No.6

ノースウェスタン大学ケロッグMBA留学レポート No.6
 14週間にわたる長い夏休みを経て、ビジネススクール生としての2年目を迎えました。今学期はケロッグの交換留学制度を利用して、ヨーロッパが誇る最高峰のビジネススクールであるINSEADで学んでいます。

 INSEADは1年制かつMBAプログラム専門の大学院で、フランスのフォンテーヌブローとシンガポールにキャンパスを持ち、インターナショナル比率が80%超、80ヶ国以上から学生が集う国際色豊かな学校です。私が通うフォンテーヌブローキャンパスは、かつてナポレオンが暮らしたフォンテーヌブロー城のすぐ近くにあり、森の中の大自然に満ち溢れています。INSEADでは、入学から卒業までの1年が5つのタームに分けられており、ターム毎にキャンパスを選ぶことができるのが大きな特徴で、ヨーロッパの田舎とアジアの大都市という2つの全く異なる環境の元で学生生活を送ることができます。
 私が交換留学に来ようと決めた理由はアメリカの学校にはない多様性にありますが、クラスメイトがお互いの出身国の文化を尊重し、異質なものを自然に受け入れる姿勢は本当に素晴らしいと感じます。言葉に関しては、英語を母国語とする学生は20%に満たず、卒業の条件に第3外国語をある一定レベルまで習得することが定められています。ここでは「Where are you from?」という質問が意味をなさないくらい、多重国籍を持つ人や、海外での生活・職務経験が豊富な人が多いです。国際経験豊富なクラスメイトのボーダーレスな思考にはとても感銘を受けます。
 現在は6つの授業を履修し、1つを聴講しています。すべてのクラスにおいて、実務家の声を聞く機会に恵まれていること、実際に手や体を動かして学ぶ機会が多く、教授から個別に数多くのフィードバックを得られるところに特徴があると感じます。講義やケーススタディから学ぶ理論と体験をうまく組み合わせることで、高い学習効果と満足度に繋がっています。
 国際色豊かな校風は、学生主催の様々なイベントにも反映されています。例えばナショナル・ウィークといい、1週間を通じてある国や地域をテーマに、その国の食や文化に触れる企画が挙げられます。先日は来年度のイベント開催を掛けてプレゼンテーションが行われ、見事6つのチームが選ばれました。それぞれ民族衣装を身にまとい、各国の文化を紹介するビデオクリップが流れるなど、工夫を凝らした演出は圧巻でした。
 現在は9人のハウスメイトとともにハウスシェアをして暮らしています。上述のように校舎を移動する人も多いため、各自がアパートを借りる形態よりも、INSEAD生を対象とした家やお城(!)で共同生活をするケースが多いです。ハウスパーティーや夕食会も頻繁に開かれ、友人同士招き合って楽しみます。我が家でも先日大規模なパーティーを主催し、約100名ものクラスメイトが遊びに来てくれました。ビジネススクールでは、“Work hard, play hard.(よく学び、よく遊べ。)”という言葉を頻繁に耳にしますが、勉強だけでなくしっかりとパーティーも楽しむところは、アメリカの学校もフランスの学校も変わらないと感じます。最後のお客さんが帰ったのは朝4時。それでも次の日の授業やグループワークを難なくこなすバイタリティはすごいと感じます。
 フランス生活で一番満足している点は、本当にご飯がおいしいところです。INSEADのカフェテリアは街のレストランも顔負けのレベルで、魚コーナー、肉コーナー、グリルコーナー、ピザ・パスタコーナー、サラダバー、デザートバーが揃っています。しかもお腹いっぱい食べても5ユーロほどで食べることができ大変満足しています。また、朝は焼きたてのバゲットやクロワッサンが並び、コーヒーは無料で提供されます。食の充実に関しては、アメリカのビジネススクールに是非とも見習って欲しいところです。その他に、街のレストランやパン屋さん、カフェもとても洗練されています。さすが農業国とあって、野菜がとてもおいしくいただける点が個人的には非常に嬉しいです。
 INSEADはケロッグとウォートン(ともにアメリカ)という2つの学校としか交換留学の提携をしておらず、今学期INSEADに滞在する交換留学生はなんと私一人という環境です。ですが、その環境が自分にとって甘えが許されないという点でとても良かったと感じています。クラスメイトのほとんどが顔見知り同士の中、友達を作れるだろうかと多少不安に感じたりしましたが、クラスが一緒になった人に声を掛けてみたり、ちょっとした共通点からランチやディナーに誘ってみたりして、3週間経った今ではすっかり慣れ、「こういうイベントがあるから是非おいでよ」とか、「今度○○を教えて欲しいから時間作ってくれない?」と言われる関係を構築することができました。日本ではオープンな性格だと思われがちですが、異質なモノへの許容度がそれ程高くないと自覚している私にとっては、ケロッグの教えである“Get out of your comfort zone.(心地良いと感じる領域から一歩踏み出してみよう。)”を少しだけ実践できている気がします。
 自分自身へのチャレンジという点では、ケロッグに戻ってからが本当の勝負だと思います。INSEADに通ってみて初めて、自分自身がマイノリティ(少数派)だと感じることがないほどの多様性がある環境は、自分にとってとても楽だと知りました。ケロッグでは学生の6割超がアメリカ人で、アメリカの文化に触れるのが初めてであった私にとって、マイノリティでありながらもリーダーシップを発揮することはとても難しかったです。しかし今後、世界のリーダーと対等に渡り合っていくためには、そのような難しい環境においていかに自分が心地よく過ごせるかがとても重要であると感じます。その心の準備をしっかりとして、新たな気持ちで1月にケロッグに戻りたいと思います。
田畑信子