経営支援に役立つコラム

交渉に臨む前に意識しなければいけないこと
~交渉の3つのパターン

中小企業支援に役立つテーマでコラムを掲載します。今回は、「交渉に臨む前に意識しなければいけないこと」がテーマです。

企業経営アドバイザーコラム


交渉は学問的な研究分野として確立されており、ロースクールやビジネススクールでも広く教えられています。今回は交渉でまず知っておきたい「交渉の3つのパターン」について紹介します。

交渉の目的は?

交渉の目的は、何よりも「自分の望む利益を実現すること」です。細かいことで感情的になり、まとまりかけていた交渉が暗礁に乗り上げ、双方が利益を逃すことがよくあります。そのため、常に「自分の利益を最大化するにはどうすればよいか」を念頭に置いて冷静に対処することが不可欠です。

さらに、自分の利益を最大化するには、交渉相手と相互理解を深め、良好な関係を築きながら相互の利益を高めていくことが望まれます。 交渉術というと駆け引きのテクニックばかりに注目しがちですが、相手を騙し一時的に利益を得ても、その後相手が取引を拒み、本来の利益を失うリスクがあります。

また、悪評も広まりかねません。だから交渉は大きな視点で「相互利益」を考えることが重要です。ただし、相手が明らかに不誠実で自己防衛が必要な場合や、取引が単発の場合は駆け引きが有効に働くこともあります。

交渉のパターン

交渉には大きく3つのパターンがあります。

(1)分配型交渉
限られたパイを奪い合い、自分の取り分最大化を目指す交渉です。自分が得をすれば相手が必ず損をし、相手が得をすれば自分が損をします。価格交渉が典型例で、買い手にとって価格が安ければ得ですが売り手は損をします。

(2)利益交換型交渉
パイは限られるものの、自分にとって重要でない部分を譲り、代わりに自分に重要で相手には重要でない部分を得る交渉です。例として、売り手が「代金を即現金で欲しい」、買い手が「できるだけ安く買いたい」というニーズを持つ場合、売り手は価格を少し下げる代わりに即現金払いを求める交渉が成立します。

(3)創造的問題解決型交渉
交渉当事者が協力しパイを拡大する交渉です。

パイが大きくなれば、双方の取り分も増えます。企業間連携の例で、競争ではなく共に事業を推進し、全体利益を高めて自社利益も伸ばします。

この交渉はどのパターンか?

分配型交渉は「WIN-LOSE型」、利益交換型と創造的問題解決型は「WIN-WIN型」と言えます。交渉といえば分配型を想像しがちですが、実はそうでない場合も多いです。単に「相手の譲歩をどれだけ引き出すか」にとらわれると視野が狭まり、かえって望む利益を逃します。

創造的問題解決型は難しいかもしれませんが、利益交換型は実現可能性が高いです。そのためには「自分が譲歩できる・できない条件」「相手が譲歩できる・できない条件」を整理することが重要です。

おわりに

良い成果を上げるには、まず「この交渉がどのパターンに属するのか」を冷静に見極めることが大切です。

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

※当コラムの内容は執筆者個人の見解でありTAC株式会社としての意見・方針等を示すものではありません。
※当コラムは一般社団法人 日本金融人材育成協会ホームページの「ごえんをつなぐコラム」で掲載された内容を編集して掲載しております。

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