特集 広がる建築士の世界
~静岡県建築住宅まちづくりセンターの挑戦~

地域のあらゆる建築需要を側面から支援すべく、「お客様の満足度100%」をめざして業務を進めています。

青山 巖氏、中村 久夫氏
Profile

一般財団法人 静岡県建築住宅まちづくりセンター理事長
一級建築士 建築基準適合判定資格者
青山 巖氏(あおやま いわお)

東海大学建設工学部建築科卒業。静岡県奉職。都市住宅部営繕課長、建築住宅総室長、技監を歴任。2003年4月、静岡県建築住宅まちづくりセンター入所、常任理事。専務理事、副理事長を経て、2008年4月より理事長。

まちせんアカデミー校長
一級建築士 一級建築施工管理技士
建築基準適合判定資格者
中村 久夫氏(なかむら ひさお)

日本大学理工学部海洋建築科卒業。(株)ヨネザワ、東海土建(株)を経て、2000年9月、静岡県建築住宅まちづくりセンター入所。2016年より、まちせんアカデミー校長。

 一級建築士の仕事と聞くと、マンションやオフィスビルなど建物の設計を行い、それを元に建築現場で監督を務める設計事務所や建築会社、住宅メーカーの有資格者を思い浮かべるのではないだろうか。こうした「建築物を作る側の一級建築士」がいる一方で、「建てられる建築物が法令や制度に適合しているかどうかをチェックする一級建築士」も存在している。静岡県建築住宅まちづくりセンターは、民間財団機関トップクラスの職員数と一級建築士数を誇る指定確認検査機関として2000年に発足し、現在静岡県内のシェア8割を占める組織だ。センターは、TACと提携し、「まちせんアカデミー」という建築士の学校まで設立した。若手建築士の育成にも大きく貢献するセンターの挑戦から、一級建築士の広がる可能性を探ってみたい。

全国でもトップクラス規模の民間機関

──まずは一般財団法人静岡県建築住宅まちづくりセンターをご紹介ください。

青山 1999年5月の建築基準法改正によって、それまで行政が行っていた建築確認申請業務を民間にも開放することになりました。その際、静岡県の指定確認検査機関として民間機関を立ち上げようということになり、建築物の定期報告を担っていた当時の財団法人静岡県建築安全協会を発展的に改組して創設されたのが静岡県建築住宅まちづくりセンター(以下、センター)です。
 2000年に立ち上げた時は12~13名だった組織は、現在212名。民間財団機関としてはトップクラスの規模に成長しています。

──指定確認検査機関とは、どのような組織ですか。

青山 建築基準法に基づき、建築確認や検査を行う機関として、国土交通大臣や都道府県知事から指定された民間機関です。指定確認検査機関の指定にあたって、建築確認を取り扱うことができる建築物の範囲や業務の対象地域が定められていますが、指定範囲内では建築主事と同等の権限を持っています。

──建築確認申請業務について、わかりやすく教えていただけますか。

中村 例えば住宅を建設する際、まず建築主は特定行政庁や指定確認検査機関に建築確認申請を出します。申請には申請書や図面などの図書が必要です。審査作業ではそれらの図書が建築基準法や各種関連法にきちんと沿ってできているかを確認し、適合していれば確認済証を交付します。そこで初めて工事着手となって、基礎工事が始まります。工事途中では基礎・柱・梁などの構造的な審査をする中間検査を行います。中間検査を終え、建物が完成すると最終的な完了検査があります。
 この確認検査業務に直接携わるためには、一級建築士の資格と、通称、判定士といわれている建築基準適合判定資格者(以下、判定士)という資格が必要になります。判定士の資格取得には、一級建築士資格を取得し、建築審査などの実務経験2年以上を有さなければなりません。受験要件を満たしたあと、建築基準適合判定資格者検定に合格してやっと資格が付与されます。

──センターのメイン業務というか、柱となる業務を教えてください。

青山 事業収入比率でいえば、建築確認が全体の7割を占めています。2番目に多いのが住宅性能評価業務です。事業件数的には長期優良住宅審査業務も性能評価と同じ業務量で、住宅瑕疵(かし)担保責任保険という入ることを義務付けられている保険の取り扱いも相当量あります。注目されているのは性能評価と長期優良住宅です。これらは全国の住宅における普及率がまだ2割なので、今後の伸びしろが大きく期待されています。

──どの仕事も一級建築士資格がなければできない業務ですか。

青山 その通りです。性能評価の場合にも住宅性能評価員という資格が必要ですが、これは一級建築士資格を持っていれば講習会参加を要件に取得できる資格です。
 その他、住宅金融支援機構の証券化支援事業『フラット35』に基づく適合証明業務、公共工事品質確保法に基づく支援業務、特殊建築物等の定期報告の啓発業務、及び建築士の学校運営などがセンターの仕事です。どの業務も、一級建築士の資格がなければ行えないので、多くの一級建築士を確保しています。センターの陣容は一級建築士145名、判定士(建築基準適合判定資格者)144名、職員数212名と、全国的にも、これほど多くの一級建築士のいる民間機関はありません。どこよりも多くの有資格者を保有しているため、どこよりも迅速で親切な対応が可能となっています。
 このようにセンターでは多くの一級建築士が年間17,000件の確認を行っています。17,000件の確認をするのに何名の判定士が必要かは法律で定められており、事業量に応じて判定士を確保しなければなりません。当然事業規模によって、現場に行かなければならない判定士の人数にも規定があります。大規模になればなるほど人数が必要で、大規模マンションになると3日がかりで大勢の判定士が出向きます。

──仕事は全国規模で行っているのですか。

中村 行政区画を越えて仕事をするには国土交通省の手続が必要で、現在は静岡県内と2016年10月から愛知県にも広げました。2017年度中には山梨県と神奈川県まで広げたいと考えています。住宅建築戸数は年々減少しているため、業務・業域拡大を行って業務量を確保しようという狙いです。
 静岡県内の建築確認完了検査数のシェアは全体の約8割(県のデータでは2016年度内完了検査件数が19,260件、うちセンター15,382件で79.8%)を占めています。

──その他のセンターの強みを教えていただけますか。

青山 消防同意が不要な4号建築物などの確認済証は即日交付します。土・日でも検査を実施し、申請の翌日には検査可能です。申請料は、民間機関ではかなりの低価格です。性能評価、長期優良住宅、省エネなどいろいろな制度の手続が確認と併せて同時にできる「一元化」も強みと言えます。県内のどこでもサービスを利用できるように静岡、沼津、浜松をはじめ6ヵ所に事務所を配置し、同時に手続ができる利便性も、評価されていると考えています。
 性能評価・長期優良住宅・省エネを含めて品質確保ではいろいろな普及策を講じているので、全国的には2割ですが県内では3割を超えています。静岡県内の普及率の高さは私たちの努力の成果と言っていいでしょう。

70名は検査専属の判定士

──212名の職員の中には、現場の検査を専門に担う判定士もいるのですか。

青山 約70名は現場の検査専門です。彼らは会社に出勤しなくていいことになっていて指示書によって指定された日時に自宅から検査場所に向かいます。現在、全検査員にタブレット端末を持たせ、検査に必要な場所の情報や指示書、図書類はタブレット端末に専用のサーバーから読み込みます。わざわざ図書を取りに出社する必要もないので自宅から直接検査に行くことが可能なのです。

中村 私たちの強みである申請の翌日検査可能という画期的なサービスも、タブレット端末によるデータ処理によって実現しています。最近ではお客様の要望で、午前中に申し込んで午後には検査ということもあります。建築確認申請をしてから何ヵ月も経って確認済証が出されていた時代もあったと聞きますから、考えられないほどスピーディですね。確認の図書を持ち出し、検査員に渡す、あるいは検査員が取りに来なければならないというのでは、このスピードは実現できません。今ではタブレット端末によって非常に迅速に対応できるため、お客様にはとても好評です。

青山 急に検査員が行けなくなったとしても、図面のやりとりがないので、代わりの検査員にすぐ振り替えることもできます。図書は折れたり雨で濡れたりするのも避けたいものです。ましてや図書の紛失となると、私たち指定機関は業務停止処分を受ける可能性があるので命取りです。確認だけで年間17,000件あるということは検査は30,000件を超えることになります。となると図書を持ち出すリスクは30,000回。どれだけ危険か考えてみるまでもありません。

──確認済証の即日交付は、いつから始めたのですか。

青山 センター発足以来ずっと取り組んでいます。
 基本的に住宅4号建築といわれる小さな規模、500平米以下の建築は、消防の同意が必要な場合は消防を回る時間が必要になりますが、そうでなければ約1時間でできます。静岡県の場合は、防火地域など消防がからむエリアが少ないので、基準法を守れれば確認はすぐ取れるケースが多く、そうしたエリアメリットを活かして即日交付サービスが可能になっています。
 即日交付は、県内のシェア8割を占めるひとつの理由になっていると考えています。

活発な地域活動を展開

──次に、地域活動への取り組みをご紹介いただけますか。

中村 地域では、無料で専門家相談が受けられる県内初の民間建物相談室「あんしん建物相談室『ミーナ葵』」を開設しました。事業収益を得るためだけでなく、公益的事業もやろうということで、その一環としてセンターで場所を借り、弁護士、税理士、宅地建物取引士、建築士といった専門家を集めて、「住宅なんでも無料相談」を「ミーナ葵」で月1回、土日に開いています。
 それ以外に、県内12ヵ所にある総合住宅展示場「SBSマイホームセンター」において、各所年1回ずつ無料相談会を開催しています。
 リフォームをしたい消費者がどこに相談したらいいのかわからないといった悩みには、「ふじの国リフォーム支援センター」でご相談に応じています。「台所を変えたい。壁を撤去したい。本当に見積もりはこれでいいのか」…そんな消費者の心配事を解消するために、地域のリフォーム業者協会とセンターで設立しました。ホームページを立ち上げて、消費者がそこへアクセスすれば近場の業者を検索できるなどのサービスが受けられ、一定の条件をクリアした事業者もそこに登録できるプラットフォームとなっています。中立・公平な第三者機関であるセンターの運営によって、消費者と事業者をつないでいるのです。そもそもの目的が、消費者が困っていることに対応するために作った公益法人なので、とても安心感があるせいか、ものすごいアクセス数になっています。

青山 プラットフォームとしては「まちせんクラブ」という会員制Webサービスも展開しています。入会費・年会費無料で主に電子メールによる最新、重要情報の随時配信、講習会の開催情報を発信しています。どなたでも会員になることができ、設計者も設計事務所も建築業者も、さらには行政の方も会員になることができます。現在、会員数は約2,500人で、国の制度や街の制度、建築関係に関わるものなど、リアルタイムで日々多くの情報を発信しています。

中村  その他、地元の設計者の向上のために、建築確認・検査、構造、保険、住宅評価、省エネなど広い分野で講習会を実施しています。基本的に法改正などは、本来行政側で講習会をやるのが趣旨だったのかもしれませんが、民間に開放され、その中でセンターのような機関が講習会を開くようになり、そこに行政側が協力してくれるかたちの講習会になっています。私たちは、行政と共に法改正等を伝えていく使命も担っているのです。

すべて一級建築士が必須の仕事

──お二人はこれまでどのような仕事に携わってこられたのですか。

青山 静岡県職員時代に都市住宅部の営繕課課長、建築住宅総室長、技監として従事していたのですが、同時並行で退職前から約2年間、センター立ち上げに関わるようになりました。そして2003年3月に退職し、4月よりセンターの常任理事を経て、現在理事長に就任しています。
 県庁時代は、用地買収から始まって団地の設計など、半分近く住宅関係の仕事をしていました。その後確認業務に携わるようになって、県庁時代からずっと住宅周りの仕事をしています。

中村 大学の海洋建築学科を出て新卒で玩具メーカーに入社し、その後転職して建築現場で現場監督を務めていました。その会社が倒産してしまったのと同じタイミングでこの会社ができたので、渡りに船と転職した次第です。センターに入社後はまず性能評価の審査に係わり、その後確認業務を経て、2016年4月から教育機関「まちせんアカデミー」の校長に就任しました。

──中村さんは民間企業で現場管理や設計を経験されてこられましたが、センターでは同じ建築士でも住宅を作るのとは違った立場です。一級建築士がセンターで働くおもしろさややりがいはどこにありますか。

中村 一言で言えば、センターは資格ありきの機関です。資格さえ持っていれば非常に安定した生活が約束されています。センターに勤めていれば判定士の資格を取得することができます。しかもセンターでの仕事はすべて資格を持っていなければできないものばかりです。ですから、ここにいると資格の重要性を痛感しますね。
 逆に言えば、資格を持っていなければセンターでは何ひとつできません。補助員という立場はありますが、自分がやりたいことをするために持っていなければならないのが資格です。当然確認申請も行政が絡んでいますから、資格を持つことでその全責任を負うわけです。
 なにしろ、建築士という有資格者が作ったものをセンターが審査するわけですから、センターのほうがレベルが高くなければなりません。ということは、資格を持っていながら、また勉強、研鑽していかなければならないということでもあります。
 法律そのものの幅もものすごく広がっています。建築基準法だけでなく都市計画法、消防法、土砂災害防止法等と、建築基準法に加えて関連法規に適合しているかどうか審査しなければならないことが往々にしてあります。今までは建築基準法だけやっていればよかったものが、構造から省エネまで相当幅広く勉強していかなければならない。言い換えれば、そこまでやるからこそ、センターの職員はレベルの高い有資格者であると言えます。

「まちせんアカデミー」一級建築士講座開設

──センターでは、なぜ即戦力となる一級建築士を大勢確保できたのですか。

青山 当社の場合は、スタート時点で一級建築士から判定士資格まで持っているような行政職員OBが半数いたので、即戦力となりました。また中村のように民間企業から転職してきた優秀な人材が多く、一級建築士として入社して、2年後には判定士となってくれました。こうした理由で、一級建築士と判定士の有資格者の比率がとても高いのがセンターの特徴となっています。
 このようにセンターでは行政職員OBの採用で今まで有資格者の多くを確保してきましたが、近年は行政でも有資格者が減りました。人手不足で募集をかけますが、全国的な有資格者不足によって若い人の応募が少ない状況が続いています。そのため、これからは自ら育成しなければ有資格者は手に入らないと考えました。人材育成の一環として教育機関「まちせんアカデミー」を立ち上げた背景はそこにあります。

中村 アカデミーの構想は、資格取得をめざす社員のために始まりました。ですから根本は社内研修の延長というか、社内の人に資格を取ってもらいたいという目的だったのです。ところが青山理事長から「資格というのは会社だけでなく地域全体にも向上させなければならない」という話が出て、地域の資格取得支援まで規模を拡げて始めることになったのです。

青山 建築確認、完了検査で県内8割以上のシェアとなると、お客様も2,000社以上に上ります。お客様に伺うと、やはり有資格者の確保は大変だということでした。建築士の二級は合格できても一級は何年挑戦しても合格できない。学校に行きたくても受講料が100万円もするので経済的に大変だという話が耳に入ってくるのです。おそらく一級が取れなくて困っているのはうちだけでなくて、地域全体の問題だろう。そこから地域全体に拡げようという発想になりました。
 センターの理念は「お客様の満足度100%」。お客様が困っているならやるべきです。
 そこで過剰な営業活動をせず、市価の半値という安心な価格、良心的な契約、しかもいつでも自宅学習が可能なWeb通信講座まであって、質の高い教材を提供してくれるTACにお願いして教材を提供していただき、2016年から静岡市で一級建築士講座を開催しました。これが「まちせんアカデミー」の始まりです。

中村 センターの業務に資格は不可欠です。資格試験が年々難しくなり、なかなか取得できずに悩んでいる職員がいます。これからは資格取得は個人の問題ではなく、組織で考えていかないと厳しい時代です。また、設計者も高齢化が進み、センターの役目として、地域での若手有資格者の育成を考えなくてはならないというのが、アカデミー創設につながっています。センターも確認や検査から事業領域をどんどん拡大していこうと考えていますので、これもその一環です。将来的には絶対に伸びていく事業のひとつだと思っています。

──講座の運営方針とは、どのようなものですか。

青山 これまで100万円と言われていた受講料が、 TACの講座を提供することにより、半額程度となり、この受講料で「合格実績を出すことで、必ず受講者は集まる」と考えています。とにかく、「受講者の満足度100%」を目標に、アカデミー受講者の合格を第一に考えて、競合他社はもちろん、TAC内でもトップクラスの合格率をめざすことを目標としています。

──講座はいかがですか。

中村 2016年に一級建築士講座を開講し、初年度は学科6名、設計製図3名、2017年度は学科6名、設計製図11名が受講しました。2年目に入って、育ってきているという手応えは感じられます。「こう指導すれば合格する」ということがわかってきましたので、個人的には安心感が持てるようになりつつありますね。

──校長は中村さんが務められているのですね。

青山 現在、中村が校長を務め、主に教鞭をふるっています。センター職員の仕事の一環として資格の学校の講師を務めるという目的があるので、講師ができる人材はふんだんにいます。また、これまで県内の大学には建築科がまったくありませんでしたが、2017年4月に県内初めての建築学科が静岡理工科大学理工学部に設置されましたので、建築士普及のために中村が非常勤講師として建築基準法を教えることになりました。

──アカデミーの今後について、どのようにお考えですか。

中村 合格者を輩出するために、今後は講座の充実とさらなる拡大を図っていきます。ライブ講座の実施とTAC講座の復習、強化コースを充実させ、受講生の出席率アップをめざしたいですね。講義の理解度を上げるためにも、課題は楽しく充実したものにしたいですし、それは講座を開く講師の育成にもなってくると思います。

協会設立でコンサル的アプローチも

──法律や制度に伴った建築確認や評価だけでなく、若手有資格者育成のための教育と業容は広がっています。その他に新たな試みはありますか。

青山 法律や制度の中で、建築確認などをしていると、やってはいけない仕事、制限のあるケースがかなり出てきます。こうした仕事を「制限業種」と呼んでいます。お客様から「あれをやってほしい」、「これをやってほしい」という要望があると、ほぼ制限業種になってしまって、やりたくてもできません。そこで別会社を作り、センターでできない制限業種はすべてそちらで受けることにしました。それが特定非営利活動法人静岡県建築物安全確保支援協会(以下、協会)です。

中村 センターでは、エネルギー計算をお客様に提供することはできないのですが、お客様から「どこかエネルギー計算のできるところはないか」という要望があれば協会でお受けします。性能評価や長期優良住宅に係る申請図書の作成が難しくてとてもできない時なども協会でその作成代理を受託します。
 また、大学や病院のような大きな施設の修繕や建て替えをする際、入札をどうすればいいのか、設計をどこに出したらよいのか、この敷地で建て替えたいがどういう設計が可能かなど、コンサル的アプローチでも協会が受け皿となっています。

青山 センターでは建築確認だけで年間17,000件あるので、最低でも10,000件の相談が寄せられています。ものすごく相談が多いんですね。もちろん相談がくれば一生懸命受けますが、審査という第三者的立場なので、相談に対して報酬をもらうことはできません。設計業ではないので、「こんなふうにしたらいいよ」と言うこともできないのです。そこでセンターでは受けられない制限業種の受け皿として、コンサル的アプローチをするのが協会になっています。

──今後やっていきたいことはどのようなことですか。

青山 アカデミーに関しては、「一級建築士だけでなく一級建築施工管理技士と一級土木施工管理技士講座も開いてほしい」という要望が広がってきています。いずれの施工管理士の資格も一級となるとかなりの難関なので今後は、取り扱う資格の範囲を広げることも考えていきたいですね。
 そして静岡だけでなくエリアを広げて浜松や沼津の事務所でも講座を開設できるようにしていきたいと考えています。将来的には県内6ヵ所の事務所すべてで講座が開けるといいですね。

──資格取得をめざしている読者に向けてメッセージをお願いします。

中村 アカデミーの立場でお話しさせていただくと、「今まで受講料が100万円もかかっていたのに半額で済むようになった」という感謝の声を多数いただいています。合格率を見ると、初年度は設計製図で3名中3名が合格し、今年は学科で3名合格者が出ています。そのうち2名は私が「来年も受講すれば絶対合格するよ」と何度となく声をかけてきた受講生です。まもなく実施される製図試験の結果も楽しみにしています。一度登りかけたら、一気に登らないとモチベーションが維持できないのが資格試験です。やり始めたら受かるまでやり通す。それが合格への突破口だと思います。皆さんも、ぜひ資格取得という山を一気に登りきってください。