中小企業診断士 過去問に挑戦!(2020年度 第1次試験 企業経営理論より)  

二次試験過去問2018

本試験で出題された問題を体験し、「どのような問題が出るのか」「どのような知識・スキルを求められているのか」試験問題を見ながらイメージを高めてみましょう!

1.問題

「企業経営理論」第3問

「業界の構造分析」の枠組みに基づいて考えられる、売り手(サプライヤー)と買い手(顧客)との間での交渉力に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア.新たな企業が売り手として参入できる場合には、新規参入が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。

イ.ある売り手が供給する製品と他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。

ウ.ある売り手が供給する製品を買い手が他社の競合製品に切り換える際に、買い手がその製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、買い手に対する売り手の交渉力は低下する。

エ.売り手が前方統合できる場合には、前方統合が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。

オ.売り手側のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、買い手に対する売り手の交渉力は高くなる。

2.解説・解答

問題を解く上で必要となる知識の確認

●売り手の交渉力

売り手とは、ある業界(の企業)に対し、製品を生産する部品や原材料を提供する供給業者である。たとえば、この供給業者の持つ部品などが特別に差別化されたもの(特許を取得しているなど)であったり、供給業者の数が少なかったりする場合は、その供給業者の持つ交渉力は業界にとって脅威となる。

●買い手の交渉力

買い手とは、ある業界(の企業)が製品を販売する顧客のことである。買い手の交渉力が強まる主な要因としては、次のようなことがある。

  1. 買い手の数が少ない。
  2. 製品が標準化されている、あるいは差別化されていない。
  3. 買い手が後方統合する意思をみせている。
  4. 仕入れ先を変えるコスト(スイッチング・コスト)がかからない。
  5. 提供される製品価格が、買い手のトータルコストに占める割合が大きい。
  6. 買い手の利益が小さい。

3の後方統合とは、原材料の生産から製品の販売に至る業務を垂直的な流れと見て、原材料に近い方を川上、製品販売に近い方を川下とした際に、自社にとって川上方向の企業を統合することである。買い手が後方統合できる場合、売り手にとっては、同業者が統合されることになり、売り手はその買い手を失うことになる。よって、買い手側のほうが優位に取引を行うことが可能である(買い手の交渉力が強まる)。

1~4は、買い手のほうが強い力を有することで交渉力が強まる。5・6は、買い手が交渉力を行使する必要性が高いことから交渉力が強まる(強めてくる)。

選択肢の解説

交渉力に関する問題である。

ア ×:新たな企業が売り手として参入できる場合であるので、言い方を変えると、参入障壁が低いということである。つまり、売り手としては同業他社(ライバル企業)が多いということになる。この場合、売り手にとっては顧客(買い手)を獲得することの困難性が高く、買い手にとっては仕入れ先(売り手)を確保することの困難性が低い。つまり、買い手側のほうが優位に取引を行うことが可能である。よって、売り手に対する買い手の交渉力は高くなる。

イ ×:ある売り手が供給する製品と他社の競合製品との間での互換性が高いということは、取り換えが利くということである。この場合には、買い手側にとっては、特定の売り手からしか調達できないわけではないため、買い手側のほうが優位に取引を行うことが可能である。よって、売り手に対する買い手の交渉力は高くなる。

ウ ×:ある売り手が供給する製品を買い手が他社の競合製品に切り換える際に、買い手がその製品の使用方法をはじめから学び直す必要がある場合とは、買い手にとってスイッチングコストが高い状況である。この場合、買い手は、その特定の売り手の製品を購入し続けることを望むため、売り手側のほうが優位に取引を行うことが可能である。よって、買い手に対する売り手の交渉力は高くなる。

エ ○:正しい。前方統合とは、原材料の生産から製品の販売に至る業務を垂直的な流れと見て、原材料に近い方を川上、製品販売に近い方を川下とした際に、自社にとって川下方向の企業を統合するということである。売り手が前方統合できる場合、買い手にとっては、同業者が統合されるということになる。このようなことが生じると、買い手はその売り手を失うことになる。このような場合、売り手側のほうが優位に取引を行うことが可能である。よって、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。

オ ×:ハーフィンダール指数とは、市場集中度を示す指標の一つであり、参入している企業のマーケットシェアの自乗の和で表される。これがゼロに近づくということは、市場集中度が低い状況である。よって、売り手側のハーフィンダール指数がゼロに近づくとは、売り手側には、大きなシェアを有した企業がおらず、また、企業の数が多い状況である。この場合、売り手にとっては顧客(買い手)を獲得することの困難性が高く、買い手にとっては仕入れ先(売り手)を確保することの困難性が低い。つまり、買い手側のほうが優位に取引を行うことが可能である。よって、買い手に対する売り手の交渉力は低くなる。

解答

正解は・・・エ

( TACデータリサーチ*による正答率 58%)

* TACデータリサーチとは、TAC独自の本試験解答集計・分析サービスのことです。

正解できましたか?なかには初めて見る言葉もあったかもしれません。TACのカリキュラムでは、「基本テキスト」などの教材で一から基礎固めをしていきますので、初めて学習される方でもご安心ください。

3.解説動画

動画で解説します!
2020年度 1次試験「企業経営理論」第3問 解説

正解はできましたか?
上記の解説文でもおわかりなったかもしれませんが、解説動画を視聴していただくと、さらに理解が深まると思います。TACのカリキュラムでも、「基本テキスト」などの教材で一から基礎固めしてきますので、初めて学習される方でもご安心ください。

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