特集 教員採用試験合格者に聞く、合格の秘訣   

 子どもたちの未来を預かり、教育面で国を支える教員。公立の場合は公務員としての安定性も 兼ね備え、安心して打ち込むことのできる魅力的な職業です。今回は、難関・狭き門と言われる採用試験を見事勝ち抜いた4人の方々に、教員をめざした理由や、合格までのプロセス、これからどんな教員として活躍していきたいかなど、じっくり語っていただきました。

※2018年3月に取材しました。

児童や生徒と目線を合わせ、一緒に成長していきたい

左から
■皆川 陸(みながわ りく)さん
埼玉県出身、学習院大学 文学部卒業
(総合本科生/教室講座)
合格先:埼玉県 高校地理歴史

■竹内 由希子(たけうち ゆきこ)さん
埼玉県出身、武蔵野美術大学 造形学部卒業
(総合本科生/教室講座)
合格先:東京都 小中共通美術

■岡部 樹子(おかべ きこ)さん
東京都出身、中央大学 文学部卒業
(総合本科生/教室講座)
合格先:東京都 中高英語

■石坂 隼太(いしざか はやた)さん
埼玉県出身、明星大学 教育学部卒業
(総合本科生/Web通信講座)
合格先:埼玉県 小学校全科

「人に教えた経験」を通じて、やりがいを発見

──教員をめざそうと思った動機や時期を教えて下さい。

皆川 高校2年生の時に、友人に日本史の勉強方法を教えたことがきっかけです。暗記のやり方や記述問題の解き方を説明すると、理解した時に「あっ!」という顔をしたのが印象的でした。定期テストでは前回より10点、点数が伸びたと聞いたのも嬉しかったです。この経験から、自分は人に教えることが好きだと気づき、教員になろうと決意しました。

竹内 私は高校の美術科から美術大学に進学し日本画を専攻。将来は美術に直接関わる仕事をするつもりでした。ところが、大学1年生の時に受けた教職課程の授業がきっかけで「美術教育」に興味を持つように。さらに、全国各地の小・中学校を訪れて美術の授業を行うプロジェクトに参加したことで、美術を通して子どもたちと関わっていきたいと思い、小学校の図工教員をめざしました。

岡部 中学校の先生が尊敬できる方ばかりで、教員という仕事に憧れを抱いていました。英語を教えたいと思ったのは、大学時代に東京都の「外国人おもてなし語学ボランティア」に参加したことがきっかけです。 様々な人とコミュニケーションを取るためには「おもてなしをしたい」という気持ちが必要だと実感し、意識を育てることを含めた語学教育を自分なりに実践してみたいと思いました。

石坂 「人と関わることが好きだから」という理由で大学は教育学部に進学しました。特別支援学校の児童と交流するインターンシップや、へき地教育を研究するサークル活動、小・中学生向け塾講師のアルバイトなど、教育に関する様々な活動をしてみて気づいたのが、「自分は小学生の成長全体に関わることにもっともやりがいを感じる」ということ。勉強や遊びなどを彼らと体験することで、自分自身も一緒に成長していきたいと思い、小学校教員を志望しました。

受講生一人ひとりを「先生」として扱ってくれるTACの教員講座

──受験をするにあたってTACを選んだのはなぜですか?

岡部 講師はもちろん、事務の方も教員採用試験について詳しい知識を持っていて、学習方法や併願先の選び方まで教えてもらえたからです。私は勉強を始めたのが大学3年生の11月からと遅く焦り気味でしたが、教員講座に関わる方々全員がサポートしてくれるTACなら安心して通うことができると思いました。

竹内 もともとTACを知っていたことに加え、電話対応が親切だったからです。私は土日に通学希望でしたが、パンフレットを見てもどれが良いのか決めきれませんでした。問い合わせをすると、校舎の案内に加えてコースや受講料の違いを、対応してくださった方の個人的な意見も交えて丁寧に説明してもらい感動しました。

皆川 勉強を始めてみて、ひとりで教職教養と面接の対策をするのは難しいと感じました。そこで「論文添削・面接練習を回数無制限で受けられる」というTACの広告に惹かれて体験入学に参加することに。教職教養のテキストを見てみると、分厚いながらもきちんとポイントが押さえてあり効率的に勉強ができると思いました。講義ももちろんわかりやすくTACに通えば試験対策は完璧だと直感しました。

石坂 大学までの通学時間が長く、予備校に通う時間や交通費を抑えたかったので、Webで勉強できるところを探していました。TACを選んだのは、他校と比べて通信講座の内容が充実していたからです。さらに、大学のWi-Fi環境を使って講義動画をダウンロードしておくと、帰りの電車の中でもスマートフォンで動画を再生して講義を見ることができるなど、使い勝手の良さも決め手になりました。

──おすすめのT A C 活用法があればぜひ教えてください。

石坂 演習(現・問題集解説)が素晴らしく、フル活用しました。最初は各回20問中3~4割しか正解できず落ち込みましたが、繰り返し解いて7~8割は取れるようになりました。すると、試験本番には「こんなに簡単でいいの?」と拍子抜けしたくらい力がつきました。演習後に受ける解説講義はとても充実しており、要点がコンパクトにわかりやすくまとめられているので、ぜひ講義までセットで活用してください。

皆川 面接は2次試験でもウエイトが高く、失敗ができません。TACでは回数無制限でマンツーマン指導が受けられるので、利用しない手はないと思います。私の場合は複数の講師から「落ち着きのなさ」や「緊張すると話すスピードが速くなる」ことを指摘され、堂々とした態度や伝わりやすい話し方を身につけるために何度も練習を重ねました。厳しいと感じることもありましたが、だからこそ改善すべき点に向き合うことができたと思います。

岡部 「時間が足りない」「演習(現・問題集解説)の点が低い」「自分の意見をまとめるのが苦手で論文が書けない」など、すぐモチベーションが下がってしまうのが悩みの種でした。そこで、落ち込んだ時ほどTACの校舎に通い、講師や仲間から直接刺激をもらうようにしていました。逆に、やる気が出ると通学時間も惜しかったので、自宅のパソコンで講義を視聴していました。Webだと一時停止が可能なので、好きなタイミングで休憩を入れられるのも便利です。本科生はWebフォローが標準装備なので、自分のリズムに合わせて勉強の場所を選ぶといいと思います。

竹内 TACの教員講座では、受講生全員を「教員」として扱ってくれます。尊敬する講師の方々から「先生」と呼んでもらえることで、気持ちがとても引き締まりました。また、収録用のカメラが回っていない時でも必ず大きな声で挨拶をして教室に入る姿、受講生一人ひとりの顔を覚えて「先生~」と気さくに呼びかける姿など、渋谷校の鴨田先生をはじめとするお手本にしたい講師の所作を観察してメモし、自分も教員になったらこんな風に動こうとイメージすることができました。

モチベーション維持方法は人それぞれほとんど勉強できない教育実習期間

──受験期間はどのようにモチベーションを維持していましたか。

皆川 1ヵ月に1回は日帰りか一泊、半年に1回は少し遠くに旅行をすると決めていました。神社仏閣巡りが好きで2年前から御朱印を集めているのですが、現在御朱印帳が7冊目に入ったところです。「授業をする時のネタになるかな」という気持ちも少しありましたが、それ以上に旅行が楽しみで日々の勉強をがんばることができたと思います。

岡部 私は遊びながら勉強ができないタイプなので、勉強を続けることで達成感を得るようにしていました。一番役立ったのが「やることリスト」専用のメモ帳です。1週間ごとに勉強の計画を立てた上で、「今日はこれをやったらおしまい」というゴールを毎日決め、できたら塗り潰す。中学校の定期テストの時からの習慣なのですが、この方法を教えてくださった中学の先生には感謝しています。

石坂 週に1回はジムに行って体を動かすようにしていました。絶対に勉強しない日を決めて、友達と1日中ボーリングを楽しんでからお酒を飲みに行く、というのもストレス発散になりましたね。漫然と息抜きをするのではなく「次の日から勉強に集中するために全力で遊ぼう」と意識していました。

竹内 東京都の小学校の先生に個人的にお願いをして、週に1回、2年生の図工の授業を見学させてもらっていました。たった1回の授業の中でも子どもは学んで成長していくことを目の当たりにし、毎回「私のめざすところはここだ」と感じてモチベーションが上がりました。

──教育実習期間中、学習はどのように進めていましたか。

石坂 「勉強をする余裕はない」と先輩に言われていたので、実習終了後の2週間で演習(現・問題集解説)の総復習をして1次試験に間に合わせると決めていました。実際に勉強はできなかったのですが、真剣に実習に取り組んだことで得たものがたくさんありました。

竹内 私も実習中は行き帰りの電車しか勉強する時間がないだろうなと予想していました。そこで、あらかじめアウトプット系は終わらせておき、専門教養の美術史など、暗記が必要なものを残しておきました。東京都の美術の問題は「資料集の隅に載っているかいないか」くらいのマイナーな人がたくさん出てくるので、写真を眺めて記憶に残す程度のことをしました。

岡部 教育実習中は私も授業を作るのに精一杯でした。面接で話せることは覚えておきたいと思ったので、生徒の学びを感じた瞬間や教員という仕事のやりがいなどは、アンテナを張ってメモを残すようにしていました。

皆川 勉強が終わっていない科目がある状態で実習に行ったので、「まずいな」と焦っていたのを覚えています。皆さんがおっしゃる通り、実習中はまったく勉強ができませんでした。とにかく体が疲れて眠くなるので、睡眠時間の確保は最優先ですね。

筆記試験や面接では、TACの予想が的中!集団討論のカギはチームワークにあり

──実際に教員採用試験を受けての感想を教えてください。

皆川 1次試験の教職教養では、TACで習ったことがほぼすべて出たので心の中でガッツポーズをしました。結果、自己採点では満点を取ることができました。石坂さんがおっしゃる通り、TACの演習(現・問題集解説)は難易度が高いです。それに比べると埼玉県の本試験は簡単に感じました。2次試験の面接は、緊張しすぎて細かい記憶がほとんどありません。TACで予想していたのと同じ質問が来たので、そこは落ち着いて答えることができました。ところが、集団面接で5人中1人しか答えられないようなマニアックなことを聞かれたのには混乱しましたね。「今はわからないので、あとで調べます」と答えて乗り切りましたが、予想外の質問への対応も練習しておいたほうがいいなと思いました。

竹内 大学の先輩たちが残してくれた面接の体験記を読むのが大好きで、「私も2次試験に進んでこれを書いてみたい」という憧れが強くありました。ところが、東京都の筆記試験は例年より難易度が高く、専門教養も手応えがありませんでした。電車の中で泣きながら帰るくらいだったので、1次試験合格の知らせを聞いたときは「やったー、これで面接ができる!落ちても受かっても体験記が書ける!」と嬉しくてたまりませんでした(笑)。面接当日は、質問内容から面接官の表情までスパイ気分で心に刻みつけ、帰りの電車の中で急いでメモに残しました。また、美術系教員志望者はとても数が少なかったので、本番の集団討論では「やっと仲間に出会えた」という気持ちで楽しむことができました。場面指導ではTACの予想とまったく同じ問題が出たので、堂々と答えることができたと思います。

岡部 私も竹内さんと同じく東京都だったのですが、筆記試験はズタボロで忘れたいくらい悲しい記憶です。2次試験は慎重にいこうと決め、集団討論のメンバーには積極的に話しかけて試験前にそれぞれの人柄をつかむようにしました。偶然全員女性で、すぐに協力的な雰囲気になったので助かりましたね。私は司会をするのが苦手なので、他の方がリーダーに名乗り出てくださるのを待ち、副リーダー的な役割を狙いました(笑)。集団面接のあとは個人面接で、私の順番は4番目。1時間半もの間座ったまま、ノート類も一切見ることができず待たなければならないのですが、目一杯緊張しきってしまい「もう、なんでも聞いてください!」と吹っ切ることができました。そのおかげで、個人面接では伸び伸びとお話をすることできたと思います。

石坂 筆記試験は演習(現・問題集解説)をしっかり復習していったので、自分なりにできたと感じました。ただ、埼玉県は2017年実施試験から集団討論がスタート。過去のデータがなかったので予測がつかず、2次試験前は不安がありました。そんな中でひとつ気をつけたのが、「チームワークを大切にする」ということです。教員という仕事には、自分を強く印象づけるための目立つ行為は必要ありません。周りの意見を広く取り入れ、そこに自分の意見とアレンジを加えて「どうでしょう」と提案するのが最善の策だと私は思っています。それを、集団討論の場で、チーム全員で表現できたら合格できると感じました。そこで、メンバー全員に事前に「チームワークでいきましょう、絶対全員合格しましょう」と小声で話しかけました。すると、討論で誰かが論題から外れてしまったら誰かが必ず修正をしたり、議論が白熱してもタイムキーパーが声かけをしたりと、全員で協力しあうことができました。最終的に、集団討論で一緒になった6人全員が合格することができたので、あの作戦で良かったのだと思います。

──大学在学中に「やっておいて良かった」「やっておけば良かった」と思うことはありますか。

皆川 安くて空いている時期に旅行を楽しむことができたのは良かったと思っています。やっておけば良かったと思うのは読書ですね。今、ようやく本を読むようになったのですが、大学1年生のうちからもっと多くの本に触れておけば知識の幅がもっと広がったかな、と感じています。

竹内 小学校の授業を見学させてもらうことで、現場で働く先生や子どもたちと関わることができて良かったです。ただ、大学1年で教員をめざしたので美術以外のことに目を向けるのが難しかったですね。視野を広げるためにも、運動や英語など、専門以外のことにも興味を持っておけば良かったかなと思います。

岡部 英語の勉強のために短期留学に行ったのですが、宗教や人種差別問題などに直面し、これまでよりも多様な人を受け入れられるようになりました。生徒に「海外でこんな経験をしたよ」と伝えることもできるので、行っておいて良かったと思います。やっておけば良かったのは新聞を読むことです。ひとりの社会人としても、日本国内のニュースを知っていることは重要だと思います。紙の新聞をとっていなくても、大学の図書館やスマートフォンのアプリでチェックはできるので、後輩にはぜひ新聞を読んで欲しいです。

石坂 個人旅行や大学のサークル活動で海外に行き、日本に住む自分がいかに清潔で恵まれた環境にいるかを知ることができました。勉強も遊びも精一杯やったので悔いはないです。せっかく時間がある大学時代は、海外旅行などの「非日常」をたくさん味わって様々な視点を持つといいと思います。

教員として叶えたい夢をいつも心に描こう

──これから、どんな教員として活躍していきたいですか?

竹内 図工を通して児童一人ひとりの成長を発見し、見守っていきたいと思っています。例えば、失敗したショックで手が止まっている児童がいたら、リカバリーする方法をいくつか提案して本人が選べるようになるまで根気強く待つ。同じ失敗をしないように工夫できたら一緒に喜ぶ。そんな教員になるのが夢です。

皆川 こちらの考えを押し付けるのではなく、生徒を導くことのできる教員になりたいです。進路を決める時も、適切で豊富な情報を提供し、生徒が自分の意思で選べるように環境を整えたいと思っています。そして、将来に向けて自信を持って羽ばたく人をたくさん送り出せる教員でありたいです。

岡部 教員として、まずは生徒の多様性を理解して受け入れていきたいと思っています。その上で、自分の経験を通して、英語のこと、海外のこと、コミュニケーションのことを伝えていけたらと思っています。

石坂 教育実習中に指導教員の方から言われて心に残ったのが、「子どもたちと一緒に“感” 動し、“汗”を流し、“歓”びあう、3つの『かん』を大切にしよう」という言葉です。自分が教員として働く上での核になる考えだと感じたので、ずっと守っていくつもりです。

──最後に、教員をめざす『TACNEWS』読者に、メッセージをお願いいたします。

皆川 教員採用試験は狭き門と言われていますが、あらかじめ計画を立てて対策をすれば合格できると思います。自分を信じ「、教員になりたい」という気持ちをずっと持ち続けて挑んでください。

石坂 教員という仕事を広く知っておくことも必要だと思います。勉強を教えるだけではなく、事務的な仕事や、保護者対応、地域との連携など、現場でどんなことをするかを知っておけば、いざ受かった後「こんなはずではなかった」というギャップが生じるのを防ぐことができるはずです。

竹内  「教員になってこんなことがしたい」と未来予想図を描くことは、モチベーションの維持にも、面接にも役立ちます。試験直前は細かいことばかりに目が行きがちですが、教員として叶えたい「夢」をいつも胸に持ち、言葉で伝えられるようにしておくといいと思います。

岡部 私は教員になると決めてから、信号は必ず守る、近所の方には自分から大きな声で挨拶をするなど「すでに自分は教員である」という意識で行動していました。そうすることで、面接でも自信を持って受け答えをすることができました。早めに意識することで、行動が変わってくると思います。がんばってください。

──皆さんの今後のご活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

[TACNEWS 2018年7月号|特集]