特集 資格で切り拓く人生の選択肢

人生の選択肢や将来の可能性が大きく広がりました。

取得した資格はそれぞれ違っても、「資格との出会いで将来の道が拓けた」と語る3人がいる。FP3級から始めてCFP®まで取得した田中メイさん。高校3年で日商簿記1級を取得し税理士をめざして残り1科目に挑戦中の現役大学生・安永さん。宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者試験にトリプル合格して10年、現在マンション管理会社で活躍する有地さん。それぞれのめざす道は資格取得によって大きく拓けた。資格を「取る前」と「取った後」では、世界はどのように違ってくるのか。忌憚のない経験談を語ってくれた。

※参加者の肩書きは取材時点(2017年1月)のものです。
※宅地建物取引業法の改正により、2015年4月1日に「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」へと呼称変更されました。当記事では便宜上「宅地建物取引士/宅建士」に表記を統一しております。

左から
安永 文規(やすなが ふみのり)さん
大学生
・ 日商簿記検定試験1級、税理士試験4科目 (簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税 法)合格、2級FP技能士、AFP、CFP®1 課目(タックスプランニング)合格

田中 メイ(たなかめい)さん
一般企業勤務
・1級FP技能検定合格、CFP®6課目合格

有地 祐一(ありちゆういち)さん
一般企業勤務
・ 宅地建物取引士、マンション管理士、管理 業務主任者、日商簿記検定3級

なぜ資格取得をめざしたのか

──みなさんが資格取得をめざした理由について教えてください。

有地 大学を中退してフリーターをしていた時に、後輩からマンション管理士と管理業務主任者という資格にダブル合格したという話を聞きました。聞けば2つとも資格自体が創設されて2年目で、まだ試験が簡単で、しかも業界的にも有資格者が不足しているために就職につながりやすいというのです。その後輩は宅地建物取引士(以下、宅建士)の資格も持っていてすでに不動産業者で働いていたのですが、自分は先輩なのに、2つの資格だけではカッコ悪いので「じゃあ、宅建士も含めて3つ取るわ」と宣言してしまいました。それがトリプル受験の始まりでした。
 当時の私は就職先を探していたにも関わらず、履歴書を埋めようとしても空欄ばかり。「大学中退のこの履歴書のどこに魅力を感じられるんだろう」と、自分でも思うほどでした。そんなタイミングだったので、「今から埋められるのは資格の欄しかない!ここならこれからいくらでも増やせる!」と受験を決意したのです。

田中 私の場合は、定年間際の両親が年金受給をどうしたらいいのか、私に聞いてきたのが始まりです。社会人なのに自分たちが生活している社会のインフラやセーフティネットについてまったく知らないと気がついたのが、ファイナンシャル・プランナー(FP)を学習してみようと思ったきっかけでした。

安永 僕は附属高校からの内部進学で大学受験がないので、その時間を活かして、社会人になるまでに、何か優れた能力を持ちたいと思っていました。そのため、まず「短い時間で簡単に取れて、将来役立つ資格があれば取得してみよう」と、高校2年のときに日商簿記3級の勉強を始めました。
 日商簿記3級はやってみると易しかったので、勉強がおもしろくなって2級を受け合格、高校3年で1級にチャレンジしました。1級はかなり難しかったのですが、無事一発で合格できました。こうして高校時代に日商簿記1級まで取得し、比較的早く税理士の受験資格を手にすることができたので、「それなら税理士もやってみよう!」と税理士試験の勉強をスタート。大学1年から毎年科目合格しています。公認会計士という選択肢もありましたが、仕事内容として直接お客様の相談にのることができる税理士のほうが社会に貢献できそうでいいなと思いました。
 税理士試験は、大学1年で簿記論に合格、2年で財務諸表論、法人税法、消費税法の3科目を受験して財務諸表論と法人税法に合格。3年で消費税法、所得税法を受験して消費税法に合格、4年の2017年8月に、所得税法に再チャレンジします。

──勉強の場として、みなさんがTACを選んだのはなぜですか。

安永 まず最初に、TACの簿記検定講座3級合格本科生の講義が15回とコンパクトだったので受講を決めました。そのときから税理士講座までずっと通い慣れたTACにしました。

田中 職場に届くフリーペーパーにTACのFP講座3級本科生の広告が出ていて、そこに「生活に根ざしたマネー知識」と書いてあったのでどんな資格か調べたら自分が知りたいことを網羅しているとわかりました。情報収集する中でそのような広告は他に見たことがなかったので、自分に対して門戸を開いているTACに飛び込んでみようと決めたのです。FP講座3級本科生の講義内容がわかりやすく、友だちもできたので、そのまま次々とステップアップして最上位のCFP®の試験対策講座までTACでした。

有地 マンション管理士と管理業務主任者は当時まだ新しい資格だったので、過去の試験問題が1年分しかなく、試験対策もノウハウも受験指導校に頼ったほうがいいと判断しました。TACの無料講座説明会ともう1校の説明会に行ったのですが、TACの説明会の終了後に川村先生に学習方法について意見を伺うと、丁寧にアドバイスをしてくださったんです。それでTACに決めました。

仕事・学業と受験の両立は?

──有地さんと田中さんが、社会人として受験と仕事の両立で工夫したことや苦労されたことはどのようなことですか。

有地 受験当時、私はアルバイト生活でしたから、午後3~4時には終わるアルバイトにして、夕方からはTACの講義や自習に時間を割けるようにしていましたね。

田中 私はFP3級からCFP®までずっと仕事をしながらの受験で、仕事を終えてから八重洲校に通っていました。講座を通じて友だちができたことは大きかったと思います。やはり教室で仲間と一緒に勉強するのはモチベーションアップにつながり、仕事の後でも苦痛ではありませんでした。

──安永さんは大学の授業との両立は問題ないですか。

安永 税理士試験と大学の期末試験の時期が重なってしまうので、春学期は税理士試験の勉強にあてて、大学の授業は週2回程度にしました。その分、秋学期は週4~5日大学に行ってできるだけ単位を取得できるようにしています。

──安永さんはFP資格も取得していますが、どのような理由からでしょう。

安永 税理士でFP資格を持っている人はかなりいると思いますし、簿記検定や税理士試験と関連する部分があるので、一緒に勉強したほうが効率が良いと考えたからです。

受験中、挫折したことは?

──安永さんは、高校2年からの受験生活の中で挫折を味わったことはありますか。

安永 今まさに大挫折中です(笑)。本当なら合格しているはずの所得税法をやり直しているんですから。大学3年で税理士受験は終わるはずだったので秋は受験勉強以外のいろいろなことに取り組んでいたのですが、不合格とわかって「やばい!」と年明けから勉強を再開しました。5科目に合格していれば、もっといい感じの話ができましたね(笑)。

──田中さんと有地さんは、受験期間中に挫折を味わったことはありますか。

田中 FP3級と2級は勉強内容がすごくおもしろくて何とかできていましたが、CFP®に進んだら一気に難しくなってしまい「こんなに難しい資格に手を出してしまってどうしよう。このままだと受からない。だったら今、やめようかな」と試験の申し込みをやめようとした時期がありました。
 それでも、私のように仕事もプライベートも充実している状態で、かつ勉強する時間があるというタイミングは、人生の中でそんなにないんじゃないか、そんな少ないタイミングなら1回ぐらいがんばってみようかなと思いました。それに、これまで最上位の資格を持ったことがなかったので、がんばって取得してみようと、くじけそうになった時はひたすら自分を鼓舞する言葉をかけました。

有地 私は田中さんと違って、むしろ生活が全然充実していなかったです。「合格しないともう先がないよね」という感じで、受験中はこれ以上折れようがないくらい、すでに挫折していました(笑)。

受験勉強で工夫した点は?

──勉強の進め方や過去問の使い方などで工夫した点を教えてください。

有地 マンション管理士と管理業務主任者試験は、1年目と同じ傾向なのか、それともまったく変わるのか想像がつかなかったので、TACの教材を信じて勉強しました。というより、私は大学も推薦で入っていてこれまでまともに勉強したことがなかったので、そのときに初めて勉強の仕方を身に付けたようなものでした。勉強するというのはテキストを暗記するのか、予習と復習ならどちらをやればいいのか、先生にアドバイスをもらいながら、宅建士は自分なりに時間配分を考えて勉強しました。1週間のうち1日はまったく何もやらない日を作って、残り6日をどう攻略するかがポイントでした。
 また、宅建士の本試験が10月、マンション管理士と管理業務主任者が12月なので、先に受験する宅建士にウェイトを置いて、宅建士試験が終わった10月からは残り2つの試験に傾注しました。ただ3つの資格とも試験範囲が重複している部分が多くありますから、3資格を勉強することで相乗効果が生まれました。

──安永さんは2016年12月の所得税法不合格で受けたショックからは立ち直れましたか。

安永 落ちたときは非常にショックを受けました。試験の結果待ちの間は合格したと思って野球を観たりして、受験中できなかったことをしてリフレッシュできたので、今はもう大丈夫です。不合格がわかった直後にTACの先生に相談に乗ってもらい、その後は気持ちを切り替えて勉強を始めました。

──田中さんは受験勉強を始めてから、ご両親の年金相談に乗ってあげられるようになりましたか。

田中 そうですね。例えば、の見方や「ねんきん定期便」計算の仕方もきちんと説明できるようになりました。私は今妊娠中なのですが、保険に入ろうとしたときに主人の「ねんきん定期便」を見て、今もしものことがあったら私とこれから生まれてくる赤ちゃんにどれくらい遺族年金が支払われるのかを計算できるようになったので、入る保険も自分で簡単に決められます。知らないと保険会社から薦められたプランに良いか悪いかもわからず入るしかないのですが、勉強した後は自分たちの生活にどれくらい国や厚生年金からの保障があるかがわかるので、それに足りない分だけ保険に入ろうと、自分で決めて入れるのが大きなメリットだと感じています。そんなところでも役立っていますね。
 また、子どもが生まれた後、賃貸をやめてマイホームを買うのか、マイホームを買うのにローンを固定金利で組むのか変動金利で組むのか、そういったことも自分で決めて選べるようになりました。CFP ®の不動産という課目を勉強していると、広告の見方や路線価、固定資産税まで計算できるようになるので、マイホームを購入するときの参考になるんです。そういったところでもこれまでとは違った目線で見られるようになって、保険や家といった大きな買い物に役立つのはすごく良かったですね。

──ご主人は、FP資格を取得したことに関してどのように捉えていらっしゃいますか。

田中 主人は、私が取得した資格には詳しくないので、遊びの延長でお料理教室に通っているくらいの感覚で捉えていたようですね。だから「なにか楽しそうにやってるな、ちょっと難しそうだけどがんばってるな」という感じで見ていたので、保険に入る時、私が自分で決めるのを見て「すごいな」と感心していました。

資格の効果は絶大

──有地さんは3つの資格に合格後、マンション管理会社に就職されました。就職するにあたり資格の効果は大きいと実感しましたか。

有地 合格通知が来れば履歴書に書けるので「合格」と書いて出したら、これまでとまったく反応が違いました。それまでは業界問わず、求人情報を見て履歴書を書いて送ると判で押したように「不採用」が続いていました。合格後はマンション管理会社の大手と言われるところに片っ端から送ってみると、どこも「会いましょう」と言ってきて、履歴書に対する反応が変わりましたね。マンション管理士と管理業務主任者は資格ができたばかりですし、マンション管理会社が常時募集しているところが多いという状況を考慮しても「資格って、こんなに自分のためになるんだ」と驚きました。

──仕事を始めてから日商簿記3級を取られていますが、これはどのような理由からですか。

有地 業務の中ではマンション全体の管理費がいくら入ってきていくら出ていくのか、支出に無駄がないかなどの説明も求められます。私は数字が苦手で貸借対照表の右と左が合っている意味もまったくわからなかったのですが、それでもマンション居住者に説明しなければならない立場です。中には、普段は企業の役員として財務諸表を見ている方々もいます。その人たちを前に、ちょっとカッコつけて「バランスシート」などと言ってみたりするのですが、「突っ込まれたらどうしよう」と、実は常にヒヤヒヤしていたのです(笑)。それもいい加減もう限界だと思ったので、日商簿記3級を取りました。

──簿記を取得したことで社内的な変化はありましたか。

有地 合格奨励金のような祝い金をもらえましたが、資格手当のような永続的なものはありませんでした。宅建士に関しては、不動産仲介会社にいた時は資格手当に月3万円を支給してもらっていましたが、マンション管理士・管理業務主任者に関しては現在勤める会社では資格手当はありません。手当がある会社もあると思いますが。

田中 私の場合は農業資材メーカーの営業事務なので、CFP®はまったくと言っていいほど業務には関係なく、資格の推奨もありません。ただ、私がこの資格を取得したのをどこかで聞いた人事と経理が少し注目しているという話は耳にしました。産休・育休から復帰した時に、お誘いがあるかもしれません。完全に自分のプライベートのために取った資格ではありますが、確実に社内での選択肢は広がっていると思います。

──安永さんは税理士試験の受験資格を他の人よりかなり早く手にできましたが、それによってどのような変化がありましたか。

安永 税理士試験の受験資格を早く取れたことはとても大きかったと思います。高校3年で日商簿記1級に合格できたことがその後の人生を決めましたね。合格が税理士をめざそうという動機になりましたから。おそらく大学3年で大学での科目履修や単位取得で受験資格を得たとしても、税理士試験を受けようという気持ちにはならなかったでしょう。

──ご両親はどのように応援してくれていますか。

安永 税理士試験の勉強ばかりではなく、大学生活も大切だから両立するようにしてほしいと言われています。知識の偏った人間にはならないようにとの配慮からだと思います。

資格を取得して良かったこと

──田中さんが資格を取得して良かったと思われるのはどのようなことですか。

田中 資格を取得した今思うのは、トータルで2年間TACに通ったお金と交通費や受験費用、もろもろ合わせて決して安い金額ではなかったのですが、CFP®はこれからの人生にかなり役立つので元は取れるということです。保険料の節約や住宅ローンの決定だけでも、資格を取るために投資したお金よりリターンが大きいと思います。それから、税の知識を得たので「ふるさと納税」を最大限に利用してかなり得をしています。お米はもう買わなくなりました(笑)。みなさんにぜひ学習してほしいですね。

──有地さんが資格を取得して良かったと思うことを教えてください。

有地 もちろん就職できて良かったというのは間違いありません。マンション管理士と管理業務主任者は同じマンション系資格で出題範囲も重複する部分があるので、セットで考えられがちです。ところが、資格の趣旨はまったく正反対の立ち位置で、会社に勤めている「管理業務主任者」と、その会社をチェックする「マンション管理士」という相対する関係にあるんです。
業界的に管理業務主任者は設置義務もあり仕事をする上で必須資格となっていますが、一方のマンション管理士の資格は立場が違うので意外と持っている人が少ないんです。社内でも「あ、持ってるんだ」と改めて認識されたりします。 私は現在、管理業務主任者の立場の会社にいますが、自分の担当するマンションにマンション管理士が来ることがあります。要は、うちの会社がちゃんと管理をしているか、チェックをしに来るのです。その際、私はマンション管理士資格を持っていて、マンション管理士の視点がわかりますので、適切な対応をとることができます。あるいは、新しい担当先に伺った際、名刺をお渡しすると「今度はマンション管理士も持っている人が担当してくれるので、安心だね」と、お客様からプラスアルファの信用をいただけたりもします。

──安永さんはもう1科目、税理士試験がありますが、税理士科目、日商簿記やFPを取得して良かったと思われる部分はありますか。

安永 合格した時はやはりうれしかったです。ただ実際に資格をまだ使っていないので、実質的にうれしいと感じるのは、税理士試験に5科目合格して実務に就いてからだと思います。

今後の目標について

──今後の目標についてお聞かせください。

安永 まずは所得税法に在学中に合格することが第一です。大学卒業後は、TACでの学習で得た資格や能力を活かした仕事に就きたいと考えています。

田中 年金問題、失業した時、介護が必要になった時や障害者になった時はどうしたらいいのか。誰もが利用する社会のインフラなのに、わかっていない人が多いと思います。私が通った大学でも、経済や社会に関する授業を取らなければ関わることもなく、自分でその場面に直面して初めて調べて何とかする、あるいは時には手遅れだったりするのが現状だと思います。生活防衛のための知識がないと、うまい話にだまされたりすることもあると思うので、最低限の金融、お金に関する知識は、それこそ高校生や20歳ぐらいの人たちなら一定レベルで持っているべきだと思います。言い換えれば、もっと小さい義務教育のうちから金融リテラシーの勉強を普及させる動きがあってもいいのではないかと考えています。こうした金融リテラシー教育に私自身も携わる機会が持てればと考えています。
 また、出産後、仕事と家事を両立するのが難しくなった時、仮に今の会社に勤め続けられなくなっても、資格とそこからつないだ人脈があれば、再び正社員の道や、あるいは将来の独立開業をめざして独立系事務所に入るなど、いろいろな道が拓けると思います。

   

有地 マンションはおそらくこの先、なくなることはないでしょう。そこにマンション管理士は必要なので将来性のある業界だと思っています。ただ現場にいると時代の流れや世の中の変化があり、マンション管理会社だけで解決できないことが出てきていると感じています。
 マンション管理士という士業ができて17年目になりますが、正直に言えばこれまでマンション管理士資格だけで食べている人は、日本中で両手ぐらいしかいないと言われています。資格を士業の刀に例えるなら、その刀が勝手に相手を切ってくれるわけではないので、自分が鞘から抜いて切るしかない。その技術がないから食べていけないわけです。それがここ数年、マンション管理会社から独立して事務所を構えた、私と同年代の方が活躍しだしているのです。  つまりマンション管理士という本来のコンサルタントとしての将来性はすごく伸びてきているということです。これまで想定していなかった民泊の問題や、不動産を購入した外国人と言葉が通じない問題、管理不全のマンションと言われて問題提起された物件などが出てきて、どうしようもない状況になっているのです。ここに、マンション管理士の活躍の場があると思っています。
 宅建士についても、「宅地建物取引主任者」が「宅地建物取引士」となったように、おそらく「士」とつくコンサルタント的な仕事で生き残りをかけていくことになるでしょう。業界の中にいるとそんな空気をすごく感じます。
 宅建士とマンション管理士と管理業務主任者。私もせっかくトリプルライセンスを取得したのですから、将来の独立も視野に入れて今後の選択肢を模索していきたいと考えています。

──最後に資格取得をめざしている受験生と読者にメッセージをお願いします。

安永 最初のステップとして日商簿記3級を勉強してみて、合格することで自信がついたら、そこからステップアップを考えるのがいいと思います。まずは易しいレベルから資格の世界に入ってみてはいかがでしょうか。

田中 私は「資格の受験指導校というのは本気の人だけが通うもの、習い事の延長線上で足を踏み入れてはいけない」という先入観がずっとあったのですが、今回FP3級からスタートしてみて、ちょっとだけ自分の生活を豊かにするぐらいの気持ちで踏み入れてもいいんだなとわかりました。FPに関して言えば、その知識は20歳以上の人全員が持っていても損はないと思いますし、自分の実生活にメリットになることが本当にたくさんあります。興味のある易しいところから始めてみてください。

有地 資格を取ると決めたら、そもそもなぜ取るのか、取得して何をしたいのかという目的意識を強く持っておくことが大事だと思います。それはおそらくつらい時にものすごく支えになってくれるでしょう。資格は「取るために取る」のではなく「使うために取る」わけですから、そこはしっかり確固たるものを持っておくべきです。
 TACの校舎へ行くと競争意識が生まれるので、モチベーションの維持にも直接校舎へ行くのはとても良いことだと思います。勉強するときは、法律の条文や言葉を単に暗記するのではなくて、それを使って仕事をする時に自分がどう話すのか、どう説明しようか、と実際に使うところをイメージすると頭に入りやすいと思います。実務的な知識を習得するつもりで勉強をがんばってください。

──本日は有意義なお話をありがとうございました。