのもよかったのかもしれません。

──受験勉強を進める上で、どのようにモチベーションを維持しましたか。

足立 準備期間が比較的短かったため、モチベーションがあまり途切れることなく勉強を続けられたと思います。また、教養区分の1次試験から2次試験の合格が出るまでの間は、所属していたオーケストラサークルの活動で忙しく過ごしていました。サークルや自宅で楽器を触っている時間は勉強の息抜きにもなりました。

松本 私も津軽三味線のサークルに所属していて、演奏会や学園祭での発表の時間を縫うように勉強していました。常に「今ある時間でできることをやろう」という気持ちだったので、中だるみすることはなかったです。

二石 勉強開始当初は「春試験での合格」を目標に設定していたので、時間的な余裕のおかげでそれほど焦らずに勉強することができました。また、飲み会や、体を動かすことはよい気晴らしになりました。平日は勉強に力を入れ、週末は地元の鹿児島から上京している高校時代の友人たちを誘ってフットサル大会に出たりしていました。

──教養区分攻略のポイントやおすすめのTAC活用法があればぜひ教えてください。

足立 1次試験に関しては得意分野と苦手分野を把握し、いかに効率的に勉強を進めていけるかがキーになると思います。私の場合は、数的処理の問題演習に力を入れました。2次試験については、TACで実施されていた面接対策や模擬企画提案、模擬政策課題討議などを積極的に活用しました。

二石 私も足立さんと同様、1次試験対策は自分が持っている知識で得点できる分野とそうでない分野を洗い出し、勉強時間をうまく配分するようにしていました。迷う場合は担任カウンセリングで講師に相談し、背中を押してもらいました。

松本 教養区分は近年、出願者数や採用人数が増えています。早く合格が出ることや、官庁訪問までの間に民間企業への就職活動も行う時間があること、など学生にとってのメリットは大きいので、チャレンジする価値は大きいと思います。

演習は対面講義、暗記科目はWeb、と使い分けて学習効果を上げた

──通学の方はライブ講義とWeb講義視聴の使い分け方、通信の方はWeb講義の視聴の進め方について教えてください

松本 数的処理は講義内で緊張感を持って演習をしたかったので対面講義を選択しました。わからなかった箇所は講義のあとすぐに講師に質問できたこともよかったです。逆に、知識を入れていくことがメインとなる科目は効率を重視しWebで受講するようにしていました。

二石 私はスタートが比較的遅い方だったため、自分のペースで受けられるWeb講義のみ視聴していました。疑問点は月1回の担任カウンセリングで解消するようにしていました。

足立 入会から教養区分の試験まで2、3ヵ月しかなかったため、苦手分野のみWeb講義を受講していました。秋試験後はあまり自信がなかったこともあり、すぐに春試験の勉強に移り、政治学の講義動画の視聴をしていました。

──官庁訪問攻略のポイントや官庁訪問時の印象的なエピソードがあれば教えてください

二石 秋試験の最終合格から官庁訪問まで半年くらい時間ができたので、この期間を利用して省庁主催の説明会にできるだけ参加していました。また、説明会と並行して、年明けくらいから学生同士のコミュニティで勉強会や、外務省志望の人たちで集まって対策会をしたことで、「外務省に行きたい」という気持ちをほぼ固めることができました。官庁訪問では、人事課面接の面接官が同郷だったことが非常に印象に残っています。出身高校やサッカーの話で盛り上がり、緊張をほどくことができました。

松本 官庁訪問まではインターンシップや説明会に参加しながら、自分自身の問題意識や関心を明確化することを心がけていました。官庁訪問中は複数の省庁の魅力に触れましたが、自分にとって今後のキャリアが見通しやすく、総合性と専門性がどちらも磨けそうだと感じた総務省に行くことに決めました。

足立 私も興味を持った省庁の説明会やワークショップはなるべく参加しました。ただ、私の場合はかなり最後のタイミングまで進路に悩みました。様々な人からの情報やアドバイスは参考にした上で「最後は絶対に自分の意思で決め切るんだ」という気持ちを持ち続けることが重要だと感じます。人事課面接や原課面接では等身大でのコミュニケーションを大事にし、楽しむことがいい結果につながると思います。

──民間企業での就職活動や、他の公務員試験との併願はしましたか。

二石 「外務省で働きたい」という気持ちが最後までブレなかったため、国家総合職の受験以外は一切しませんでした。

足立 コンサル、金融、商社などを回りましたが、民間企業での就職活動を経験したことで「自分のやりたいことは省庁にある」と気づくことができました。

松本 民間企業は人材系・コンサル系でエントリーしました。私も足立さんと同じように、「ひとつの企業ではなく公共の立場で働きたい」という自分の志向がわかりました。他の公務員試験は東京都も新方式で受験しました。

人生のどのタイミングでも勉強しておいて損はない

──国家総合職試験を受けるにあたり、経験しておいてよかったと思うことがあれば教えてください。

二石 大学入学共通テストを受けたことです。大学受験時に勉強した内容が記憶に残っていたので、教養区分の1次試験対策で活用できました。人生のどのタイミングにおいても、勉強しておいて損をすることはひとつもないと実感しました。また、これまで部活やサークル、国会議員事務所でのインターンなどで様々な世代の方とコミュニケーションをとってきたので、その経験は官庁訪問で活かせたと思います。

松本 二石さんがおっしゃる通り、一生懸命に何かを学んだ経験というのは大切だと思います。私の場合は長期の海外留学やインターンなどの目立った経験はなかったのですが、大学のゼミでのインタビュー調査やフィールドワークについて面接で話せたことで「大学4年間、何に関心を持って過ごしたか」が自分なりに表現できたと思います。

足立 省庁のイベントで職員の方と直接お話ができたことは、業務を具体的にイメージする助けになりました。また、大学時代はオーケストラサークルの活動や長期の交換留学などに勤しんでいたのですが、その中で気づいたこと、考えたことは、面接で話すための格好の素材になりました。

──TACを選んでよかった点はありますか? 講師とのやりとりで印象に残ったエピソードもあれば教えてください。

足立 1次試験対策はWebのみでしたが、教材が豊富だったため十分に演習しながら勉強を進めることができました。2次試験対策から校舎に足を運びましたが、講師の方が私の名前を覚えてくださっていたのもうれしかったです。面接などもたくさん練習を積めたことで、2次試験でもよい結果をいただくことができたと思っています。

二石 2次試験対策の模擬イベントに参加することで、志望者の仲間が増えていくのが心強かったです。晴れて内定者同期となった人も複数います。また、担任講師にカウンセリングで政策について質問をすると、膨大な情報が返ってくるので、また質問して…と何度もやりとりしたことが印象的です。この経験は、2次試験の企画提案試験に活きたと思います。

松本 サークル活動が忙しく「教養区分では合格できない」と心が折れかけたことがありました。担任講師に相談すると、今まで見てきた受験生の例をたくさんあげた上で「諦めなければ勝機はある」と真正面から励ましてくださったことが忘れられません。TACにはバリエーションに富んだ講座や手厚いサービスがあるので、安心して通うことができると思います。

「自分の気持ち」だけに従って行動してみてほしい

──入省後、実現したい夢や目標を教えてください。

二石 グローバル化する世界において、日本は経済や防衛などあらゆる面で他国と関わっていく必要があります。各分野での交渉は専門とする省庁が行うことが多いと思いますが、総合的な調整や、前提となる友好関係や枠組みの維持は外務省でしかできないと思います。入省後は、知識を蓄えスキルを磨き、そのような舞台で活躍したいと考えています。外交で国民の生活を安定させ、豊かな社会を維持する助けになればと思います。

足立 日本と国際社会を繋げる架け橋となりながら、日本の国際社会におけるプレゼンス向上に貢献できる行政官、外交官をめざしたいと考えています。外務省は国益と国際益、両方を俯瞰できる省庁だと思うので、ここにいるからこそ持てる視点を大切にしていきます。

松本 総務省が所管している行政管理・評価分野、地方自治分野、情報通信分野だけでなく、社会保障、安全保障、インフラなど、様々な分野で解決すべき課題がたくさんあると感じています。複雑な状況をひとつずつひもといていき、先の見通しを示しながら解決していきたいです。国民が将来に対して不安ではなく安心を感じられる社会を、行政を通じて実現したいです。

──これから身につけたいスキルはありますか。

松本 統計やEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)への造詣を深めたいです。現在の社会を適切に把握し、改善していくために必要なスキルだと感じるからです。

二石 語学力を磨きつつ、さまざまな省庁の方々との人脈を広げていきたいと思っています。語学に関しては、目標は高く英語とアラビア語両方で、国連でスピーチができるくらい堪能になりたいです。人脈に関しては、外務省は他省庁との調整が求められるところなので、各分野で頼れる人を見つけて相談できるよう日ごろから広くコミュニケーションを取っていきたいです。

足立 私も二石さんと同じく、語学力をより高めていきたいです。マルチ外交に興味があり、多国間での交渉の場に携わりたいと考えているので、英語以外の言語、例えば、フランス語などを使えるようになりたいです。加えて、入省したら日々の業務に追われるとは思いますが、国際秩序を大局的な視点を持って捉えていくことは忘れないようにしたいです。

──最後に、国家総合職をめざす方にメッセージをお願いします。

松本 受験勉強や説明会、官庁訪問を通じてたくさん優秀な方々と出会うため、刺激になる一方で「私が国家総合職をめざしてもいいのだろうか」と引け目を感じることもありました。振り返って思うのは、志望理由は人それぞれ違って当たり前で、優劣はつけられないということです。「国家総合職をめざしたい」と思った原点を大切に、最後までがんばってください。

足立 内定までのプロセスが長いので、行き詰まる場面も多いと思います。そのようなときは、自分が立てた志やめざす姿を思い出して、コツコツと取り組んでみてください。進路に悩んだときは、信頼できる様々な人に相談した上で、最後は自分の心に正直に、自分の意思で決めましょう。皆さんが納得のいく進路選択ができるよう心より応援しています。

二石 選択に迷ったときは、自分の気持ちだけに従って行動して欲しいです。例えば、受験直前に「勉強が足りていないから今回の試験は見送ろうかな」と思っても「国家総合職として働きたいから受験勉強を始めた」という事実を忘れないでください。今の試験制度では複数回受験ができ、官庁訪問では複数の省庁を回ることができるので、思い切って挑戦してほしいです。

──皆さんのご活躍をお祈りしております。本日はありがとうございました。

[『TACNEWS』 2026年1月|特集] 

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