特集 理系公務員試験合格者に聞く、合格の秘訣

  

 公務員には、国家機関に勤務する国家公務員と、都道府県庁や市役所などに勤務する地方公務員があります。その中で、まちづくりや研究職として働くのが理系公務員(技術職)です。今回は TACの受講生で 2016年の理系公務員試験を見事突破し、内定した4名に、内定までのプロセスや将来の希望、受験勉強攻略法などを伺いました。

※2016年12月に取材しました。

理系公務員試験合格者に聞く、合格の秘訣

左から
■中木 欽司(なかき きんじ)さん
明治大学理工学部機械情報工学科(在学中合格)
機械職本科生
内定先: 東京都Ⅰ類A(機械)、特別区Ⅰ類(機械)、川崎市(機械)

■本村 みなみ(もとむらみなみ)さん
東京理科大学理学部応用化学科大学院(在学中合格)
化学職本科生
内定先:東京都Ⅰ類B(環境検査)

■井上 祐希(いのうえ ゆうき)さん
法政大学理工学部機械工学科(在学中合格)
機械職本科生
内定先:国家一般職(機械)

■杉田 悠貴(すぎたゆき)さん
東邦大学理学部生物分子化学科卒業
土木職本科生
内定先:特別区Ⅰ類(土木造園 土木)

人の役に立つ仕事も、プライベートも大切に!
公務員として社会貢献しつつ充実した人生設計を図ります。

「理系公務員」をめざしてスタート

──理系公務員になりたいと思ったきっかけを教えてください。

中木 社会人になってからも仕事以外の時間を大切にしたいと考えました。安定的な収入と転勤のない生活は民間企業で働くエンジニアでは難しいと考えて、大学3年の春にTACの公務員講座の無料オリエンテーション(体験入学)に参加してから講座に申し込みました。

杉田 私は大学を卒業してから一度民間企業に就職しています。自分の専門とはまったく関係のない会社に勤めているうちに、「もっと人のために役に立つ仕事があるのではないか」と思うようになりました。社会人2年目の夏、公務員に転職した知人から話を聞いて、明確に公務員をめざそうという思いが固まりました。理系公務員に私のやりたい土木職があったのも、受験を決めた理由のひとつです。

本村 大学院2年次に民間企業の就職先が決まっていたのですが、就職をやめて1年間休学し、公務員試験の勉強を始めました。専門の化学に携わりながら、確実に都内にいられるのは東京都の公務員だと考えて志望しました。休学している1年間で無事、東京都の試験に合格できたので、大学院に復学し3月に卒業する予定です。

井上 昔から「あなたは公務員向き」と言われていて興味を持ったのが、きっかけといえばきっかけです。将来の進路を決めるに当たって、私の専攻する機械であれば、民間企業なら例えば自動車のブレーキメーカーに就職した場合、ブレーキの設計や生産管理と、ブレーキ周辺の業務しか経験することができません。一方、公務員の説明会で、公務員は川やダムの工事の積算から現場監督、時には災害派遣にも行くと聞きました。理系公務員といってもひとつの仕事ではなく、マルチな仕事に携われることに大きな魅力を感じました。

──杉田さんは一度民間企業を退職されてから公務員をめざし、本村さんは大学院進学後に民間企業の内定を断って受験されています。井上さんと中木さんは公務員試験と民間企業を併願しましたか。

井上 民間企業を併願しました。民間企業の就職活動が早い時期に行われるので、面接練習をかねていくつか受けたのですが、内定はゼロ。やはり「公務員を併願しています」と言うと敬遠されますし、必ずそこを突っ込まれます。きちんとその対策をしなかった自分が悪かったと思っています。

中木 私も民間企業を併願しました。公務員を志望していても100%採用されるわけではないので、押さえとして先に内定をもらっておきました。

TACの魅力は「担任講師制度」と「Web」

──受験勉強の場としてTACを選んだ理由をお聞かせください。

中木 1歳年上の姉がTACの行政書士講座を受講していて、「自習室が使えるし、休んでも他の校舎で振替講義を受けられる」と言っていたので、話を聞きに行きました。私は家で勉強できないタイプなので、自習室があるところが良かったのです。受講中は自宅から近い八重洲校の自習室を使い、講義は渋谷校で受けていました。用途に合わせて校舎を活用できるのがとても良かったです。

杉田 私は土木課というまったく未知の世界に飛び込むことになったので、いろいろな受験指導校を比較分析して、試験科目と重複する講義がなるべく多いところを探しました。その結果、一番カバー率が高かったのがTACです。TACは土木の科目が充実している受験指導校でした。

本村 TACを利用している中学時代の友人から、「教材も環境もきちんと整っている」との前情報を得てから渋谷校の無料ガイダンスに行きました。その時、理系技術職講師の説明を聞き、さらに実際にお話ししてみて、担任講師制度があることを知りました。「この先生が担任だったら安心して相談できる」と思い、TACに決めました。

井上 私もいくつかの受験指導校を比較検討しました。実は大学2年次に大学主催の公務員技術職講座を受けてみたことがありましたが、TACの無料ガイダンスで受けた説明はわかりやすいものでしたし、カリキュラムとフォロー制度、担任講師制度がしっかりしているのがわかりました。その上、受付の方の入会手続きの対応がものすごく丁寧で素晴らしかったので、「TACって、すごくいいところだな」と感心しました。

──TACを選んで良かったと思うのはどのような点ですか。

井上 理系学生は忙しくて講義に出られないことが多々あるので、Webフォローはとても魅力を感じました。録画なので、強弱をつけながら強化したい復習にも、出られなかった講義の聞き直しにも使えます。また、TACのテキストは大学の定期テストに使えるくらい優れものであるのも、魅力のひとつです。

中木 機械職講座で使っていたTACのテキストが、とてもコンパクトにまとめられていて良かったです。大学時代に機械から離れていた時期があって何も覚えていない状態だったのですが、TACのテキストは4力(よんりき)の公式がまとまっていたので、基礎をきちんと復習できました。最初に参考書を見てしまったら、おそらくわからなくなっていたでしょう。

本村 私は教室に通うよりWebで受講するほうが向いていると思い、主にWebフォローを使いましたが、実際のところそれでとても効率良く勉強できました。知っているところは3倍速で飛ばし、自分が遠ざかっていた有機化学の分野はいったん停止して、大学のテキストを開いて勉強して、理解してから進めることができました。自分の勉強しやすい方法にカスタマイズして受講できるのがTACの良さだと思います。

杉田 私は9月に入会したので、すでに土木系科目の教室講義で終わっているものがたくさんありました。しかも最初の3ヵ月は社会人として働きながらTACに通っていたので、講義に出られない時も多く、終わってしまっている科目もたくさんできてしまいました。そんな時にWebフォローで勉強できるのはとても助かりました。

──TACを選んだ理由のひとつにもあげられていた担任講師制度はいかがでしたか。

井上 何といってもTACは担任講師制度が良かったと思います。勉強の仕方やわからない部分の質問はもちろん、長期戦の試験勉強で不安になった時にも「先生、不安です」と悩みを打ち明けると、先生は温かく迎えてくださいました。本当に担任講師制度に助けられた受験でした。

本村 私はWebでの学習が多かったので「この時期は、みんなこんな感じでやっている」という臨場感がまったくわきませんでした。そんな時、担任講師制度を利用して、11月、1月、3月、4月と、定期的に担任講師へ自分の勉強の進捗状況や「東京都を受けるのであればどこを強化すればいいか」といった相談をしました。合格までずっと先生の実体験を聞けて、とても安心できました。

杉田 私も担任講師制度にはものすごくお世話になりました。私の場合、最初の筆記試験の自己採点がとても悪くて落ちたと思ってしまい、面接対策を何もしていなかったのです。合格通知をもらってから、あわてて少ない時間の中で何度も面接練習をさせてもらいました。それこそ時間外でも対応してくださったので、ものすごくありがたかったです。実は、私は担任講師制度をなめていて(笑)、まさかこんなに時間をかけてきちんとやってくれるとは思ってもいませんでした。言葉は悪いですが、忙しいだろうからと遠慮するより「先生は使えるだけ使う」姿勢のほうが結果につながりますね。

中木 私は民間企業の就活をきちんとやっていたので、面接にかなり自信を持っていました。ところが、自治体の面接が始まる前に担任の先生に練習してもらうと、公務員ならではの質問にまったく太刀打ちできません。先生はそれから「これができれば面接に自信が持てる」というレベルに到達できるまで、きちんと対応してくださって、とても感謝しています。

苦手科目克服法と面接対策

──仕事と並走している人もいれば、大学の実験や研究との両立に悩む人もいます。どのように対処していましたか。

杉田 私は最初の3ヵ月、勤務しながら受講していましたので、Webフォローを利用していました。

本村 私は1年間休学して受験に専念してはいましたが、それでも受験勉強に割ける時間が1日2~3時間だったので、やはりTACで効率良く勉強できたのが合格の秘訣だったと思っています。

井上 私は現役大学生として受験との両立を経験しました。確かに理系大学生は3年の後半から卒業研究が始まってくるので、公務員試験の勉強はすごく大変だと言われています。私は就活や公務員試験に寛容な研究室だったので、その点ではあまり苦労はなかったし、勉強時間も確保しやすかったです。

中木 私は製図等もろもろの作業が忙しくて両立という面ではかなり難しかったので、空いた時間を活用するようにしていました。例えば、学校の課題をやる時間を決めて、その後2~3時間は公務員の勉強に割り当てたりして、細かくスケジュールを立てました。当時は、「他の人は今の時間、公務員の勉強をしているのに、自分は課題をやっているんだ」と、かなりのプレッシャーと不安があったのですが、できるだけそこはポジティブに「みんなもきっと忙しいはずだ」と思うようにして、空いた時間はスケジュールにのっとってしっかりとやるように心がけていました。

──土木職、機械職、化学職と、みなさんそれぞれ選ぶ方向性によって受験科目が違います。教養・専門科目で苦手科目はありましたか。その対処法も教えてください。

中木 私は最初、文章理解と論文がまったくできませんでした。文章理解はみんながある程度点数を取れる科目だと思うのですが私は全然取れなかったし、一番苦手な論文は最初の頃、1000字の枠に400字程度しか書けませんでした。
 そこで、文章理解はどんなに忙しくても毎日30分解きました。2月頃まではなかなか結果が出なかったのですが、ある時を境にコンスタントに点数が取れるようになっていきました。論文はTACのテキストの解答例に昨年の模範例が載っていたので、それを覚えて「これを問われたら、こう書こう」と決めて対策しました。自治体をいくつか受けた感触では、自治体の論文で問われる内容は耐震、福祉、高齢化と似たようなものが多かったので、この方法がよかったと思います。

杉田 私も文章理解が苦手で国語も英語も苦手、さらに未知から始めた土木系科目は苦手以前にわからないという状況でした。論文も苦労したので、全部苦労しました。一番苦手はありませんでした(笑)。
 中木さんのように文章理解は私も毎日解いていました。特別区が第一志望だったので、特別区と同じ問題数をテキストから毎日ピックアップして解きました。

本村 私は時事問題や社会科学が苦手でした。もうひとつは数的処理の中の資料解釈。これは苦手というよりも時間がかかってしまいました。ある程度スピードが求められる中で、概算でざっくりと計算しすぎると間違ったものを選んでしまうし、かといって綿密に計算する時間はありません。
 東京都はこの資料解釈が多いと担任の先生が教えてくれたので、試験の数ヵ月前からこの数的処理の資料解釈に注力しようと決めて、問題をこなしたり、Webで講義とレジュメを再度見直して、講義中に聞いたコツを確認し直しました。

井上 苦手科目はいろいろあったのですが、そもそも苦手科目を克服するより得意科目を伸ばすほうに力を入れていたので、人と比べるとあまり苦手科目をやっていないような印象があります。ただ苦手意識があったのは、流体力学と教養の社会科学です。流体力学は大学でも苦手だったのですが、機械職の講師がレジュメを作ってくれました。それがすごくわかりやすくてひたすら解くようにしていたら、気がついた時には得意になっていました。生物・社会・時事問題といった暗記系はそもそも苦手で、早い段階で覚えても忘れてしまうため、試験直前になってから詰め込む方法で対処しました。と言っても、みんなが解けるAレベル問題しかやってこなかったので、踏み込んだ問題が出ると取りこぼしてしまったのですが、最低限のラインには達したかなという感触です。

──面接対策ではどのような工夫をしましたか。

中木 特に公務員試験の面接で感じたのは、民間と比べて住民に対する対応など「人との関わり」について聞かれる機会が多いことです。先生からは「公務員だったら強い意見よりも中間的意見か妥協策を大切にしてみては」とアドバイスを受けたので、まずはそうした意見の相違から学んで、あとは自治体がやっていることを調べて、ある程度自分の言葉で話せるようにしました。練習から本番を通じて一番難易度が高かったのは、やはりTACの模擬面接です。模擬ではありますが、どこまでも深堀りしていくのできつかったです。ただし、「実際にはここまでは聞かれないだろうけれど、ここまでやっておけば大丈夫」というラインまで練習を繰り返していたので、本番では難しい質問はありましたが、こうした対策がきちんと功を奏したため手応えを感じられました。

杉田 私は筆記試験で落ちたと思い込んでしまったので面接対策期間が短かったのですが、模擬面接を2回受け、あとは担任講師に練習してもらいました。私は面接がすごく苦手で、自分の中で思っていることはあってもうまく言葉にまとめられず、頭が真っ白になって言葉に詰まることが多かったのですが、対策の中で先生が一緒に私の考えをまとめてくれたので、本番ではスラスラと言えるようになっていました。

本村 私も面接が苦手で、緊張のあまり声が震えてろくに喋れない状態だったのですが、面接の前日夜9時まで担任の先生が練習をしてくれたおかげで、何とか乗り越えることができました。公務員と民間では面接で求められることがまったく違います。民間で受けた研究職の面接では、研究に対する自分の考えを論理立てて話し、相手が質問してくるので、自分からかなり喋るスタンスだったのですが、「あなたが喋りすぎると面接官が聞きたいことを聞けなくなるかもしれません。聞かれたことを完結に答えてみては」と、個人的な練習で先生にアドバイスされました。そこからの練習で公務員面接のスタイルができてきました。

井上 面接対策として自治体、国の政策や得意なことを押さえるのはもちろん、苦手な面まで視野に入れてもう一度志望動機を言えるように練習していました。民間に比べ公務員面接は特殊だと言われていますが、私はそれほど苦労した覚えがなく、どちらかというと民間で苦労した気がします。しかし、2回受けた模擬面接が意外と易しかったので準備した範囲でいけると思って本番を受けたら、かなり鋭い質問をされて戸惑ってしまいました。準備不足だったのは反省点です。

杉田 私は以前、民間の面接を受けた時に落ちまくりました。その時は大学で対策をしてもらっていたのですが、TACと違って方向だけ示してあとは自分で考えるというものでした。TACではバラバラの私の考えをひとつにまとめてくれるという手厚い対策をしてくれたので、初めてきちんとした面接対策を受けた感触がありました。

理系公務員として、個人としての「将来の夢」

──晴れて4月から公務員として社会人生活がスタートします。どのような公務員になりたいか、どのようなことをしたいか、思いを聞かせてください。

井上 私は国土交通省関東地方整備局に入局するので、必然的に道路・河川・ダムを作る仕事になります。鬼怒川の決壊をニュースで見た時は水の恐怖を感じました。そうした水の恐怖から地域を守りたい。それが公務員となってやりたいことのひとつです。また、八ッ場ダムは関東最後のダムといわれていますが、それを作る中でダム作りのノウハウを学び、関東にある他のダムのメンテナンスや用水利用によって住民たちを渇水から守り、そうすることで国を支えていきたいです。

本村 東京都の環境検査で、水道局か下水道局、あるいは環境局の配属になる予定です。そもそも私が東京都の化学職を志望した理由のひとつが、大学で研究していた「環境に携わる仕事がしたい」という思いだったので、東京都の水道、下水道といった水環境を良くし、そうすることで住民の住環境を良くしていきたい、そのためにいろいろなことに積極的に関わっていきたいと考えています。
 もうひとつは、東京都は 2020年の東京オリンピックを目標として、公共交通機関に水素エネルギー使用のものを導入する方向が定まっています。これはまさに私の大学での研究の専門分野。水素エネルギーの普及、実現化に向けて貢献できたらと考えています。

杉田 私は板橋区役所に入りますので、区民や訪れる人のために役に立ちたいと考えています。中でも公園が好きなので公園課に所属できれば、将来的には自分で公園を設計し、そこを多くの人に利用してもらいたいと思っています。また土木職は公園だけではなく、道路、橋梁、街作り全体に携わっていけます。公務員としていろいろなことを経験し、板橋区を盛り上げていくのが目標です。

中木 私も東京都の機械職なので、もしかしたら本村さんと一緒になるかもしれません。水道、下水道等、なるべく環境に配慮したインフラを整備していきたいと考えています。すでにかなりインフラが整っている東京都には高度な技術がありますが、今までにないものでより環境に良いものを作り、それを他の自治体や世界に広めていくのが夢です。

──公務員に限らず、将来的に何か夢はありますか。

中木 究極的には家族を一番大事にしたいと思っています。これからは女性も働く時代です。子どもができたら女性に子育てを任せるばかりでなく、自分も育休をしっかり取って子育てに関わっていきたいと考えています。それには、やはり週休二日制度などワーク・ライフ・バランスへの取り組みが充実している公務員が理想的だと思います。釣りや登山、ボクシングと趣味も多いので、休みを取って趣味の時間も大切にしたいです。

杉田 私は10年ほど弓道をやっているのですが、前職の休みが不定期で趣味にかける時間がなかったので、公務員となった際には弓道にたくさんの時間を費やしたいです。現在、板橋区の弓道連盟に所属しています。将来は、東京都代表として国体をめざしたいと思っています。

本村 東京都は福利厚生がしっかりしているので、「健康で文化的な生活」が送れるのを期待しています。将来的には、自分の携わる水道や下水道などのインフラが国際学会で発表される機会に恵まれるよう、技術革新に対する向上心をずっと持ち続けていきたいです。

井上 公務員は基本的に土日の休みなので周囲の人間と予定を合わせやすいという利点があります。サービス業の方が、休みが不定期で友人と遊べないと切実に悩みを語っていたので、公務員になって休日には昔からの友人・知人のつながりを大切にしていきたいと考えています。

──最後に、公務員や資格取得をめざしている『TACNEWS』読者に、メッセージをお願いします。

中木 時間の使い方を有効にしてください。また、得意な科目を伸ばすのはもちろん大事ですが、なるべく苦手科目を作らないことも大事です。私は自然科学と数的処理が得意で、それで点数を稼ごうと考えていたのですが、何科目か勉強しているうちに得意科目がおろそかになってしまいました。そういう時に限って不得意だった社会科学が全問正解で救われたりする。ということで「時間をうまく使いながら、不得意科目を作らないように」が私からのメッセージです。

井上 私は第一志望が東京都で活動していたのですが、途中で他と面接の日が重なってしまい、第一志望を変えることになりました。それまでは第一志望だった東京都のことばかり考えていて頭でっかちになってしまい、東京都以外の政策など、まったく頭に入っていないし学習もしていなかったのです。ですから国家公務員一般職が第一志望になってから、「やばい!やばい!」ととても焦って必死に調べました。これから公務員をめざす方は、そうならないように自分の受ける可能性のあるところは事前に調べて比較研究しておくことが大切です。また、いろいろな説明会に参加して、いろいろな省庁を比べて、さらには民間企業の説明会にも参加して、民間と省庁や自治体もいろいろ比較した上で第一志望を選んでいただきたいと思います。

本村 東京都の環境検査職はTACでいうところの工学の基礎である物理と数学が受験科目にありませんでした。私は途中までそれに気がつかずに勉強してしまいました。みなさんには、自分の受ける試験範囲や内容や傾向は把握し、とにかく情報をキャッチしておいていただきたいと思います。また例えば東京都の特徴や優れている点を挙げるためには、他の自治体と比較しなければできません。どこの自治体を受けるにしろ、ある程度広い視野を持って調べておくことをお勧めします。

杉田 受験を途中であきらめたら損です。結果は出てみないとわかりません。自分で決めつけてあきらめてしまってはその時間が無駄になります。とりあえず結果が出るまで、やれることはやってみてください。

──みなさんの今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。