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宮本 勇人氏
弁護士法人リバーシティ法律事務所
弁護士
1959年生まれ、東京都出身。早稲田大学法学部卒業後、司法試験受験に専念し、1993年、司法試験合格。1996年、司法修習終了(48期)。同年、弁護士登録。千葉綜合法律事務所、共同事務所を経て、2002年、リバーシティ法律事務所にパートナーとして参画。
主な著書に「お役所とのトラブル解決法」(自由国民社)共著、「個人再生の実務Q&A100問」全国倒産処理弁護士ネットワーク(金融財政事情研究会)共著、「図解入門ビジネス 最新事業承継の対策と進め方がよーくわかる本」(秀和システム)共著、「慰謝料算定の実務」(千葉県弁護士会編)共著、その他執筆・論文多数。
| 事務所: |
千葉県市川市市川南1-9-23 京葉住設市川ビル5階
TEL.047-325-7378 |
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大型民事再生から個人の自己破産まで。
倒産法に強い弁護士としてあらゆる倒産処理に対応します。 |
2010年1月25日、ホテル事業などの第三セクターとして千葉県が推進してきた「かずさアカデミアパーク」が千葉地裁に民事再生法の適用を申請した。筆頭株主の千葉県が35.9%出資したこの第三セクターは、1997年2月の稼働以来、借入主体の経営体質から脱却できずに負債が膨らんでいた。担保権消滅請求を用いてこの民事再生法の適用を申請した代理人が今回ご登場いただく宮本勇人弁護士である。「倒産法に強い弁護士」として千葉県では筆頭に名前の挙がる宮本弁護士は、意外にも実務界に入るまで「倒産法」を学んだことはなかったと言う。宮本弁護士が、いかにして法曹の世界に入り、倒産事件の専門家となったのか。なぜ千葉県で活動を展開しているのか、そして今後の展望についてまでを伺った。
| 足かけ10年の受験生活 |
現在52歳の宮本勇人氏は東京都墨田区のサラリーマン家庭に生まれた。幼い頃から法律に馴染みがあったわけではない。そんな宮本氏が、なぜ法曹を目指そうと思うようになったのか。まずはその理由から伺ってみた。
「サラリーマンだった父の後ろ姿を見ていて自分はもっと自由な仕事をしてみたいと思っていました。そして幼いながらも司法試験は日本で一番難しい試験だとわかっていました。その難関試験にチャレンジして自由な仕事を手に入れたいと思うようになったのです。
具体的に法曹を目指そうと決めたのは高校時代です。進路を決める段階で既に心は決まっていたので、早稲田大学法学部に進学することにしました」
早稲田大学在学中から司法試験を目指し始めた宮本氏だが、当時蛍雪時代と謳われた司法試験は合格率2〜3%、簡単に受かる試験ではなかった。難関資格は宮本氏を幾度となく打ち砕こうとした。
「意欲を失いかけたこともありました。当時はバブル経済のまっただ中。1984年卒業の私は、アルバイトで家庭教師をしているだけで信じられない高給をもらえたんですね。するとどうしても軸足がアルバイトになってしまって、モチベーションが下がってしまう。
それでも弁護士になりたい気持ちが強かったので勉強は継続していました。ただ、合格までにはかなりの時間を要してしまったのです」
受験が長引くと周囲からは「もう辞めた方がいい」と言う声が聞こえてきた。それも、ある段階を過ぎると家族すら何も言わなくなる。その方が本人は気が楽になるようで、合格間近にはすべての学習を終え、十二分な知識の蓄えを持って万全の体制で試験に臨んだ。こうして宮本氏は、10年近くの受験期間を経て、合格を手にするのである。
宮本氏は「受験勉強を楽しませていただきました」と笑顔で話す。「長い受験期間があって良かった」とも語る。
「すぐに合格するのも、それはそれでいいかもしれない。けれど、ゆっくり合格することで、いろいろと考えることができたのです。その間、下町育ちの私はいろいろな人、様々な職業の方たちと接してきました。今でもお付き合いがある方ばかりです。これは得難い財産です。私が弁護士になって法律事務所で接する中小企業の経営者の方の気持ちがわかるのは、下町で学んだ『人とのつながり』があるからだと思います」
長い受験生活は、弁護士となってから人と接することの大切さを教えてくれたようだ。こうして1993年、宮本氏は受験時代に終止符を打ち、法曹という未来への扉を開けたのである。
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| 倒産法に強い弁護士誕生 |
司法試験に合格すると、翌年4月から司法修習生になる。新司法試験では修習期間が1年間に短縮されたが、宮本氏の時代は2年間の修習期間が設けられていた。その間、修習生は裁判官、検察官、弁護士のいずれを志望するとしても、同じカリキュラムを受ける事になる。まずは司法研修所で座学の集合研修を受け、その後の実務修習では民事裁判修習、刑事裁判修習、検察修習、弁護修習をそれぞれ一定期間受ける。この実務修習期間が終わると、晴れて裁判官は判事補として、検察官であれば検察2級として任官され、弁護士となる人は希望する弁護士会への登録を行う事になる。
宮本氏が実務修習を受けたのは千葉県だった。この地で実務修習を受けた24名のうち23名が東京都を志望し、千葉県で就職したのは宮本氏ただ1人だったという。「皆が東京に行くなら逆に僕は千葉にしよう」というのが宮本氏が千葉県に決めた理由だ。東京生まれの宮本氏が千葉に根付く第一歩は、この修習場所から始まったのである。
48期として司法修習を終えた宮本氏は、千葉県弁護士会に登録し、千葉市内にある法律事務所に就職を決めた。千葉県内でも大手のその事務所は刑事、民事、大規模な倒産と、あらゆる事件を扱っていた。駆け出しの弁護士だった宮本氏は、ここで4年間、先輩弁護士を手伝いながら様々な事件の解決に携わった。特に倒産事件を多く受任し、破産管財人まで務めるようになり、弁護士としてのベースが築かれていった。宮本氏は当時を次のように振り返っている。
「とにかく忙しい事務所で、来る事件は拒まずでした。新しい事件の担当になると、その都度新しい法律に出会う。必死で勉強する。先輩も出払っていることが多いので、とにかく自分でやらなければ解決できません。そこでまずは自分でやる習慣がつきました。これは重要な習慣です。今も事務所のアソシエイトには『はじめから聞かない。ちゃんと調べて疑問があったら聞きなさい』と徹底しています」
実務を経験した4年間、自分がどんな分野を専門にやりたいかなど考える余裕もなかった。修習生の頃は医療過誤に興味があったのに、実務を始めてからはまったく関わることはなかった。逆に修習期間、まったく興味を持たなかったにもかかわらず、その後、専門となった分野がある。倒産処理事件だ。
「当時の千葉県弁護士会に約200人強の弁護士がいる中で、勤務時代から破産管財人として一生懸命やっていた私を裁判所が認めてくれ、大きな倒産事件を任せてくれるようになったのです。弁護士として独立した2000年当時は倒産事件や破産件数がピークを迎えており、リーガルサービスも今の7〜8倍ありました。私は弁護士会の無料相談や市役所のリーガルサービスでもこうした倒産案件を多数受任することになったのです」
大学でも学んだことのなかった倒産法分野。企業の民事再生から個人の破産まで実に幅広いエリアになる。しかし事件は座学では学べない。実務の現場に出て初めて紛争解決への糸口が掴める。宮本氏は4年間、身体で倒産事件を学んだのである。
4年後、外に出て自分でやってみたいと思うようになった宮本氏は、先輩と二人で共同事務所を開くことにした。独立の第一歩である。
さらに2年後、最初に勤務した法律事務所の仲間が立ち上げていた千葉県市川市にあるリバーシティ法律事務所にパートナーとして参画する。この頃には多くの民事再生案件や倒産案件が舞い込んでくるようになったのは先ほども触れたが、特に倒産法に強くなった背景には、あるきっかけがあったと宮本氏は話している。
「民事再生が増え、法律が変わったり新しい法律ができる中で専門分野を構築できたのは、ある意味非常にラッキーでした。実は法律が改正される時は若い人がそれを専門化するチャンスなんです。私も個人再生手続に関する特則ができたときに弁護士会の消費者委員会に入っていたのですが、委員長が『今度法律が変わるから、破産や倒産に強い宮本君、弁護士向けに研修をやってくれ』と頼まれたのです。誰も知らない法律です。私もありとあらゆる本を読んで勉強しました」
個人再生手続や債務整理に精通する。それが民事再生、通常再生につながり、そこから破産法改正があればまた研修の依頼を受ける。この循環の中で宮本氏は千葉県では倒産法の第一人者的存在となっていったのである。
宮本氏が興味を持つ分野も次第に企業の破産・民事再生・私的整理と個人の任意整理・自己破産・個人再生といった倒産処理全般に広がっていった。かずさアカデミアパークの民事再生申立代理人、千葉県食糧の民事再生監督委員、株式会社サカモト破産申立代理人、株式会社カネカと株式会社松よしの破産管財人。こうした大規模な取扱倒産処理案件が名を連ねるようになる。身体で覚え、努力で学ぶ。『千葉県では宮本弁護士が破産倒産にかなり詳しい』ということが周知されたのにはこうした経緯があった。宮本氏が弁護士になって5〜6年目、ちょうどリバーシティ法律事務所のパートナーとなった頃である。
現在の活躍分野として、千葉県中小企業再生支援協議会の外部専門家や千葉県信用保証協会の外部評価委員として参加し、地元市川の商工会議所ではリーガルサービスを担う等、外部での活動は引きも切らない。
倒産法にまつわるセミナーや研修も数多く、千葉大学法科大学院では非常勤講師を3年間務めた。地元への貢献として千葉商科大学では新入学生向けに振り込め詐欺などの消費者問題をテーマとした講演を開いている。現在では、弁護士会の中でも倒産法運用検討協議会の委員長を務め、千葉県では倒産法の第一人者となったのである。
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| 専門性と組織力「リバーシティ法律事務所」 |
現在、宮本氏がパートナーを務めるリバーシティ法律事務所は、パートナー3名、アソシエイト10名が所属し、さらにスタッフ10数名からなる弁護士法人だ。宮本氏が参画して5年目にそれまでの共同事務所から法人へと組織改編された。リバーシティの大きな特徴は、宮本氏が倒産法に強いように、それぞれ専門分野を持つ弁護士が多数在籍し、事件ごとにチームを組んで対応している点だ。賃貸借・売買などの不動産取引、労働事件、知的財産権、企業再生・倒産、離婚、遺言・相続案件と多種多様の専門分野に精通した弁護士が、個人の身近な法律相談から法人・事業主の高度な専門性を要求される案件まで対応できる体制が整っている。
その他、地域に根ざした地道な活動を展開する一方で新しい分野への展開も図り、ホームページを積極的に活用し、法曹が社会に占める役割を情報発信している等、多くの特徴がある。さらに英文契約書のチェック・作成も対応可能な、千葉県の法律事務所の中でもレアな事務所として名前が挙がっている事も特筆すべきだろう。
積極的な活動は法律の周知活動を行うことで紛争を予防できるという理念に基づいている。だからこそ所属弁護士たちは市川商工会議所、法人会、経営者協会といった地域活動や弁護士会においても研修等に積極的に参加し、地元の大学、法科大学院への講師派遣も行っているのである。
一方で、法律の仕組みを一般の人々に知ってもらう機会を多く提供する事も法律事務所の使命だと捉えている。そのため事務所内では外部向け企業セミナーを開き、出版物発行・論文寄稿にも力を入れる。
宮本氏自身、千葉大学法科大学院や千葉商科大学での教育活動、弁護士会での委員会活動に積極的に力を入れているが、そこには宮本氏自身が標榜する「弁護士像」がある。
「これまでの弁護士は待ちの姿勢でした。それではもうやっていけない時代です。外へ出て積極的に参加する形でなければ将来性はない。我々は新しい事務所なのでまずは知ってもらうことが大事です。自然に知ってもらえることなどありませんから、法人会や経営者協会に積極的に顔を出し、できるだけ名刺交換をしています」
宮本氏は「普通の会社を考えてみれば当たり前のこと。待っていても電話は鳴らない。弁護士は士業だけど、ビジネス感覚も加味していかなければ今後はたち行かなくなる」と考えている。法人として事業を営むのであれば、営業するのは当然、そのつながりの中から何らかの関係の芽を育て、そこからネットワークを広げていく。それが宮本氏の目指す「弁護士像」だ。
そしてもう一つ。「弁護士は敷居が高い」という既成概念を取っ払うこと。それも宮本氏の目指す弁護士像である。
「お客様が事務所に来た時、『法律事務所はすごく敷居が高いと思っていたけれど、そうじゃないんですね』と言われると、とても嬉しく感じます。そうなればお互いに率直に話ができて情報も聞ける。お客さまにとっても良いことですし、信頼関係もできてきます」
従来の弁護士像とはまったく違った新しい弁護士像を目指して、宮本氏とリバーシティの活動のすそ野は広がっている。
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| 人材育成と公益に資する活動 |
13名の弁護士とスタッフ10数名で構成されるリバーシティ法律事務所。東京都内にある大手事務所は別格として、これだけ大勢の弁護士が在籍するのは珍しい。その理由を宮本氏は次のように話す。
「これからはそれぞれの専門性を持ちつつ、ある程度人数が必要な時代です。人海戦術で対応しなければならない事件というのが当然ありますし、お客さまに対してスピーディーに対応するには1人や2人ではできません。私も商工会議所などで経営者を前に話をしていて『先生のところはずいぶん大きいんですね』と言われますが、人数が多いことは一つの信用になっているのです」と、宮本氏はその組織力の重要性を力説する。
「人数が多いからこそ、ほぼすべての領域の事件を網羅できていると思います。そして新たな分野の依頼が来てもすぐに対応できる。しかも弁護士の中には裁判官経験者と検察官経験者、そして米国ニューヨーク州弁護士もいるので様々な角度から意見が聞けるというメリットもあります。
その他にも知的財産権が得意な弁護士もいます。この分野が得意な弁護士は千葉県ではあまりいません。加えて大型の案件であっても十分受けられる体力がある。あらゆる分野に対応できる専門能力と体力、組織力があるのがリバーシティの強みといっていいでしょう」
元裁判官と元検事、共に組織内にいるというのは大変大きな強みに違いない。
「裁判所や検察がどういう捉え方、考え方をするのかが非常によくわかります。すると非常に良くバランスが取れるんですね。人数が多いからこそ、いろいろな意見が聞けます。仮にパートナー同士の意見が違っても、1人が突っ走る事はありません。その意味でも複数のパートナーは理想的です」
そして弁護士法人化の一番のメリットは業務の継続性にある。お客さまが安心感を持って継続的に依頼できるようにするにはやはり規模と組織力が必要だ。そこにも個人事業、共同事務所の限界があると宮本氏は考えている。
「例えばスタッフとの雇用契約を結ぶにしても一体誰が雇うのか。あるいは部屋を借りるにしても借り主は誰にするのか、法的主体は誰なのか、共同事務所だと難しい面が多々あります」
事件は個人に帰属せず組織に帰属する。そこに法人の継続性と安定感があると言えるだろう。
リバーシティ法律事務所のもう一つの特徴は、広く門戸を広げて優秀な人材を育てていくためバリエーション豊富な雇用形態を採っている事があげられる。ロースクールを出てアルバイト勤務をしながら新司法試験を目指す受験生もいれば、子育てをしながら週三日だけフレックスタイムで働く女性弁護士もいる。それぞれの働き方で働く優秀な人材が組織の質を高める。
また公益に資する活動として、司法修習生も毎年3人を受け入れている。
「修習生の受け入れにはそれなりに負担もありますが、今の修習生がどのような考えを持っているのかがわかるのも大きな収穫だと思っています。私たちにとっても刺激になりますね」
そんな現代の修習生の印象を聞くと、「就職をすごく気にしていて、お行儀が良くておとなしく、そつなくこなす人が多い」そうだ。
「ただそれだけではお客様は満足しません。もっと荒削りな感じでもいいのかなと思いますね。ユニークといえるぐらい個性が強くてもいい。人を惹きつける何かがほしいですね。
それから、どんな仕事でもそうですがやはりコミュニケーション能力がなければ仕事自体が成り立ちません。お客様が何を求めているのか。まずは接して一番にそこを掴むことです。私は下町のゴミゴミした中で育っているので、階層が固定化されていない環境で育ちました。だからいろいろな方に接するこの仕事は向いている面があるのかもしれません」
修習生に対する物足りない思いは、宮本氏自身の生い立ちからも来ているようだ。
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| 法律事務所20名体制へ |
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リバーシティ法律事務所では広い守備範囲を特徴としているが執筆やセミナーも相当量こなしている。執筆は書籍だけでなく、論文の発表や雑誌にも寄稿する。さらにセミナーとなると大変なボリュームになる。
市川商工会議所、市川法人会、千葉商工会議所、地元金融機関、ちば多重債務問題対策シンポジウム、弁護士会主催「破産管財人研修会」、全国倒産処理弁護ネットワーク、市川市職員・行政相談員・消費相談員向け研修会、社労士向け民法講座……と、数えきれない位だ。
宮本氏はパートナーという立場上、直接的に事件の詳細な部分にまで携わる事は少なくなったという。もっぱら外部との接点としての活動が中心になっているそうだ。しかし担当する事件の方針を決めるミーティングには必ず参加し、ポイントポイントで方針と方向性をアソシエイトに提示している。あくまでも現場で働く弁護士のやり方を優先しているのである。
組織的には、今後20名体制の方向で考えているそうだ。その理由を宮本氏は次のように話している。
「パートナーがアソシエイトに気配りできる人数は決まっています。つまり3人で10数名が理想的だと思っています。ですから20名位までであれば、現状のようにパートナーはアソシエイトが担当する事件を把握できると思います。基本的にアソシエイトと相談しながら事件を動かしていきますから、アソシエイトに丸投げはしない方針です。20名以上の人数となると、組織的にセクション分けを行うなど、やり方自体を変えていかなければならないでしょう」
宮本氏自身の弁護士としての将来像とはどのようなものだろう。
「私は弁護士となって約15年ですから、少なくともあと10年は現役でやっていたいですね。さらに健康が許すのであればもう10年は現役でやりたい。ちょうど今私の同期は、司法修習研修所の教官になったりと一番働いている世代です。一番大変だけどおもしろい時期だと思います」
今、自分たちが法曹の中枢を担っている、そんな思いで宮本氏は意欲を燃やしている。
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| バランス感覚のある弁護士像 |
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弁護士になって良かったと思う事。それは、知的な仕事であって、解決することに喜びがある点だと宮本氏は話す。
「法律をそのまま使って解決できるのは当り前です。しかし、法律分野にひっかかっていない分野の事件もかなりあります。そうした事も含めて全て解決できた時に大きな達成感がありますね。
第三セクターのかずさアカデミアパークの民事再生法適用の申請代理も、その意味で今までにない類型だったので、私は論文を発表しました。その他特徴的な事件として国選弁護人で一度無罪を取った事があります。普通はあり得ないことですね。こうした事例は一生懸命にやって成果が出た事例なのですごく嬉しいし、社会に役に立つ、社会的に意味のある仕事だなと実感します。だからやりがいはとても大きいと思います。
そしてこの仕事は刺激的です。いろいろな人と会って、そして自分のやりたいことがもしあるのなら、それに向かって進むことができる。自ら選択ができるというのはいいですね。弁護士はやり方によっては時間も自由にコントロールできます。私は平日に休むことはありませんが、パートナーなら比較的自由に時間を融通することができます」
これから法曹を目指そうという若者には様々な経験をしてほしいとエールを送る。
「社会の紛争解決には微妙なバランスがあって、白黒を簡単につけられる事件はあまりありません。私たち弁護士に持ち込まれるものは当然難しい事件になります。それをうまく調整するためには、もちろん法律も一つの手段です。さらに、経済であるとか人の気持ちといった周囲のいろいろな事やものを微妙に取り込まなければなりません。それにはいろいろな経験が必要になります。
弁護士への道にはいろいろなルートがあると思うのですが、ロースクールからすんなりの人もいれば、逆に勤務経験など寄り道をしてから弁護士になる人もいるでしょう。皆さんに言いたいのは試験に受かるのはもちろん第一ですが、受験中に、あるいは合格後にもいろいろと社会に目を向けて見聞を広げていただきたい。いろいろな経験を積んで、それを仕事に活かすことが弁護士には重要ではないかと思うのです。
私が一番いい紛争解決の着地点だと思っているのは『WIN-WIN関係』になることです。私たちもきちんと費用をいただいてお客様も満足し、相手方もそれなりに納得いく、そういった解決を見付ける事です。これは本当に至難なのですが、それが一番いい解決なんですね。一方的に勝つというのは本当はあまりよくありません。とりあえず一回無理やり押しやる形で解決してしまうと、問題を先送りするだけになって、後々紛争がまた再燃する可能性が高いものです。そうならないように、お互いがより良いベストの妥協点をみつけられるようにバランス感覚を培っていって欲しいのです。
判例を読む中でも、勉強していく中でもいい、バランス感覚を常に失わないよう努力していただきたい。私も勉強会を開きますし、自分でもしっかりと本を読んでいます。基礎的部分はきちんとキャッチアップしつつ、自分の専門分野もフォローしていく。そして新分野にも手を出す。要するにこの仕事は引退するまでずっと勉強だということです」
弁護士として15年。机上では学べない世界があることを宮本氏は身をもって感じている。そんな宮本氏が弁護士となって良かったなと感じるのは何と言ってもお客様に喜んでもらえたときだ。
「もちろんお金を儲けることも、事務所の経営という観点からは大事ですが、それ以上に感謝の言葉をいただくのが嬉しいですね。昔扱った事件の依頼者から10年も経つのにお礼が届いたりすると『ああ。本当に感謝してくれているんだな』と胸に染みますね」と、頬を緩める。
人間は、このシンプルな感動に人生をかけるのかもしれない。それは幼い頃裏路地を走りながら見てきた下町の風景と、雑多な人々と接する中で育まれた「人との絆」に通ずると宮本氏は感じているようだ。
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