社長メッセージ
 私は大学時代に「自分が何になりたいか?」がわからずにインドを放浪しました。デリー空港で物乞いの子供たちに囲まれて立ち往生したり、遺骨が流されるガンジス川で沐浴し、異文化と遭遇しました。デカン高原の農村で、一人の老人に出会いました。彼は井戸水を畑に灌漑(かんがい)していました。カースト制が根強く残る農村では、職業は生まれながらにして決まっていました。私は「職業選択の自由」が憲法で守られた日本に生を享けた幸運に、初めて気付きました。自分が何者なのかを自分で決められる国は、とても幸せな国だったのです。私は、生きて日本に帰る日がくるのなら、命の限り精一杯に生きることを誓いました。
 帰国した私は、一流企業に就職する決まりきった人生を「つまらない」と思いました。人生の主導権を自分が握る自立した人生を面白いと思いました。そのためには「強さ」が必要でした。最強資格である公認会計士に挑戦することにしました。
 試験に合格した私は、自分の人生をイメージしました。ただの公認会計士として生きるよりも、私にしかできない、世のためになる事業を興すベンチャーが面白いと思い、29歳のときにTACを設立しました。当時の銀行は融資するときに、経営者の連帯保証と生命保険への加入を求めました。私は倒産したら命を差し出す覚悟で生命保険に加入し、銀行から金を借りると、ベンチャーとして船出しました。TACは資格という「強さ」を武器に人生の主導権を握る自立した生き方を大学生と社会人に伝え、多くの人が人生の物語をつくる応援をしてきました。強さがあると、人は自分なりの人生の物語をつくることができるのです。
 教育の本質は、その人が一番好きな生き方を見つける手伝いをすることにあります。TACは教育の本質を実現する企業です。梅田望夫著『ウェブ進化論』から10年が経ち、Webは、現実世界の未来図になりつつあります。私たちは時代の変化に対応しながら、
教育の本質に沿って変化を続け、多くの人が望む生き方を見つける手伝いをする所存
です。
◇プロフィール
生年月日:1951年3月8日
略  歴:
1975年3月東北大学経済学部経済学科卒業
1978年9月公認会計士第2次試験合格
1980年12月TAC株式会社を設立し、代表取締役社長に就任
(社)経済同友会副代表幹事等を歴任
主  著:「風の記憶」「風を追う」「風に出会う」「資格受験・合格する発想」「風の二重奏」「ビジネスの論理」。
「風に出会う」収録の「収容バスとの競争」が99年文藝春秋社のベストエッセイに選ばれる。
企業理念
プロフェッションの養成を通して社会に貢献

TACの企業理念は、“プロフェッション”としての人材の養成です。
プロフェッションprofessionとは、英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパでは神に誓いを立てて従事する職業として、神父や法律家、会計士、医者、教師、技術者などの知識専門家を指していました。そして神の詔命によってプロフェッションとなった人々には、社会や市民に対する大きな責任と厳しい倫理観が求められました。
21世紀を迎え新たな時代を拓かなければならないわが国にあって、TACは既存のプロフェッションの養成だけではなく、時代が求める新しいプロフェッションの創造を通して社会に貢献していく「プロフェッション創造企業」でありたいと考えています。