コラム 物理学・化学は難しい?|危険物取扱者
危険物の試験に「基礎的な物理学及び化学」の科目があります。出題数は10問、6問以上正解で合格です。
さて、危険物取扱者における物理学・化学とは何でしょうか?
こちらの科目はタイトルにあるように難しいのでしょうか?
物理学も化学も、実はみなさんの生活に関係したことが中心となっています。これに危険物を絡めている科目です。
今回は一部ではありますが、物理学と化学に慣れるために、その入口としてできるだけ普段の生活にたとえてみました。
基礎的な物理学|危険物取扱者
それでは早速「基礎的な物理学」から見ていきましょう。
物質の三態|危険物取扱者
物質には固体・液体・気体の3つの状態があります。これを物質の三態といいます。
例)身近な水で例えると、氷(固体)・水(液体)・水蒸気(気体)のことです。
身近にあるもので考えると「そういうことか」と思いませんでしょうか。
比重|危険物取扱者
比重とは、固体または液体の密度とそれと同じ体積の1気圧・4℃の水を基準としています。この時の水の密度との比を比重といいます。
比重が1よりも大きい物質は水に入れると沈みます。逆に1よりも小さい物質は浮きます。
例)天ぷらを作る場合、水で溶いた衣をつけるために最初は天ぷら油(鍋の底)に沈みます。
しかし、時間が経つにつれ、衣から水が蒸発して比重が1よりも小さくなり浮いてきます。これが「具材が浮いたら十分揚がった」と言われている理由です。物理学以前に昔から生活の知恵として伝わっています。
温度|危険物取扱者
これは物質の温冷を表すものです。セルシウス温度(単位:℃)、絶対温度(セルシウス温度に237を足したもの。単位 K ケルビン)等があります。
例)シャワーの温度を40℃に設定する。普段からメジャーな単位です。
熱量|危険物取扱者
温度の異なる物体同士が接触すると、高温の物体から低温の物体へと熱が伝わります。この伝わる熱エネルギーを熱量といいます。単位はJ(ジュール)を使います。
例)ゆでたてのうどんは熱いですよね。食べ方のひとつ「ざるうどん」は、ゆでたてのうどんを水で冷やします。この時、うどんは熱が水に伝わり冷えます。同時に水は温度が上がります。
比熱|危険物取扱者
ある物質1g の温度を1℃ または1K 高めるのに必要な熱量のことです。単位は J/g・K または J/g・℃ を使用します。
同じ質量の物体であっても温まりやすさは異なります。比熱の大きい物体ほど温まりにくく冷めにくい。
例)ガスコンロを使って鍋でお湯を沸かします。
その際、鍋を置いている鉄の部分はすぐに熱くなります。でもガスを消すと早いうちに冷めます。鍋の中の水は沸くまで(温まるまで)多少時間がかかります。でもガスを消してもしばらくはお湯の状態を維持しています。これは水の比熱が大きいからなのです。
※水は気体(常温状態)を除けばもっとも比熱の大きい物質です。
熱の移動|危険物取扱者
伝導、対流、放射(ふく射)の3つがあります。
【1】伝導
熱が物体の高温部から低温部へ物体中を伝わって移動する現象です。ただし、熱が伝わりやすいかどうかは物質によって異なり、この度合いを熱伝導率という数値で表します。この熱伝導率は、個体が最も大きく気体が最も小さくなります。
気体 < 液体 < 個体
【2】対流
熱が液体や気体を介して移動する現象のことです。
【3】放射(ふくしゃ)
熱せられた物体が熱(放射熱)を放射する現象です。
例)寒い冬の日、ホット缶コーヒーを手で包みます。手が温かくなりますよね。
高温から低温へ、缶コーヒーから冷たい手へと熱の伝導が起きたためです。
次に缶コーヒーを振ってみましょう。もっと温かくなるはずです。缶の中でコーヒーが対流し、缶へとさらに熱が伝導するからです。
次に缶を置いて、触らずに手をかざしてみて下さい。温かさを感じますね。これが熱の放射です。
ここまで「基礎的な物理学」についてのポイントを見てきました。聞きなれない用語に戸惑う人もいるでしょう。
でも、実は身近な現象であることがわかったでしょうか。
静電気|危険物取扱者
物体にたまった電気のことです。
例)特に冬の乾燥した状況で、車のドアを開けようと手を触れるとパチッと音がすることがあります。
基礎的な物理学|危険物取扱者
それでは続いて「基礎的な化学」を見ていきましょう。
物理変化|危険物取扱者
化学組成の変化なしに起こる変化のこといいます。物質の状態や形が変わるだけの変化です。
例)氷は溶けて水になります。形(見た目)は違いますが、物質自体の組成(構造)は変化しません。
化学変化|危険物取扱者
ある物質から性質の異なる別の物質へと変化することをいいます。
例)バーベキューで木炭を使い料理します。木炭はどうなるでしょう。
最後は灰になってしまいます。木炭は燃えることで二酸化炭素に変化します。
化合|危険物取扱者
2種以上の物質が化学的に結合して別の物質ができることです。そしてこれによってできたものを化合物といいます。
例)みなさんが飲む水(2H2O)。これは2H2O(水素)と O2 (酸素)の化学的に結合してできた化合物です。
A + B = AB
分解|危険物取扱者
化合物が2種以上の物質に分かれる変化のことです。水を例にすると、先ほどの化合とは逆になります。
AB = A + B
水素イオン指数(pH)|危険物取扱者
pH(ペーハー)は、水素イオン濃度を表す数値です。
pHは0から14に分けられ、pH 7を中性として、0に近づくほど酸性が強くなり、14に近づくほどアルカリ性が強くなる。
例)酸性の食べ物はすっぱい物のイメージがありますが、意外にも白米や小麦粉などがあります。塩基性(アルカリ性)の食べ物はなんでしょうか。やはり意外にも梅干しやトマトなどがあります。ちなみに人の体はpHが約7.4弱アルカリ性です。
燃焼及び消火|危険物取扱者
続いて「燃焼及び消火」を見ていきましょう。
燃焼の3要素(4要素)|危険物取扱者
燃焼が起こるための要素であって1つでも欠けると燃焼は起こりません。
1)可燃性物質(ガソリン、石炭など)
2)酸素供給減(空気、酸素が含まれた物質など)
3)点火源または熱源(火気、静電気の放電による火花など)
これらに「燃焼の継続」を加えて、燃焼の4要素といいます。
例)フライパンで餃子を作ります。しかしサラダ油がはね火が上がり焦がしてしまいました。この時の可燃性物質はサラダ油です。そして酸素供給源は空気です。点火源(熱源)はガスによる火です。4要素の場合には、サラダ油と空気が常に供給される必要があります。
消火の3要素(4要素)|危険物取扱者
燃焼の3要素(4要素)のどれか1要素を除去すると消火できます。
次の方法があります。
1)除去消火法
可燃性物質を取り除く消火法です。
例)ロウソクに息を吹きかけ、火を消す。
火がついているガスコンロの栓を閉め、ガスの供給を断ち、火を消す。
2)窒息消火法
酸素の供給を遮断する消火法です。
例)アルコールランプにフタをして火を消す。
3)冷却消火法
燃焼物の熱を奪い、燃焼の継続を止める消火法です。
例)水をかけ、火をけす。
4)燃焼の抑制消火法
燃焼の継続を断つ消火法です。
例)ハロゲン化物を使用。燃焼の抑制作用のほか窒息作用もあります。
基礎的な物理学・化学 まとめ|危険物取扱者
まとめ
さて今回は、物理学・化学に慣れるために生活に即した具体例をあげました。
このように見方を変えると難しさを感じないのではないでしょうか。
ここで得た知識は、「危険物の性質並びにその火災予防・消火方法」の科目にも関係してきますので、しっかり抑えておきましょう。
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