経営支援に役立つコラム

シナジー?ダイバーシティ?
ふわっとしたイメージでビジネス用語を語るのは
もうやめよう

中小企業支援に役立つテーマでコラムを掲載します。今回は、「言葉を具体的に定義することの大切さ」がテーマです。

企業経営アドバイザーコラム


メディアや日常の議論では、どうしてもふわっとした言葉のイメージだけで話をしていると感じることが多々あります。

ケース1:具体的実現手段を考えていない

まず、企業の記者会見などでよく聞かれる「シナジー」という言葉がありますが、具体的にどのように生み出すのかが示されず、「両社が合わさればシナジーが生まれる」という漠然とした説明に終始していることが多いのです。

経営統合の約8割が失敗すると言われる中で、実際に成果を出すのは難しいにもかかわらず、表面的なキーワードだけが踊るケースが見受けられます。

他にも「ブランド化」「企業価値の向上」「ブルーオーシャン戦略」「ダイバーシティ」なども具体的な実現方法を示さずに使われがちです。

ケース2:そもそも言葉の定義が誤っている

次に、言葉の定義そのものを誤って理解している例があります。例えば「ビジネスモデル」を「事業目的」や「事業内容」と混同し、「新事業でお客様との共存を図ることがビジネスモデル」という説明がなされることがあります。

しかし、ビジネスモデルとは「どうやって儲けるか」を記述するものであり、対象顧客や製品・サービスの内容、提供方法に加え「課金の仕方(儲け方)」が明確でなければなりません。この本質的な部分を理解していない誤用が散見されます。

ケース3:言葉の定義が曖昧なケース

さらに、言葉の定義自体が曖昧なために議論が噛み合わないケースも多いです。近年頻繁に使われている「働き方改革」は、時短、ダイバーシティ、AI活用など、人によってイメージが異なります。

そのため共通の理解がないまま話が進み、議論がかみ合わなくなります。筆者は「働き方改革」を「効率性の追求の取り組み」と定義し、効率性を「アウトプット÷インプット」と分解し、今よりアウトプットを向上できないか」「今よりインプットを削れないか」の2つを考えます。

おわりに

これらの問題を踏まえ最も強調したいのは「言葉の具体的な定義」が大切だということです。経営用語やカタカナ用語をただ並べて説明した気になることは多いですが、中身のない表面的な説明に終わってしまいがちです。これはミーティングにおける論点設定にも当てはまり、論点が曖昧だと参加者の認識がずれて議論が進みません。

例えば「顧客満足度の向上」についても、「製品やサービスの強化」なのか「顧客対応の強化」なのかを明確にしなければ、何度議論しても前に進まないでしょう。 従って、信頼関係を築き、誤解やずれを防ぐためにも、言葉の定義は明確にすることを心がけるべきです。

言葉の意味を具体的かつ共有された形で提示することこそが、建設的な議論や意思決定を可能にする基盤となります。

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

※当コラムの内容は執筆者個人の見解でありTAC株式会社としての意見・方針等を示すものではありません。
※当コラムは一般社団法人 日本金融人材育成協会ホームページの「ごえんをつなぐコラム」で掲載された内容を編集して掲載しております。

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