なぜいつもプロジェクトは遅れるのか?
~その理由と対処法を考える
中小企業支援に役立つテーマでコラムを掲載します。今回は、「なぜいつもプロジェクトは遅れるのか」がテーマです。

計画錯誤
人はかかる時間を甘く見積もる傾向があります。「時間や予算など、計画完遂に必要な資源を過小評価し、遂行の容易さを過大評価する傾向」を、計画錯誤と呼びます。
例えば、ある調査では論文作成に要する日数を学生に尋ねたところ、最短日数の平均は27日、最長は49日でしたが、実際にかかった日数は平均56日でした。最短で終えた学生はごくわずかで、最長日数を予想した学生も半数に満たなかったのです。
さらに、集団になると個人よりもタスク完了に要する時間をより楽観的に見積もることが多くの研究で明らかになっています。 期限のある作業で余裕時間が多いほど、作業開始を遅らせてしまうことを「学生症候群」といいます。夏休みの宿題で「まだ時間がある」と考えて後回しにし、バッファ時間を消費してしまうことがあります。
パーキンソンの法則
パーキンソンの法則とは「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というものです。
例えば、上司から与えられたタスクに対して作業時間15時間と余裕5時間を見積もっても、実際に15時間で終えても次のタスクが割り振られる恐れから、不安になったメンバーは残りの5時間をブラッシュアップに費やしてしまうことがあります。これは時間浪費の一因となります。
プロジェクトの期限を守るには
期限を守るには、まず計画錯誤や学生症候群といった人間の傾向を自覚することが効果的です。 パーキンソンの法則に対してはバッファマネジメントが有効です。ベストセラー「ザ・ゴール」の著者エリヤフ・ゴールドラット博士は、バッファが消費されるのは「見積もりとバッファを混同する」ことが原因だと指摘しています
例えば、タスクA⇒タスクB⇒タスクCと進むプロジェクトで、各タスクの作業見積もりを6日、バッファを4日ずつとし、合計30日の計画を立てたとします。パーキンソンの法則で各タスクのバッファが個別に消費されてしまうため、何か問題が起きると30日以内に完了しなくなります。
そこで「作業の見積もりとバッファを分け、バッファは別にまとめて管理する」ことが求められます。具体的には各タスクに6日ずつ割り当て、バッファはまとめて12日(4日×3)を別管理します。こうすることで、「そのうちやるだろう」という甘い見通しや、「あるだけ時間を使い切ろう」という無駄な時間の浪費を防げます。 さらに、プロジェクトは全体を細分化し、マイルストーン(中間目標)を設け、達成に集中することが基本です。
これにより中だるみを防ぎ、全体のハードルが高く感じられても、マイルストーンを置けば段階的に挑戦しやすくなり、メンバーのモチベーションを保てます。
おわりに
「プロジェクトの最初の段階から答えを出す」姿勢も重要です。初期に本質的な答えを設定することで、核心をついた創造的な解決策を導きやすくなり、その後の情報収集は答えの補強や根拠付けにとどめるのが望ましいでしょう。
三枝 元
※当コラムの内容は執筆者個人の見解でありTAC株式会社としての意見・方針等を示すものではありません。
※当コラムは一般社団法人 日本金融人材育成協会ホームページの「ごえんをつなぐコラム」で掲載された内容を編集して掲載しております。
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