コラム 大変なのは最初だけ! 医療事務の現場
医療事務の仕事は大変?
医療事務というお仕事は女性にとって魅力的という評判がある一方で、「現実は大変」、「過酷」といった声をあちこちで聞くのもまた事実。これから医療事務の世界に飛び込んでみようかな、と考えつつも、そのような声にたじろいでしまう方もいるかもしれません。さて、実態はどうなのでしょうか?

医療事務の仕事を始めて1か月
新米医療事務ハナコ 「先輩! わたしようやく今日でこのクリニックに来て1か月になりました!」
ベテラン医療事務カオルコ先輩 「あっという間だねー。どう? 少しはお仕事慣れてきた?」
ハナコ 「いやー、いつもミスばっかりしてて、まだまだです・・・。でも、ひととおりの仕事は触ったので、あとは経験を積むことかなーと」
カオルコ先輩 「どんな仕事も最初は大変だからね・・・でも、その時期を乗り越えたなら大丈夫!」
ハナコ 「先輩のおかげです! これからもフォローお願いします」
カオルコ先輩 「はいはい、ところで、わたしはもう仕事始めたころの気分は思い出せないけど、ハナちゃんはどんなところが大変だったの?」
ハナコ 「そうですねー・・・」
医療事務の現場の大変さ(1) 医療現場は「専門家」の職場
──医療機関では医師(ドクター)、看護師など、直接患者に医療行為を行う医学の専門家が主なスタッフであり、医療事務は彼らのサポート役という立場になります。医師や看護師の会話では医学に関する専門用語が飛び交ったり、診察を行うエリアには見慣れない医療機器、検査機器が所狭しと並んでいたりする。そんな職場に、新人のころはちょっと気後れしてしまうかもしれません。
ハナコ 「最初は何となく、わたしなんかがここで仕事してていいのかな・・・? って弱気になっちゃいました」
カオルコ先輩 「なるほどね、確かにそうかも。でも、やってみたらそんなに特別な職場じゃないってわかったでしょ」
ハナコ 「そうですね、うちは内科で、患者さんの受診のきっかけになる病気の種類は多いけど、診療行為のすべてについてルールを把握する必要はないってわかりました」
カオルコ先輩 「そうだね、もともと診療科ごとに、重点的に実施するポイントが違うから、それに慣れてしまうのが近道だね」
──現場で働いている医療事務が診療報酬を隅から隅まで熟知しているわけではなく、医師もすべての医療行為について熟知しているわけではありません。勤務先でのお仕事には必ず「偏り」があるはずで、仕事を続けていくと、このことに気づけるはずです。
ひとまずは、一つ一つの仕事を正確にこなしていくことを大事に考えましょう。その積み重ねが、仕事全体を見渡せるポジションに自分を連れて行ってくれるはずであり、このプロセスは、医療機関だから特別ということはなく、一般的な仕事と変わらないことがわかります。
医療事務の現場の大変さ(2) 患者対応
──“医療”をサービス業と考えると、患者対応は“接客”に当たります。医療事務は医療機関の窓口ですから、接客する患者から寄せられるクレームの矢面に立つことも、しばしばあるでしょう。
ハナコ 「特にわたしは接客の仕事の経験がなかったから、最初はとまどいましたね。とにかくいろんな患者さんが受診して、いろんな要望をいただくので・・・」
カオルコ先輩 「人が医療機関を受診するのって、具合が悪いときだからね。体の調子だけじゃなくて心も疲れてる人もいるから、とりわけ思いやりをもった対応が必要かもね」
ハナコ 「クレームとは関係なく、耳の遠い高齢者の方にはハッキリとゆっくり話したほうがいいし、小さいお子さんにはしゃがんで同じ目線で話しかけたり、患者さんに合わせた工夫も大事だってわかりました」
──医療は誰でも利用するサービスで、医療機関はそのサービスを行う現場。いろいろなお客さんに対応したり、ときに苦情を受け止めたりするのはサービス業の宿命です。最初のうちは戸惑うかもしれませんが、周りのスタッフの様子を見ながら、自分でも工夫して対応していくとよいでしょう。
医療事務の現場の大変さ(3) 病気の集まる職場
──医療機関は病気になった患者が集まるところ。診療科にもよりますが、長い時間勤務することで、風邪などの病気をもらいやすいこともあるかもしれません。
ハナコ 「うちのクリニックは内科だから、患者さんの風邪をもらってしまわないように、普段から健康管理にはじゅうぶん気をつけないといけないですね。わたしは健康だけがとりえだから問題ないですけど!」
カオルコ先輩 「元気なのはいいことよ! 整形外科とか歯科みたいに、感染性の疾患が想定しにくいところでは心配なさそうだけど、診療科によっては気をつけなきゃいけないところだね」
──とはいえ、医療機関は仕事を通じて病気やその治療過程、お薬などについての理解を深められる職場でもあります。体調が悪い時にすぐに相談できたり、自分だけでなく家族や友人など、自分の身近な人が病気になったときの助けになるころも多い職場ともいえるでしょう。
まとめ
ハナコ 「こうして考えてみると、“大変”というよりは、“大変な気がする”っていう先入観によるところが大きいのかも」
カオルコ先輩 「わたしも、まだ新米だったころのことをおぼろげに思い出した・・・(遠い目)」
──結婚を機に退職した女性が、子育てがひと段落して再就職を考え、その職場に医療機関を選ぶ。このようなことは、医療事務を志す女性によくあるケースだと思います。このとき、仕事の現場に飛び込むことのプレッシャーを過剰に感じてしまうのはしかたないことですが、医療事務というお仕事が特別にハードなものだということはないはずです。当初が大変なのはどのお仕事でもだいたい同じ。気負いすぎずに一つ一つ、自分のできることをこなしながら成長していきましょう。
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