コラム 医療事務スタッフの仕事内容 1日の流れで解説!
医療事務スタッフの1日のお仕事
いまや女性に人気のお仕事として広く知られる医療事務。いざ自分が働くことを考えると、毎日どんな仕事をしているのかわからない方も多いはず。ここでは、医療事務の代表的なお仕事と、1日のお仕事がどのように始まってどのように終わるのか、お仕事内容を1日の流れで解説します。

新米医療事務ハナコ&ベテラン医療事務カオルコ先輩
新米医療事務ハナコ 「今日からこちらのクリニックで働くことになりました、ハナコといいます! 先輩、まだまだわからないことだらけなんですが、いろいろ教えてください!」
ベテラン医療事務カオルコ先輩 「ハナちゃんだね、よろしくね。仕事はたくさんあるけど、ちょっとずつ覚えていけばいいよ! ところで、ハナちゃんは医療事務の学校には通ってきたと思うけど、お仕事の基本的な内容はわかってる?」
ハナコ 「な、なんとなく・・・」
カオルコ先輩 「じゃあ、まず代表的なお仕事から復習してみよっか!」
まずは基本! 医療事務の代表的なお仕事
──医療事務の代表的なお仕事には、(1)診察の受付、(2)会計、(3)診療報酬請求、の3つがあります。 (1)と(2)は毎日の日常的なお仕事、(3)はある時期だけ集中して行うお仕事という違いがあります。
(1)診察の受付
──来院した患者の診察を受け付けます。初めての患者であれば必ず、再来の患者であっても定期的に「保険証」を提示してもらい、医療保険の資格を確認します。初めての患者には「問診票」といった書類を渡し、病気の症状、これまでの主な病歴やお薬の服用歴などを記入してもらうことも。
保険証や問診票に記された情報を医事コンピュータに入力し、患者のカルテを作成します。受付が済んだら順番まで待つように案内し、順番がきたら診察室に案内します。
ハナコ 「保険証の形式が何パターンもあって混乱してしまいます・・・」
カオルコ先輩 「医療保険の種類も多いから、最初のうちは戸惑うポイントだね。見た目が違っても、必要な情報を落ち着いて探して確認すれば大丈夫!」
(2)会計
──診察の終わった患者の会計も医療事務スタッフの仕事です。その日の診療内容を医事コンピュータに入力することで、必要な費用が自動的に計算されます。もたついてしまうと患者を長く待たせてしまいますが、正確な処理も同時に重要です。
カオルコ先輩 「お会計のときに、領収書と費用の明細書、それからお薬が出ている場合は処方せんもいっしょに渡すことがあるよ」
ハナコ 「お預かりした保険証をお返しするのも忘れてしまいそう・・・」
カオルコ先輩 「ミスのないよう気を配るのと同時に、『お大事に』の一言も忘れずにね!」
(3)診療報酬請求
──診療の費用のうち、「(2)会計」で患者が支払った費用以外の部分は、患者が利用している医療保険の保険者が負担することになっています。この残りの費用を月に1回、まとめて請求するのが「診療報酬請求」のお仕事です。「レセプト」と呼ばれる形式で明細を作成して、1か月分の費用を翌月の10日までにまとめて請求する決まりがあります。
カオルコ先輩 「ハナちゃんは学校で勉強してきたから「レセプト」のことはよくわかってると思うけど、一般の患者さんには見えないお仕事だね」
ハナコ 「月のはじめの10日間は診療の終わった後、レセプトを提出するためのチェックをみんなでするって聞きました」
カオルコ先輩 「レセプトはコンピュータが作ってくれるけど、完全にまかせっきりにしないで、人の目でチェックすることが重要。医療機関の収入の7割にあたる部分だから、ミスも許されないしね」
ハナコ 「先輩! プレッシャーかけないでください・・・」
──続いては、1日のお仕事を順番に見ていきます。
1日の仕事内容(1) 開院前の準備
──医療事務の代表的な仕事をわかってもらえたところで、クリニックの1日のお仕事を順番に見てみましょう。医療機関には必ず「診療時間」というのが定められていますが、医師も医療事務スタッフも、開院より早く出勤して、業務に入る準備を済ませます。
<開院前のお仕事>
・院内(待合スペースやお手洗い等)の清掃
・掲示物のチェック(破れや汚れがないか)
・午前中の診療予約状況の確認
・開院(玄関をオープンし、患者を迎え入れる)
ハナコ 「患者さんが来院する前にも、けっこうやることがあるんですねー。先輩はいつもどのくらい前に出勤してるんですか?」
カオルコ先輩 「だいたい30分前くらいかな。患者さんは目の前にいない時間帯だけど、こういう時間に院内をきれいにしておくことも、おもてなしの一部だね」
ハナコ 「お掃除とか掲示物の美化もわたしたちの受け持ちなんですねー」
カオルコ先輩 「専門の清掃業者が入るところもあるだろうから、このあたりは医療機関によってまちまちだろうね。ちなみにわたしは昔、雪が降った日に病院の駐車場の雪かきをしたこともありますよ!」
1日の仕事内容(2) 午前診療
──診療時間になったら、外来診療の日常的な流れを繰り返していきます。
<初診の患者に対する対応>
・保険証の確認、診察の受付
・問診票を渡し、記入してもらう
・患者のカルテ作成
・診察室への案内
・(診察後)会計
<再来の患者に対する対応>
・診察の受付
・診察室への案内
・(診察後)会計
──医療機関によっては、会計のときに次回の診療の予約を受け付けることもあります。
午前中の診療が終わったら、そこまでの会計をいったん確認して、昼休みに入ります。
ハナコ 「初めての患者さんはカルテがないから、それを作成する手順が加わるんですね」
カオルコ先輩 「このときに、例えば患者さんのお名前の漢字を間違ってコンピュータに入力してしまったりすると、領収証への印字も診療報酬請求も間違って登録されてしまうから、保険証をよく見て確実に入力してね」
ハナコ 「患者さんに対応している間にも、電話が鳴ったり業者さんが来たりすると、混乱してしまいそう・・・」
カオルコ先輩 「慣れないうちは、ひとまず目の前にいる患者さんを最優先に考えるようにするといいよ。慣れてしまうと、結局はルーティンワークではあるから、少しずつ余裕をもってこなせるようになるからね」
1日の仕事内容(3) 午前診・午後診の間
──医療機関の診療時間は午前診療と午後診療に分かれていることが多く、この場合、間に休み時間が入ることになります。この時間は職員の休憩時間ということになりますが、午後診療の準備や、患者対応のない時間にしかできない仕事を済ませたりもします。
<診療の合間のお仕事>
・つり銭の確保、精算機への現金の補充
・患者の落とし物・忘れ物の管理など
1日の仕事内容(4) 午後診療~診療終了後
カオルコ先輩 午後もやることは午前中と同じだよ。うちのクリニックは19:00まで診療を受け付けているから、会社帰りに受診する人が多くて、受付終了間際が混みあうことが多いかな」
ハナコ 「最後のお会計が終わるのは20:00を過ぎそうですね、遅くまでたいへんだーー」
──最後の診療と会計が終了したら、午後の会計の確認、清掃を行って業務終了となります。診療報酬請求業務を行う期間(月初の10日間)は、関係するスタッフとドクターが残業して仕上げることも・・・。
まとめ
ハナコ 「何だかわたし、早くも自信がなくなってきました・・・。ちゃんとこなしていけるのか不安です」
カオルコ先輩 「あれれ・・・まだ何もやってないのに落ち込むの早すぎる! どんな仕事も簡単なことばかりってことはないし、同時にどんな仕事も最初から全部完璧にできなきゃいけないってこともないはずだよ!」
ハナコ 「うう~~、なるほど、少しずつできることを増やしていけるようにがんばります!」
──受付・会計の日常業務は、慣れてくると先を読んだり周りに広く目を配ったりすることができるようになります。これに加え、会計の際に患者のちょっとした質問に的確に答えられるようになれば初心者卒業といってよいでしょう。
<日常業務(受付・会計)のステップアップポイント>
・診察の進行具合を把握しながら患者に案内ができるようになる
・「今日のお会計、いつもと違うんだけど・・・」といった会計時の質問への対応ができる
・(病院であれば)院内の売店、検査室など、自分の持ち場以外の設備をご案内できる
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