ダイバーシティを実現するための条件は?
~やるならかなりの覚悟が必要
中小企業支援に役立つテーマでコラムを掲載します。今回は、「ダイバーシティを実現するための条件」がテーマです。

人の多様性は大きく分けて2つ
ダイバーシティとは「人の多様性」を意味し、女性や外国人など多様な人材を積極的に活用して、組織の活性化や企業価値の向上を目指す経営手法を指します。この「人の多様性」には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは「実際の業務に必要な能力や経験の多様性」、つまり組織のメンバーが持つ教育背景や職歴、経験の違い、いわゆるタスク型の人材多様性です。もう1つは「性別、国籍、年齢など、その人の外見や属性に関わる多様性」、デモグラフィー型の人材多様性と呼ばれます。
タスク型多様性は組織のパフォーマンスにプラスに作用します。多様な知識や経験が新しいアイデアや知見の源泉となり、組織の創造力を大きく高めるからです。一方でデモグラフィー型多様性が拡大すると、性別や国籍などを軸にグループ化が進みやすくなり、その結果、組織内に対立や溝が生まれる場合があります。
たとえば、同じ出身地の者同士が固まり、男女間に隔たりができたり、世代ごとにつるんだりすることで分断が起こることがあるのです。
思いつきのダイバーシティは失敗しやすい
たとえば、あなたの会社が社歴の長い男性プロパー社員10人だけで構成されているとします。そこに「これまでの考え方にはとらわれないフレッシュな視点を取り入れて組織を活性化しよう」として、20代の女性を2人、異業種から採用したケースを考えてみましょう。
多くの場合、この2人は職場になじめず離職するか、逆に既存の価値観に染まり少数派の強みを発揮できなくなるでしょう。なぜなら、彼女たちは少数派であり、多数派の男性社員からの同調圧力にさらされることが多いためです。
人材を大胆にシャッフルする覚悟が必要
フォルトライン(組織の断層)理論では、真のダイバーシティを実現するためには、1つの明確な対立軸をつくり出さず、多様性を多層的に追求することが条件だとされています。
〈悪い例〉 10人の組織で半数が「男性・プロパー・40代」、残る半数が「女性・中途採用・30代」という場合、性別、経歴、年齢の3つの属性が重なり合って2つのグループに分断され、対立や摩擦が起こりやすくなります。
〈良い例〉 男女の別に加え、年齢や経歴、人種などさまざまな属性が入り混じっていれば、多様な軸が重なりグループの固定化が避けられます。結果として組織内の境界線が曖昧になり、誰もが参加しやすい分け隔てのないコミュニケーション環境が生まれます。
おわりに
ダイバーシティ経営を成功に導くためには、思い切った人材のシャッフルと配置転換が不可欠です。実際にアップルやグーグル、メタなどの企業は、多様な人材を抱え、その多様性を活かして高い創造力を発揮しています。
組織の境界を曖昧にし、多様な人々が自由に交流できる文化を作るというトップの強い決意が、ダイバーシティ経営成功の要となるのです。
三枝 元
※当コラムの内容は執筆者個人の見解でありTAC株式会社としての意見・方針等を示すものではありません。
※当コラムは一般社団法人 日本金融人材育成協会ホームページの「ごえんをつなぐコラム」で掲載された内容を編集して掲載しております。
経営について体系的に学びたい方へ

ダイバーシティを実現するための条件が理解できたら経営を学ぼう!
経営の基本知識や、企業を見る視点を体系的に身につけたい方には、企業経営アドバイザーがおすすめです。経営戦略や財務、マーケティングなど、実務にも役立つ知識を幅広く学ぶことができます。











