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過去10年間の各種資格の本試験受験者数は、2001年の241万人から2010年の280万人へ約39万人増加しており、約16%伸びています。
一方で、会計系資格(簿記検定、公認会計士、税理士)について受験者数の推移をみると2001年以降増加傾向にあり、2010年には過去最高の81万人(前年比5.0%増)が受験しています。特に、簿記検定が2005年以来増加し続けており(2005年からの伸び率は同36.6%増)、会計の知識が一過性のものではなく、ビジネスの現場における不可欠な共通言語として、重要視されていることがわかります。

TACは1980年の設立以来、31年間増収を続けています。2011年3月期は会計系講座が振るわなかったものの、公務員講座やWセミナー系講座の司法書士講座が堅調な伸びをみせたことにより、連結売上高は245億円(前年比2.4%増)となりました。TACでは好況期に伸びる資格から不況期に強い資格まで幅広く取り扱っており、この結果、景気の変動を受けにくく、31年連続の増収という安定した成長につながっているといえます。

TACでは受講者に受講料を全額お支払いいただき(現金ベース売上高)、いったん、前受金として貸借対照表の負債の部に計上しておきます。その後、教育サービスの提供期間に応じて前受金を月ごとに売上高に振り替えます(発生ベース売上高)。現金ベース売上高が増加すると翌年の戻入額が多額になり、発生ベース売上を押し上げる効果が強まります。しかし、現金ベース売上高が増加を続けている場合には、戻入額以上に繰入額が多額になることで、前受金調整額が現金ベース売上に対してマイナスに影響する場合があります(2008/3期と2011/3期を除く各期)。一方で、現金 ベース売上高が減少すると前受金残高が減少していき、その後の前受金戻入額が少なくなることによって発生ベース売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。

2011年3月期の受講者数は、217,018人(前年比3,305人減、1.5%減)となりました。個人受講者はWセミナー系講座の司法書士講座(同37. 4%増)・弁理士講座(同16. 3%増)・公務員講座(国家I種・外務専門職)(同12.7%増)等の受講者数が増加しつつあります。これに対して、未就職者問題および試験制度改正に揺れる公認会計士講座は同9.4%減、簿記検定講座同11.5%減等、既存講座の不振が目立ち、全体では同2.7%減の163,151人となりました。一方、法人受講者は大学内セミナーで同16.9%増、自治体の雇用対策のための委託訓練が同20.6% 増と好調に推移し、同2.4%増の53,867人となりました。

個人受講者の年齢層を大学生層(24歳以下)と社会人層(25歳以上)に区分すると、社会人層が2011年3月期は前年比3.1%減となりましたが 12万人を超えております。この背景には、1997年の山一證券、北海道拓殖銀行の破綻により、終身雇用や年功序列といった日本的経営の崩壊が始まり、社会人層の危機感が高まったためと考えられます。社会人としてのスキルアップのほか、起業する前の知識として学習をする等、学習目的の多様化が進んでいます。一方で、大学生層は簿記検定講座(同15.6%増)、公務員講座(国家II種・地方上級コース)(同7. 0%増)と堅調に推移しましたが、未就職者問題の公認会計士講座(同14.7%減)が影響し、同1.7%減にとどまりました。
教育訓練給付制度は、労働者の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付制度であり、厚生労働省が主管しております。一定条件を満たす雇用保険の一般被保険者等がいったん全額受講料を支払い、講座修了後、出席率等一定条件を満たしている場合に、入会金・受講料の一定割合に相当する額が雇用保険からハローワーク(公共職業安定所)を通じて支給されるものです。給付基準は数年に一度変更されることがあり、現在は被保険者期間が3年以上(初回利用に限り1年以上)の方は一律20%、10万円が限度とされています。
2011年3月期の給付金利用売上高は19億9800万円(前年比10.1%減)となりました。財務・会計分野の講座利用人数は同23.9%減となりましたが、Wセミナーの統合により、司法書士講座は同3.2倍、弁理士講座は同4.1倍と法律講座の利用者が大幅に増加しました。
子会社のTACプロフェッションバンク(TPB)では、人材事業(人材紹介・人材派遣・求人広告)を展開しています。事業環境の悪化による売上低迷が長引いていますが、夏に実施した公認会計士・税理士試験後の就職説明会ほか、新たにWセミナー系法律講座である司法書士に関して、受験者と司法書士事務所を結び付ける業界初の就職説明会を実施し、たいへん好評を博しました。こうした企画・営業努力の積み重ねとコスト削減を継続し、営業利益は3期ぶりに黒字化しています。

2010年の公認会計士試験は受験者数が25,147名と過去最高を記録しました。しかし、2007年、2008年の大量合格の結果、内部統制監査制度、四半期報告制度に対応するための人材ニーズは満たされ、監査法人では採用人数を絞る動きが出てきました。これに合わせて、2010年は合格者数も1,923人(合格率7.6%)と2009年に引き続き減少しました。

大手監査法人が採用人数を絞るなか、試験に合格しても監査法人に就職できない未就職者問題が表面化しています。試験合格者が監査法人への就職を望む背景には、監査法人でなければ実務従事要件が満たせない、補習所に通うことが困難になる等の問題点があります。また金融庁の「公認会計士制度に関する懇談会」で導入が決定されていた「企業財務会計士」資格の導入や短答式試験の年1回実施への削減等の施策は、国会審議で反対論が強く白紙に戻されました。2010年の公認会計士試験は、受験者数25,147名に対して合格者は1,923名(合格率7.6%)と落ち着いたレベルになりましたが、これでもなお、一般企業まで含めた未就職の合格者は4割残っているといわれています。金融庁は公認会計士試験合格者は当面1,500〜2,000人程度が適当であるとしており、未就職者問題の解決にはもう少し時間が必要と考えられます。
