コラム 医療事務の求人 探し方と就職活動のコツ [準備編 (1)規模と診療科の違い]

医療事務になるには何から始めればいいの?

当たり前の話ですが、医療事務スタッフとして仕事をするには、医療機関や派遣会社等に採用されなければなりません。医療事務の求人はたくさんありますが、頭の中に“こんな感じで仕事したい”というぼんやりしたイメージはあっても、行動に移れない方も多いはず。そんな方はまず、どんな医療機関でどのように働きたいか、というところから考えてみましょう。

未経験からの医療事務 求人の探し方と就職活動のコツ

医療事務の求人の探し方と就職・就活のコツ 具体的な行動の前に

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新米医療事務ハナコ 「突然ですがカオルコ先輩、先輩は最初医療事務の仕事を始めるとき、どんな風に就職先を決めました?」

ベテラン医療事務カオルコ先輩 「ず、ずいぶん唐突な話だね・・・もうすっかり昔のことであんまり覚えてないや・・・(苦笑)」

ハナコ 「実は私の友だちが医療事務の仕事に興味あるみたいなんですけど、就職活動をどんなふうに進めたらいいか悩んでるみたいで・・・」

カオルコ先輩 「へー、そうなの。でもハナちゃんも就職してるんだから、自分の経験でアドバイスすればいいじゃないの」

ハナコ 「いやー・・・私はまぐれで就職できたようなものだから!」

カオルコ先輩 「私も最初の就職のときは右も左もわからない状態だったから、いろいろ反省するところは多いなあ」

ハナコ 「でも先輩は何度か転職もしてるから、それなりに就職活動に関してもベテランなのではないかと・・・」

カオルコ先輩 「・・・まあ、転職のベテランてのも複雑な気分だけど、具体的な活動のノウハウの前に、仕事のイメージをくっきり持つことが大事だとは思うようになったかな」

ハナコ 「ふむふむ、“医療事務”の仕事をよく知っておくってことですね!」

カオルコ先輩 「それもそうなんだけど、もうちょっと細かく考えておいたほうがいいかも。というのは・・・」

医療事務の求人の探し方と就職・就活のコツ まずは医療機関の種類をイメージしよう!

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カオルコ先輩 「これは医療事務に関連する基本的な知識のひとつでもあるけど、医療機関と一口に言っても、大きく分けると『病院』と『診療所』の2種類があるよね」

ハナコ 「はい。病院っていうのは、入院設備としての病床(ベッド)が20以上あるところ!」

カオルコ先輩 「そうそう。逆にベッドが19以下だったり全くない医療機関のことを診療所っていうよね」

ハナコ 「私たちはよく“クリニック”とか“医院”って言い方をしちゃいますが、正式には診療所のことですね」


 <病院と診療所>
 ●病院・・・患者を入院させるための病床(ベッド)が20床以上ある医療機関
 ●診療所・・・患者を入院させるための病床(ベッド)が19床以下の医療機関

カオルコ先輩 「どうしてこの話から始めたかというと、実は、同じ医療事務として働くにしても、実は病院で働くのと診療所で働くのとではずいぶん違ってくるの」

ハナコ 「なるほどー、私はあまり考えずにこのクリニックに来ちゃいましたが、確かに仕事はだいぶ違ってそう・・・」

カオルコ先輩 「さらに病院には、大学病院みたいに大きなところもあれば、それほど大きくないところもある。この規模によっても手に取る仕事の質は変わってくるの。だから、診療所(クリニック)、中規模病院、大病院、の3つに分けて考えてみよう」

医療事務の求人の探し方と就職・就活のコツ (1)診療所(クリニック)での医療事務

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カオルコ先輩 「私たちが働いているのがまさに診療所なんだけど、どうだろうハナちゃん、診療所で働く医療事務ってのは?」

ハナコ 「うーん、そうですねー、やっぱり病院に比べると小さな職場だから、少ない人数でシフトを回しますよね」

カオルコ先輩 「そうだね、大きな病院だと100名規模の事務スタッフがいることも珍しくないけど、診療所の場合は10名足らずのメンバーが交替で勤務していることが多い」

ハナコ 「あと、患者さんや電話の対応、受付・会計、レセプトから院内の清掃まで、医療行為に関わらないことを幅広くやってますね」

カオルコ先輩 「うん。診療所は狭いフィールドだからこそ、1人ひとりの受け持つ範囲が広くなる。レセプトに関しては限られたメンバーが受け持つことも多いけど、それ以外は誰もが、ひと通りの対応を求められるよね」

ハナコ 「私も最初はいろいろ大変でした・・・」

カオルコ先輩 「最初は覚えることがたくさんあってそう感じるかもしれないけど、医療事務の基本を学ぶ現場としては診療所がいちばんだと私は思うよ」

ハナコ 「医療事務としてのひと通りの経験は診療所でできますしね」

カオルコ先輩 「そう。特にレセプトに関する業務は経験しておいたほうがいい。もし、何かの事情で転職することになっても、レセプトのスキルを備えておくと転職先を探しやすくなるし」

ハナコ 「日本の医療機関の大半は診療所だから、条件に合う職場も見つけやすいかもしれないですね!」

<診療所(クリニック)での医療事務>
 ・比較的少人数での勤務(10名未満が多い)
 ・開設数が圧倒的に多い
 ・患者接遇、受付・会計、レセプト、その他各人がまんべんなくこなすことが求められる
 ・医療事務の入口として経験を積むのによい職場
 ・直接雇用、人材会社からの派遣など、さまざまな入職パターンあり

医療事務の求人の探し方と就職・就活のコツ (2)中規模病院での医療事務

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カオルコ先輩 「次に、病院でもそれほど規模が大きくないところ。ここでも診療所と同じで比較的幅広くいろんな仕事を経験することができる。特に、入院患者がいるから入院のレセプト業務があるわけで、これに関われるのは病院ならではだね」

ハナコ 「入院は点数も高くて複雑で難しいイメージがあります・・・。入院のレセプト経験があったら重宝されそうですね!」

カオルコ先輩 「このあと説明する大病院だと、外来診療の割合がかなり少なくなって入院診療に偏るけど、中規模病院だと外来も入院もそれなりにあって、両方の患者さん対応とレセプト業務があるね」

ハナコ 「複数の診療科を掲げている病院が多いから、患者さんの抱える病気の幅も広くなりそうですね!」

カオルコ先輩 「あと、診療所と違うのは部署異動の可能性があるってこと」

ハナコ 「診療所だと“部署”っていう概念じたいがないですもんね」

カオルコ先輩 「例えば外来の部署、入院の部署、在宅医療の部署っていう具合に専門的に扱う部署があって、それぞれずいぶん違った、偏った仕事をしているわけ」

ハナコ 「なるほどー。ちなみに、入院患者さんに関わるお仕事っていうのは、入院レセプトの点検以外にどういったものがあるんですか?」

カオルコ先輩 「診療所で働いていると入院の仕事はわからないよね。一般的にも、“医療事務”っていうと外来診療の受付の女性っていう印象が強いだろうから知られていないかも。例えば・・・」

<入院に関わる業務の例>
 ・患者への入院前の説明業務(必要書類、概算費用、院内設備など)
 ・入院当日の手続業務(入院に必要な書類・保険証などの確認、病棟への連絡など)
 ・入院会計業務(退院時の一部負担金の計算、定期的な一部負担金の計算など)
 ・病室の管理(新規入院患者の病室の確保、入退院による病室利用状況の管理など)

カオルコ先輩 「診療所では1人のスタッフが1日の勤務の間にいろんな仕事をするわけだけど、中規模病院ではポジションが変わっていくことによって、さらにいろんな仕事を経験することになるって感じかな。とても勉強になる現場だと思うけど、せわしなく感じることもあるだろうね」

<中規模病院での医療事務>
 ・部署異動により従事する業務やルーティンが変わることも
 ・病院全体を見ると業務の幅が広い
 ・入院に関わる業務や入院レセプトに携われるチャンスあり
 ・直接雇用、人材会社からの派遣など、さまざまな入職パターンあり

医療事務の求人の探し方と就職・就活のコツ (3)大病院での医療事務

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カオルコ先輩 「大学病院みたいな大きなところは、“医事課”っていう組織があったりして、多ければ100名を超えるような事務スタッフが勤務してるの」

ハナコ 「うちとは全然違う世界です・・・」

カオルコ先輩 「そうするとどんなことが起きるかっていうと、分業が進んでるんだよね」

ハナコ 「1人ひとりの役割が細かく区切られて、それに専念するってことですね」

カオルコ先輩 「そう。例えば、外来の受付だけとか、患者さんには接しないでコンピュータ入力だけとか、ほかからまわってきた検査票を処理して次の部署にまわすだけとか、入院料金の計算だけとか、そういった具合に細分化されてるわけ」

ハナコ 「ミスが起こりにくそうだけど、ポジションによっては医療事務っぽくない仕事もありそう・・・」

カオルコ先輩 「まあ、そういうこともあるかも。あと、大病院はほぼ直接雇用の機会がないから、医療事務を専門的に扱っている人材会社を見つける必要があるね」

ハナコ 「どういうことですか?」

カオルコ先輩 「さっき話したとおり、大病院は常に100人規模の医療事務スタッフからなる組織運営を必要としてる。でも、医療事務の主な担い手である女性は、働き方についていろんな要望をもってるよね」

ハナコ 「週何日くらいとか、何時までしか働けないとか、急に休職しなきゃならなくなったりとか・・・」

カオルコ先輩 「そうそう。診療所の規模だったらまだしも、100人規模でスタッフを抱えてたらそうした要望を汲み取りながら現場を回していくための調整がすさまじいことになるでしょ? それを病院側がやりくりしていくのは現実的じゃない。だから、編成や人員手配に関することも含めて、医事課の組織運営そのものを外部に丸投げしていることが多いの」

ハナコ 「そっか、それを外部で受け止めて人のやりくりをしているのが、医療事務を専門的に扱っている人材会社ってこと!」

カオルコ先輩 「そう。医療事務の講座を運営している大手のスクールの人材部門がその担い手になっていることが多いから、そういうところにお世話になるのが近道かな」

ハナコ 「自分で直接履歴書持って行って・・・っていう感じじゃないってことですね」

カオルコ先輩 「あとは、これはおまけの話だけど、大病院っていうのはいわゆる大学病院であることが多いわけで、大学病院の医療事務ってのは大学の職員なんだよね。だから、例えば新卒で大学職員の採用に臨んで,大学附属病院の事務課に配属されるっていう入職の仕方もあるよ」

ハナコ 「それは医療事務よりずっとハードルが高い気がします・・・」

カオルコ先輩 「それから、診療報酬に関することでいうと、大病院はそもそも診療報酬の算定方法じたいに一部特殊な方法が採られていることがあるの」

ハナコ 「特殊な方法?」

カオルコ先輩 「難しいから詳しくは説明しないけど、DPC/PDPSっていう考え方で一部の費用を算定する病院が多いから、もしレセプトの業務に携わることがあっても、私たちが普段やってる個別出来高払いのレセプトとは全く違った知識が必要になるの」

ハナコ 「それは全く知りませんでした!」

<大病院での医療事務>
 ・100名超の医事課職員を抱えていることも多く、事務スタッフ数の多い職場
 ・開設数は少ない
 ・業務は細分化されている(中には医療事務の知識を必要としないものも)
 ・直接雇用はほとんどなく、医療事務を専門に扱う人材会社による業務請負がほとんど
 ・DPC/PDPS(包括払い方式)が一部導入されており、診療報酬算定の方式が異なる

医療事務の求人の探し方と就職・就活のコツ 診療科による違い

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カオルコ先輩 「ここまでの説明で、医療機関の性質によって医療事務スタッフの仕事がかなり違ったものになることがわかったかな?」

ハナコ 「うーん、ずいぶん違った環境なんですねー」

カオルコ先輩 「もう一度改めて言うけど、未経験者がまず就職を考えるなら、診療所がいいと思う。医療事務としてのキャリアの始めに位置づけるのにちょうどいい環境だからね」

ハナコ 「私は何にも考えずに診療所に就職しましたが、結果的によかったです・・・」

カオルコ先輩 「それと、診療所だったら診療科も重要なポイントになるね」

ハナコ 「診療科っていうと、内科とか小児科とか・・・」

カオルコ先輩 「うん。あくまで傾向だけど・・・」

<診療科ごとのポイント>
 ●内科・・・圧倒的に開設数が多く、レセプトも幅広い症例を扱っている
 ●整形外科・・・高齢の患者を多く抱えており、こちらも開設数が多い
 ●小児科・産科・産婦人科・・・比較的年配のスタッフを求める傾向あり

カオルコ先輩 「私たちが勤務しているのは内科クリニックだけど、いわゆる“つぶしがきく”って考え方に照らすと、内科とか整形外科の経験は、もし次に行く場合があっても活かしやすいと思うよ」

ハナコ 「いろんな病気の患者さんに対応するから、それが経験になるってことですね」

医療事務の求人の探し方と就職・就活のコツ 規模と診療科の違いまとめ

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ハナコ 「未経験者が就職を考えるとき、ただぼんやりと求人を眺めていたら、いまの話にあったような違いはわからなかったと思います・・・」

カオルコ先輩 「そうだね、まず第1段階としては、医療事務といっても細かく見ると違いがあることを知ること。そして自分がどういう職場で働きたいかをイメージしておくこと!」

ハナコ 「入ってみてから、思ったのと全然違った・・・ってことになったら不幸ですしね・・・」

カオルコ先輩 「うん。それから、これは特に医療事務の業界で長く仕事をしていきたいって人に意識してほしいこと。ライフステージの変化に伴って転職を織り込むなら、そのときには経験者としての強みが必要になる。だから、最初の職場は多少大変に感じても、医療事務の職場で役立つ経験を幅広く身につけられそうなところにチャレンジしたほうがいいと思うよ」


──業界未経験者にとって、医療機関ごとの仕事の細かい違いはなかなか見えづらいはず。でも、環境や労働条件だけでなく、仕事内容を把握しておくことが、就職活動を効率よく進めるための足腰になります。また、最初の就職を“医療事務としてのキャリアの1つ目”という視点で捉えるなら、業界で幅広く役立てられるスキル・経験を培う職場を選ぶという視点も大切です。
まずは、どこでどんな風に仕事をする自分になりたいか、確かなイメージを持っておきましょう。

※ 本シリーズでは2018年4月現在における社会状況に合わせた一般的な内容を主に話題にしています。現実には、ここに記されている内容と異なる例外的なケースも存在しますので、予めご了承ください。

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