コラム 独学でめざす診療報酬請求事務能力認定試験 学科試験対策編
学科試験で得点するためのテクニックは?
医療事務最難関資格の診療報酬請求事務能力認定試験は学科と実技で構成されており、どちらもしっかりとした対策が必要です。このページでは、スクールに通わず独学で医科のこの資格を取得したい方のために、学科試験を効率よく得点するためのテクニックを紹介します。
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診療報酬請求事務能力認定試験 学科試験の学習法を確認しよう!

新米医療事務ハナコ 「この前、先輩にいろいろ教えてもらって、試験に必要な本はだいたいそろえました!」
ベテラン医療事務カオルコ先輩 「じゃあ、ひとまず下準備はバッチリだね!」
ハナコ 「それで、さっそく学科試験に挑戦してみたんですけど、『診療点数早見表』をどんなふうに使って解くのかわからなくて・・・」
カオルコ先輩 「確かにちょっとコツがあるかも。とりあえず、学科試験の大枠から見直してみよう」
診療報酬請求事務能力認定試験の学科試験 概要
──学科試験は全20問であり、1問は4つの文((1)~(4))で構成されています。この4つの文の正誤を判定し、その正誤の組合せを示した選択肢の中から正しいものを選び解答します。
カオルコ先輩 「実際の問題を見てもらったほうが早いかな。例えば、こんな問題が出るんだけど、形式はぜんぶいっしょだよ」
<例題>
問 次の文章のうち正しいものはどれですか。 (1) 手術前においてリンパ浮腫に関する指導を行った場合であって、結果的に手術が行われなかった場合にも、リンパ浮腫指導管理料を算定できる。 (2) 画像診断に当たって通常使用される患者の衣類の費用は、画像診断の所定点数に含まれる。 (3) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症患者に対して難病等特別入院診療加算を算定する場合は、菌の排出がなくなった後、3週間を限度として算定する。 (4) 小児特定疾患カウンセリング料は、電話によってカウンセリングを行った場合にも算定できる。 a (1)、(2) b (2)、(3) c (1)、(3)、(4) d (1)~(4)のすべて e (4)のみ |
カオルコ先輩 「こんな風に必ず(1)から(4)まで4つの文があって、正しいものの組合せを選んで解答するんだけど、aからeまでの選択肢も必ず同じなの」
ハナコ 「この形式がそのまま20問続いてるわけですね」
──概ね、問1~問4の4問は、医療関連法規や療養担当規則等、診療報酬算定以外の分野からの出題で、問5~問20の16問は、診療報酬算定に関する出題となっています。合格ラインは回によって異なりますが、概ね「60点」と公表されていますから、20問の6割、すなわち12問を正解すればよいものと考えられます。
カオルコ先輩 「ここはまさに、『診療点数早見表』を使い倒すところだよ!」
ハナコ 「分厚い本でいろんな情報がギッシリ詰まってるから、どこをどんな風に使いこなせばいいのかわからないんですよね・・・」
カオルコ先輩 「じゃあ、ちょっと例を挙げて見てみようか!」
診療報酬請求事務能力認定試験の学科試験 解答テクニック(1)
(1) 手術前においてリンパ浮腫に関する指導を行った場合であって、結果的に手術が行われなかった場合にも、リンパ浮腫指導管理料を算定できる。 |

カオルコ先輩 「さっき挙げた例題だけど、こういう問題が出題されたとします。はい、これマルかバツか、ハナちゃんわかるかな?」
ハナコ 「(即答)わからないです・・・」
カオルコ先輩 「わかんないよね。たぶん医療事務のお勉強しているほとんどの人はわかんないと思うから、これを『診療点数早見表』で調べるわけなんだけど、その方法はわかるかな?」
ハナコ 「それもわからないです・・・」
カオルコ先輩 「じゃあ次に、この文が何について書かれたものか考えてみると、『リンパ浮腫指導管理料』っていう用語が話題の中心になっているらしいことはわかるよね」
ハナコ 「リンパ浮腫指導管理料について勉強した覚えはないけど、それについて書かれていることは何となくわかりますね」
カオルコ先輩 「うん。そしたら、『診療点数早見表』の巻末の索引で、『リンパ浮腫指導管理料』について書かれたページを検索します。すると・・・」
ハナコ 「医学管理等の診療行為の中に、リンパ浮腫指導管理料の記事が見つかりました!」
カオルコ先輩 「そしたらもう少し。その記事の中で、問題文が正しいかどうかを判定できる情報をがんばって探す!」

ハナコ 「あ、ありました!」
手術前においてリンパ浮腫に関する指導を行った場合であって、結果的に手術が行われなかった場合にはリンパ浮腫指導管理料を算定できない。 |
ハナコ 「算定できないって書いてありますね。ということは・・・」
カオルコ先輩 「この文はバツ。間違ってるってことになる」
ハナコ 「なるほどー。こうやって使うんですねー」
カオルコ先輩 「これを、問題文を読むところから探し終わるまで、1分くらいでどんどんこなしてかなきゃいけない。だから、検索の精度や処理能力が試されている試験だね」
診療報酬請求事務能力認定試験の学科試験 解答テクニック(2)
(2) 画像診断に当たって通常使用される患者の衣類の費用は、画像診断の所定点数に含まれる。 |

カオルコ先輩 「じゃあ、次はこれ。これが正しいかどうか判断するには、どこを探せばいいでしょうか?」
ハナコ 「さっきと違って、話題の中心になっているような、具体的な診療行為の名前が見当たりません・・・」
カオルコ先輩 「そうだね。画像診断っていうのは診療行為のカテゴリーのようなもので、エックス線撮影とかCT撮影とかたくさんの診療行為を束ねる名称だよね。つまり、この文は、画像診断全体に適用するルールについて語っていることがわかる。ということは・・・」
ハナコ 「そうか、通則のところを調べればいいんだ!」
カオルコ先輩 「そういうこと。『診療点数早見表』で、画像診断の最初にある通則あたりのページを探すと、この文章そのままの表現が見つかるはずだよ」
ハナコ 「あった! この文は正しい。マルです」
──文の中に具体的な診療行為が見当たらない場合、「通則」部分を検索することで該当の記述を見つけられることが多いです。たくさんの問題に当たることで、検索箇所を特定するまでの時間も短くすることができるでしょう。

カオルコ先輩 「ちなみに、こういったところにも、この試験の対策をする前に基礎的な学習を済ませておかなきゃいけない理由があるの」
ハナコ 「ん? どういうことですか?」
カオルコ先輩 「ハナちゃんは基礎学習を済ませているから、“画像診断”というのが具体的な診療行為の名前じゃなくて診療カテゴリーの名前だってことを知ってるし、この文を見て“通則”に関連しそうな記述だなっていう予想も立てやすいでしょ」
ハナコ 「なるほどー。何も知らない状態で検索しようとしても、診療報酬全体の大まかな知識が頭に入っていないと、そういうふうに判断できなかったかもしれません・・・」
──学科試験の対象になるのは、医療事務の基礎的な学習では登場しないような診療行為だったり、重箱の隅をつつくような運用ルールだったりします。このため、検索せずに正誤判定できる場合はほとんどなく、効率的に正確に、必要な資料を探し当てられるかどうか、という「検索能力」が試されていると言えます。
診療報酬請求事務能力認定試験の学科試験 解答テクニック(3)

カオルコ先輩 「さて、最初に挙げた例題の4つの文のうち、1つ目と2つ目のマルバツ判定が終わったわけだけど、ラッキーなことに、この問題はもうこれで終わりにして、次の問題にいける。なぜだかわかるかな?」
ハナコ 「あと2つ文が残ってるのに、もうこの問題の正解がわかったってことですか? どうして?」
カオルコ先輩 「じゃあ、もう一度問題全体を見てみよう」
<例題>
問 次の文章のうち正しいものはどれですか。 (1) 手術前においてリンパ浮腫に関する指導を行った場合であって、結果的に手術が行われなかった場合にも、リンパ浮腫指導管理料を算定できる。 (2) 画像診断に当たって通常使用される患者の衣類の費用は、画像診断の所定点数に含まれる。 (3) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症患者に対して難病等特別入院診療加算を算定する場合は、菌の排出がなくなった後、3週間を限度として算定する。 (4) 小児特定疾患カウンセリング料は、電話によってカウンセリングを行った場合にも算定できる。 a (1)、(2) b (2)、(3) c (1)、(3)、(4) d (1)~(4)のすべて e (4)のみ |
カオルコ先輩 「ここまでで、(1)はバツ、(2)はマルってことが確認できた。ここで、下の選択肢を確認すると・・・」
ハナコ 「あ、そうか! (1)を含まなくて、(2)を含んでいる選択肢はbしかないですね!」
カオルコ先輩 「そうなの。自信を持って最初の2つの文の正誤がバツ、マルって判定できていれば、残りの2つの文は放っておいたまま、どんどん次の問題に進んだほうがいい」
ハナコ 「時間との戦いですからね・・・!」
──同様に、(1)がマル、(2)がバツだった場合は正解がcに、(1)と(2)が両方ともバツだった場合は正解がeに確定します。このように学科試験では、すべての文の正誤を検証しなくても、問題全体の答えに至ることができます。これをうまく使って解答時間を少しでも短縮するのが、試験全体のポイントです。残りの文は、ひと通りの試験が終わって見直しの時間ができたときに、余裕があれば検証する程度でじゅうぶんです。
カオルコ先輩 「学科試験は60分くらいで解答を終えるのが目標だね。とにかくたくさんの問題にあたって訓練すること!」
ハナコ 「はい、やり方はわかったのでがんばってみます!」