偶然は計画されたものである
中小企業支援に役立つテーマでコラムを掲載します。今回は、「偶然は計画されたものである」がテーマです。

偶然は計画されたものである
これまでのキャリアを振り返ると、人生は偶然の連続だと感じることが多いと思います。心理学者クランボルツの「計画された偶発性理論」という理論があります。これはキャリア形成が思いがけない出来事に大きく左右されることを示しています。偶然の出来事を積極的に捉え、活かすことがキャリア形成には重要だという考え方です。
自己実現意識が強すぎると前に進めない
世間では若いうちから自分の強みを明確にし、将来のキャリア目標を決めて計画的にキャリアを積む自己実現型のキャリアデザインが推奨されています。しかし、実際には多くの社会人が最初の計画通りにキャリアを積んでいるわけではありません。
例えば、大卒者の約3割は入社3年以内に退職・転職すると言われています。これは、社会経験がほとんどない若者に「やりたいこと」や「強み」を自覚するのが難しいためです。30代や40代になっても自分の希望や強みがわからない人も少なくありません。
自己実現だけを意識してしまうと、「今の仕事が本当にやりたいことなのか」と迷いが生じ、目の前の仕事に集中できなくなることがあります。その結果、キャリアにプラスになる経験が得られず、時間の無駄になってしまう場合もあります。また、早い段階で「自分の進む道」を決め打ちすると視野が狭まり、真の才能を見極める機会を逸し、成長の可能性が狭まる恐れもあります。
偶然のチャンスをものにするために
実際には「とりあえずやってみる」ことが大切です。やってみる中で、自分に向いているかどうかがわかり、スキルや知識が身に付き、それが強みになります。そうした経験を積み重ねることで強みが増え、本当にやりたいことや目指す方向が見えてきます。強みを蓄えていれば、それだけキャリアの可能性も広がり、希望する仕事のチャンスを掴みやすくなります。
偶然のチャンスを活かすには、それに対応できる力が必要です。そして、受け身でチャンスを待つだけでなく、自ら積極的にチャンスを生み出す努力も求められます。そうしたために重要な5つのスキルがあります。
① 好奇心:新しい学びの機会を自ら求めること。何が役立つかは後にならないとわからない。
② 粘り強さ:失敗してもあきらめず、持続して努力すること。
③ 柔軟性:状況に応じて考え方や行動を適宜調整できること。
④ 楽観性:新しい環境でも萎縮せず、うまくいくと前向きに捉えること。
⑤ 冒険心:結果が不確かでもリスクを過度に恐れず全力で挑戦する心構え。
これらのスキルはどんな仕事でも不可欠なものであり、今の仕事を通じて磨くことが可能です。将来のことをあまり心配せず、まずは今の仕事に専念することでこれらの力が鍛えられます。そしてやりたいことが見つかった時に、それを実現する確率が高まるでしょう。
おわりに
「今の積み重ねこそが将来をつくる」という認識を持つことが、キャリア形成の大切なポイントです。
三枝 元
※当コラムの内容は執筆者個人の見解でありTAC株式会社としての意見・方針等を示すものではありません。
※当コラムは一般社団法人 日本金融人材育成協会ホームページの「ごえんをつなぐコラム」で掲載された内容を編集して掲載しております。
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