特集 司法書士の枠を超える若手法律家
司法書士の枠を超えてこそできることがある。

  
沢部 隼氏
Profile

沢部 隼氏

沢部司法書士事務所 代表司法書士
株式会社PIGGY BANK 代表取締役
TACビジネス実務法務検定試験®講座専任講師(新宿校教室講座担当)

沢部 隼(さわべじゅん)氏
1987年生まれ、埼玉県志木市出身。 2009年、司法書士試験合格。 2010年、中央大学法学部卒業。同年、新卒で中堅司法書士法人に就職し2年間勤務。 2012年4月より3年間、有楽町にある弁護士事務所に所属し企業法務、簡裁訴訟等、司法書士兼パラリーガルとして実務を学ぶ。 2015年7月、沢部司法書士事務所を開設。 2016年8月、株式会社PIGGY BANKを設立。相続を中心に不動産登記、商業登記、動産譲渡・債権譲渡登記、債務整理等、幅広い領域でサポートしている。

 大学在学中に司法書士試験に合格。28歳で司法書士事務所を開設。30歳の今TACビジネス実務法務検定試験®講座の講師として7月から教壇に立つ。そんな若手法律家・司法書士の沢部隼氏に法律家をめざした経緯、独立開業と将来へのビジョン、講師としての抱負について語っていただいた。

大学在学中に司法書士試験に合格

──沢部先生はいつから司法書士をめざそうと思われたのですか。また、数ある資格の中でなぜ司法書士だったのでしょう。

沢部 中央大学附属高等学校から内部進学する生徒にとって、めざすべきは中央大学法学部になります。私も内部進学だったので、特に法律に興味があったわけではないのですが法学部をめざしました。もともと「企業勤務より何かの専門家になりたい」と思っていて、そこに法律が結びついた結果が司法書士でした。法律の知識を活かして人の役に立つ仕事に携わりたいと考えたとき、司法試験という選択肢もありましたが、司法試験は受験から合格までに時間がかかります。ちょうど私が在学中にロースクール制度がスタートし、ロースクールに入ると実務に就けるまでにかなりの時間を要するということもありました。
 その点、司法書士試験は一発勝負で難易度も高い資格だったので、最初は試験慣れしようという軽い気持ちで受験勉強を始めました。大学2年の夏から勉強を始めて、手っ取り早く取得しようと思っていたのですがそんな簡単な試験ではなく、非常に難しいものだとわかったのは、Wセミナー ※の1年合格コースの申し込みをした後でした。大学3年の夏に一度失敗して4年の夏にリベンジしたので、ぎりぎりで在学中での合格になりました。

──大学時代に一般企業への就職活動は行いましたか。

沢部 中途半端に就職活動をするくらいなら合格するまで試験にチャレンジしようと思い、就職活動は一切しませんでした。司法書士試験の合格発表は大学4年の 11月だったので、本試験からそこまでの期間は、気持ちの面では厳しいものがありましたね。ただ、いずれにしても合格するまでやると腹をくくっていたので不安はありませんでした。

──合格後はどのような活動をされましたか。

沢部 合格後は休む間もなく研修を受けて、大学4年の2月頃から少し就職活動をして、3月の中旬には司法書士法人への就職を決めました。最初は司法書士がどんな業務をやっているのかあまり見えていなかったので、とりあえず司法書士が10名ほど所属する中規模法人に入りました。その法人は基本的に「決済」と言われる不動産取引業務が8~9割を占める事務所で、そこに2年ほど勤めました。

──司法書士の基本的な業務である不動産決済、不動産登記を担当されたのですね。司法書士としてやってみたい仕事のビジョンはあったのでしょうか。

沢部 当時の事務所はひとつの案件を最初から最後までひとりで担当するシステムではあったのですが、受託案件数が非常に多く、自分の案件でなくても決済に行かなければならないことが多い事務所でした。チームを組んで分担制でやる案件も含め月100件以上、最高月300件、ひとりの案件だと最高月40件も受けていました。
 そんな中で私は独立開業をめざしていたので、自分から申し出て商業登記、相続案件もやらせてもらいました。忙しい事務所で皆必要以上の仕事には手を出さないので、やりたいと言えばやらせてもらえる環境ではありました。こうして2年もすると不動産関係のノウハウはある程度身についたので、ステップアップのために他の事務所に転職することにしました。

※WセミナーはTACのブランドです。

実務を学ぶ場として弁護士事務所を選択

──不動産登記メインの事務所から、次は何を求めてどのような事務所に移られたのですか。

沢部 今度はより自分の長所につながる業務をやっている事務所に行くべきだと判断して、事務所探しをしました。具体的にどのような業務を強みとするかはまだ明確には決まっていませんでした。ただ、最初の事務所で行っていた決済関連業務は、基本的に司法書士であれば皆ができなければならない、司法書士の根幹となる業務と捉えていたので、それほど強みにはならないと思っていました。それ以外のプラスアルファの業務で、他の司法書士が太刀打ちできない部分を作ることができれば差別化ができるだろうと考えたのです。そこで選んだのが弁護士事務所に勤めることでした。

──なぜ弁護士事務所だったのですか。

沢部 司法試験では登記に関する勉強はほとんどしなくて、弁護士はあまり登記に詳しくない方も多いようです。訴訟を起こしたその先に登記があったりするのですが、登記についてわからないまま始めてしまう弁護士と、きちんと司法書士の話を聞いて登記手続きのやり方を確認して進める弁護士がいます。
 司法書士を雇いたいと考えるのは、確実に後者です。そうした方と一緒に登記に絡む訴訟を見ていけるのは自分の勉強になります。簡裁代理等、訴訟関係は規定内であれば当然私たち司法書士もできます。ただ、通常司法書士が専門的に勉強していない部分であって業界的にもまだまだ弱い部分でもあるので、司法書士として訴訟に強くなることと、業務を知れば弁護士との掛け橋になれるという意味合いで、弁護士事務所に入れば自分にとって有益な経験を重ねられ、後々それを活かせると考えたのです。
 こうしてふたつ目の勤務先の弁護士事務所では、パラリーガルとして弁護士補助をしつつ登記を行う部分と、実際簡裁訴訟があれば弁護士と一緒に訴訟を受任するかたちで仕事をしていました。こちらに3年ほどいて、2015年7月1日に独立開業に踏み切りました。

自分から発信できる相続を軸足に

──独立されたとき、どのような事務所にするか、ビジョンはありましたか。

沢部 不動産決済から不動産登記の基本的な部分はひと通りできましたし、プラスアルファで弁護士業務も理解しているので、簡裁訴訟代理関係業務の範囲で債権回収もできました。そのあたりを強みとして活かそうとしたのですが、正直に言って弁護士事務所で培った強みを全面に押し出していくのが最初は難しく、「何でもやる」というスタンスになってしまいました。しばらくすると、それが営業戦略的にはよくないことがわかってきましたので、その後は相続案件に関係する業務を中心にやることにしました。

──沢部先生はなぜ相続を軸に据えようと考えたのですか。

沢部 最初に所属していた事務所で周囲の仲間が、「自分たちは資格を取ったにも関わらず不動産業者の下請けになっている。資格を取ったのになぜあれやれ、これやれと言われながらやっているんだろう」という意見がありました。それに関しては仕事をもらう側なので仕方ない部分もあると思っていました。ただ、この立場を改善しなければいけないとも感じていました。どうして下請けの立ち位置になるのかを考えると、おそらく私たちは自分たちから発信していないからなんですね。
 そこで考えたのが不動産案件を司法書士である自分から振り分けられたら状況は変わるだろうということです。不動産の売却案件を私たちから提供できないだろうか。そう考えた時、出てきたのが相続でした。なぜ相続かというと、相続の処理を進めていく中で不動産売却の話が出ることもあり、その場合は私たちがきっかけになれるのです。不動産業者に連絡して「私の依頼人が、不動産を売却したいそうですが、ご担当いただけますか」と依頼する立場になるので、ポジションが変わってくるんですね。
 司法書士の立ち位置向上はどうしても考えていかなければならない課題だと思っています。下請けだからつまらない仕事だと思ってしまうのは本当に悲しいことです。やはり夢がなければいけません。そうした意味で、自分から発信できる材料があるべきだと考えて、私は相続に軸足を置きました。

──相続以外で注力している業務はありますか。

沢部 実は、2016年8月8日に創業支援コンサルティングを展開する「株式会社PIGGY BANK」を仲間4名で設立しました。これは司法書士事務所とはまったく別に起業支援を行う会社です。相続をメインにやっている事務所の共通の悩みのひとつに、相続案件が継続的に見込めるものではなく、スポットであるということがあります。不動産業者と組んで毎月の決済が何件と目算が立てられる、不動産登記業務がメインの事務所でなければ、安定した案件数の確保はなかなか難しいでしょう。これも司法書士業界全体の課題として挙げられると思います。
 ただし、司法書士にはまだまだやれることがたくさんあります。不安定な相続案件数を相殺するために司法書士が他にできる業務は何かと考えたとき、選んだのが企業法務でした。「PIGGY BANK」はその窓口でもあります。企業法務といえば弁護士と思われるのが普通ですが、司法書士には洗練された会社法の知識があり、不動産取引で学んだ契約実務を活かせば企業法務をやることは充分可能です。

──PIGGY BANKの他のメンバーはどのように設立に関わってこられたのですか。

沢部 「PIGGY BANK」を法人化したのには、実はまったく別の理由があります。高校時代の友人が集まった時、それぞれのスキルを活かして何かできないかという話になったのが発端です。その中で起業支援がもっとも皆の仕事を活かせて、一番適していたのです。そして皆の仕事の受け皿として会社を作ったほうがお客様にもわかりやすいだろうということで設立しました。ですから 私以外の人間はホームページを作成したり、メディアを運用したり、創業資金を調達したりして起業の支援をしています。それらのサービスをひとつの箱として株式会社で行っている、いわゆるワンストップサービスですね。
 設立半年でまだ種まきの段階ですが、今年は広告宣伝費をかけ、新規受注に向けてどんどん活動しています。

──沢部先生の立ち位置は司法書士事務所がメインと捉えていいのですか。

沢部 そうですね。ただ「PIGGY BANK」を設立した理由のひとつに、コンサルティングをやっていきたいという思いがあります。突然「コンサルをやります」と言っても誰もやらせてくれません。そうしたこともあって、起業支援というかたちでより企業の中に入っていく企業法務を行っていけば、おのずとコンサルティングスキルが身についていくと考えました。

相続を中心にしつつ、企業法務も増やす

──司法書士事務所の具体的な業務を教えていただけますか。

沢部 基本的には相続なので遺言、登記、遺産整理業務が中心ですが、不動産決済も月に数件、商業登記も月4~5件受けています。フタを開けてみると意外とコンスタントにいろいろなことをやっていますね。

──今後、司法書士として深堀りしていきたいのはどの分野でしょう。

沢部 やはり私自身、個人事業主としてやっていく不安を少しでも改善できる要素を増やしていきたいですね。そうなると、私たち司法書士は企業法務に手を出せていない現状があると思います。企業法務にきちんと対応できるのであれば弁護士でなくとも、顧問として継続的な契約を結ぶこともできます。ただ、大手企業はブランディングの一環として弁護士を入れているので、司法書士の目線としては中小企業を対象とした企業法務になると思っています。
 私は「PIGGY BANK」の起業支援で「会社を作りましょう」というところから法務を見ているので、「あなたの会社ではこういう問題が発生しますよ」という切り口で入っていけます。やはり入口をどう掴むかが大事ですね。自分の仕事にプラスになるように利益を上げていくことが設立した目的ですから、今後も「PIGGY BANK」を大いに活用していくつもりです。

──企業法務を増やす動きをされているということですが、企業法務に注力している司法書士は多いのですか。

沢部 企業法務に強い司法書士は実はあまり多くないと思います。その点、私は弁護士事務所にいたので契約書作成等いろいろな部分で強みを持つことができました。中小企業の場合は、まず契約書の有無が基本になってきます。契約書がないために細かなルールを定めていなくてトラブルの要素になってしまったり、あっても一方的に相手に有利な条項ばかりが盛り込まれていたりすることなどが問題となるわけです。弁護士は訴訟になってからが主な仕事ですが、私たち司法書士の仕事は訴訟になる前に未然に防ぐ提案型の企業法務になると思います。
 実際、本来であれば会社設立の段階で司法書士が関わっているのですから、「こういう問題が発生しますよ」と忠告してあげなければいけない立場なのです。しかし会社を作ったらそれでおしまい、というケースがほとんどです。本当にお客様がそれでいいのか、きちんと考えてあげられていないのではないでしょうか。中小企業の経営者が知らない法律を私たちからどんどん発信していく。それが今後求められることになると思います。

──経営者はあまり法律を知らずに会社を作っているということですか。

沢部 ほとんど知らないで作っていると思います。取引先との契約も言われるがままにやっていたり、本来は「下請法で守られる立場」であるはずでも、まったく知識がないのでそれに基づいて話ができないなど、知らないでいると困ることはいろいろあります。実際には仕事をしていて、今問題になっていなければそのままでいいやということが多いのですが、私の立場から言わせてもらえば、「問題が起きないからいいのではなく、問題が起きる前にこそ考えた方がいい」のです。起きてからでは遅いので、本来であればそれを私たちが熱心に伝えなければいけませんね。
 加えて、我々のビジネスチャンスがそこにあるのも事実です。会社を設立されたお客様は必ず何かにつまずきます。そこから長いお付き合いをしていく中で、何か起きた時には法務の相談が来る。そういう接点は持っておきたいと思っています。

司法書士の枠を超える若手法律家

7月から「ビジネス実務法務検定試験®講座」の講師に

──沢部先生は7月からTACビジネス実務法務検定試験®講座の講師を務められます。一般市民が法律知識を持っていることのメリットとしてどのようなことがありますか。

沢部 私が相続の案件を受けていてどのようなトラブルが起きやすいかをお話ししましょう。例えば両親と長男、次男の4人家族で、長男が両親と一緒に住んでいて、次男はろくに会いにも来ないで自由気ままに暮らしている。そのような状況で両親の面倒をずっとみてきた長男の元で両親が亡くなった時、長男と次男の遺産の取り分はどうなるでしょうか。実は面倒をみてきたかどうかはほとんど影響がなく、何か特別なことをしていなければ、長男と次男がまったく同じ取り分になるのです。そうすると、自宅の相続だけで長男の取り分が終わってしまい、残りは次男にいってしまうということがあり得るのです。これでは長男が納得いかずに怒りだすわけですね。「おまえは何も面倒みてこなかっただろう」と身内で言い合うトラブル。経験ではそれが一番多いケースです。
 その時、部外者が、といっても奥さんや旦那さん、つまり配偶者が口を出してきます。次男は「お金なんかいいよ」と言っているのに、それを奥さんが聞きつけて「もらえるものは全部もらっておきなさいよ」と焚きつけるケース。これは意外とありますね。部外者が入ることでもめにもめます。その際、もめる可能性があるという意識を持っているだけでも違いますし、本来それを知るべきなのは亡くなった両親です。両親に知識があって、面倒をみてくれた長男に少し多めに財産を残すと遺言を残しておけば、こんなことにはならないのです。法律ではどうなっているのかを知っていれば、解決できる可能性は当然増えてきます。

──ちょっとした法律の知識があることでトラブルのリスクを回避できるのですね。企業関係ではもっと必要になってきますね。

沢部 そうですね。例えば下請法では60日以内に元請けが下請けに対して代金を支払わなければいけないと規定されています。元請けがお金をもらっているか否かは問題になりません。そのあたりの下請法の話もビジネス実務法務検定試験®の範囲に入ってきますので、まずは知ってほしい内容ですね。
 法律に関するトラブルは、まず何が問題なのかを理解することが大切です。問題が解決できなくとも、何が問題になるかに気がつけるかが第一歩なのです。実際に解決するのは我々専門家に任せればいいわけですから。まず問題がどこにあるのかということに気づけるか、あるいは問題があるかもしれないと思えるかが重要ということです。その点、ビジネス実務法務検定試験®は非常に出題範囲が広いので、そのための知識は充分得られると思います。

──会社を設立する人は、自分の会社のトラブルを解決できる程度の法律知識を持っていたほうが良いのでしょうか。

沢部 考え方によりますね。例えば税務はすべて税理士にというように、アウトソーシングですべて外に出してしまう、お金を払って時間を買うという考え方があります。そうすることで、経営者は自分のやるべきことに集中できるわけです。
 通常、大手企業でない限り社内に法務部を持つことは難しいので、立ち上げ間もないベンチャー企業の場合は経営者が自分で調べて法律問題に対処しているケースがほとんどです。ただ「そんなことをするくらいだったら、私たちに丸投げして、空いた時間を使って自分の やるべきことをやってください」というのが専門家からすれば本来のあり方だと思います。そのために弁護士がいて、司法書士がいて、行政書士がいて、税理士がいて、各士業のアウトソーシングサービスがあるわけです。

──知識があればアウトソーシングすることも選択肢として出てくるわけですね。

沢部 そうですね。気がつけない可能性もあるわけですから、それが一番よくない。とにかく私たちが発信するだけでは足りないので、企業側から「この問題は大丈夫なんですか」と聞いていただきたい。そうすれば、私たちは答えられるわけです。

──今回TACで教壇に立つにあたり、どのようなスタンスで教えていこうと思われますか。

沢部 実務家として最新の問題、実際にどのような問題が起きているのかを盛り込みながらやっていくと同時に、やはり勉強する上で一番わかりにくいのは具体性がないことだと思うので、より具体的な話を交えながら講義することを重視したいと考えています。
 また、受講生ときちんとコミュニケーションを取りたいですね。どのような仕事をしていて、どのような可能性があるのか。お話を伺いながら事例に当てはめてあげられると良いかなと思っています。

司法書士の枠を超えて活躍したい

──沢部司法書士事務所は現在何名で運営されていますか。

沢部 今は私ひとりでやっていますが、そろそろきついと感じています。いろいろな団体に所属しているので業務を進める時間が限られ、事務作業だけでも誰かに頼まなければ回らないところまできています。ただ、できるうちはひとりでやっていこうとは思っています。

──司法書士としてか、コンサルタントとしてか。最終的な方向性としてどちらをお考えですか。

沢部 両方です。司法書士だから他のことをやってはいけないわけではありませんし、法律で決まっていること以外にもできることはたくさんあります。そうでなければコンサルタントは成り立ちません。仕事の領域は今後もどんどん広げていきたいし、それがお客様が望んでいることであれば、私たちがやったほうが良い。できることはたくさんあるはずなので、司法書士という枠を飛び越えたいと思っています。
 司法書士はこれから変わっていかなければならないと思います。黙っていても仕事がくる時代ではないので、お客様にとってどのようなサービスが一番いいのかを考えなければなりません。独りよがりではもう仕事がこない時代です。

──司法書士試験やビジネス実務法務検定試験®など、資格取得のために勉強しているTACNEWSの読者にメッセージをお願いします。

沢部 まず、司法書士の資格は想像以上に効果があります。資格取得によっていろいろな立場の人に会える機会が増えるので、それだけでも充分価値はあるでしょう。ただ、そこから先どのようなサービスを提供するかはその人次第です。司法書士資格を取得したからといって儲かるというシステムではないので、むしろ経験であったりやりたいことを活かしたりして、資格を利用しながら活動していただくと、今後の業務もどんどん広がっていくと思います。司法書士が自分で想像していたよりも社会的信用が高い位置づけにあることをきちんと理解して、良い仕事をしていけば間違いなく未来は拓けると思います。
 ビジネス実務法務検定試験®は、法務部に所属している方、あるいは法律に興味があって勉強する方など、様々な目的で受講される方がいると思います。このTACの講座では、多岐にわたる内容を学ぶことができるので、自分の仕事でもプライベートでも活かせる要素がたくさん出てくるはずです。それをきっかけに、また新たな資格をめざしてみるのも良いでしょう。
 法律は知っておくと良いこと、知らないと困ってしまうことがたくさんあるので、とっかかりとしてビジネス実務法務検定試験®はとても良いですね。これをきっかけに深く勉強していくのも、広く浅くやっていくのも、いずれも自分のためになるはずです。がんばってください。

[TACNEWS 2017年4月号|特集]