タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第68回テーマ 士業が事業承継に強くなれるコツって?


税 太 『仏の顔も三度まで!』


監 子 なになに、税太君、いきなりどうしたの?ことわざの暗記?


襟 糸 監子君、私のキャラじゃないので言い慣れていないのだが、『そんなわけないやろ!』と突っ込ませてもらおう。きっと、誰かさんがいつもしつこく恋愛相談をするものだから、いい人代表の税太君もさすがにストレスがたまって、そう叫んでしまったのだろう。


監 子 何よそれ!絶対違うわ。きっと、誰かさんがいつも嫌味なエリート臭をふりまいて蘊蓄をたれるものだから、いい人代表の税太君もさすがにストレスがたまって、そう叫んでしまったのよ。


田久巣 まあまあ、もめないもめない。はい、ホットケーキ。


監 子 仏だけに!あれ?毎度この連載でおなじみのダジャレがきたってことは今回のコラムはここで終わり?


税 太 私もキャラじゃないので言い慣れていないんですが、『そんなわけないやろ!』。もう、皆さん僕の話をまともに聞いて下さい!実は先日顧問先に行ったときに、先方の社長に「税太さん、この前、事業承継の相談をしましたよね。株価が高くていろいろ銀行さんとかからも提案を受けているけどどうしたらいいのかって。それなのにいつも検討しますって言うだけでしっかりと答えてくれないじゃないですか。次回はちゃんといい提案してくださいね。『仏の顔も三度まで』ですよ!」って言われちゃったんです。


襟 糸 なんだ、そんなことか。


監 子 なんだ、そんなことか。


田久巣 なんだ、そんなことか。


税 太 みなさん同じセリフしか言わないなんて、冷たすぎませんか!僕は真剣に悩んでいるんです!


監 子 それだったら私たちの事務所を参考にすればいいじゃないの。田久巣代表のお子さんは大学生だったけど、以前事務所に遊びにいらしていたでしょ?事業承継を真剣に考えているのよ。身近にいるんだから観察すればいいのよ!私も父が士業で承継について結構考えたから、相談はいつでもウェルカムよ。


襟 糸 確かに、自分の体験したことや身近な事例を深く疑似体験して、顧客のコンサルをするのは非常に有効だ。


田久巣 その通り。士業の世界だって、顧客と同じように後継者問題や事業承継問題が切実だ。形式的には承継できても、内部の体制づくりは難易度が高い。でもその悩んだ分が、顧客のコンサルにとても活きるんだ。


税 太  なるほど!確かに『灯台下暗し』でした。事務所の事業承継や皆さんの承継体験から学ぶといいのですね!あ、でもさっきお話しした社長から指摘されてしまった問題は解決していません。どうするといいのでしょうか?


監 子 私なら、まずは社長と『ホットケーキ』を食べるかな?そして本当の気持ちを聞かせてもらえるまでしっかりコミュニケーションするかな!

【今回のポイント】

士業は事業承継の相談を受けることが多い。特に税理士は顧問先個人との関係も深く、雑談する機会も多いので、事業承継の話は結構出てくる。しかしなかなか顧問先を満足させる回答を差し上げることは難しい。もちろん技術的なスキルが不足していることもあるだろうが、技術だけでは満足しないことが多いのが事業承継だ。そこには、事業承継を実際に経験したり、密度の濃い疑似体験をしたりしていないとわからない感情の問題も多い。しかし皆がその経験はできない。とはいえ会計事務所にいると結構学べる。案件を通して事業承継に触れる機会もあるし、自分が所属する事務所自体の承継を課題としている事務所も少なくないため、事務所の雰囲気を見て学べることも多いのだ。事務所メンバーにも、親が士業で承継を意識している人もいたりする。体験できないなら、事務所内で聞きまくる。士業は「仏」に近い良い人が多いから、そういった相談は「ほっとけ」ないものなのだ。


[『TACNEWS』 2024年4月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学・同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『相続でモメる人、モメない人』(2023年、講談社/日刊現代)。2023年、YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

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